偽のニュースはなぜ悪い?その弊害について考える

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昨年2016年末、日本ではDeNAの運営する医療系キュレーションメディアで、嘘の情報や盗作記事が問題となり、インターネット上の情報への信ぴょう性が疑われました。事件前のDeNAのキュレーションメディアでは、専門知識のないライターが、低賃金で記事の執筆を行っており、それがこの問題の引き金となりました。このように、インターネット上になら、特に専門知識のない一般人でも、情報発信をすることが可能なため、テレビや新聞・雑誌に比べて、遥かに偽のニュースや情報がはびこりやすいのです。実は、偽のニュースや情報が、インターネット上などのメディアに増加傾向にあるのは、日本に限らず世界的に見ても同じことが言えます。

メディアを信用している人は少数派?

昨年イギリスのネットワークリサーチが、1000人以上の18~74歳の男女を対象に、メディアに対する信用度の調査を行いました。その調査では、ニュース偽物であるかもしれないと疑う人が47%と、半数近くを占めました。メディアに対する信用度は全体で38%減少、18~34歳のミレニアル世代でさえも32%減少という傾向にありました。また、成人男女を対象とした別の調査では、64%が伝統的な出版社のニュースの方が、インターネットやSNSの情報よりも信用できると答えました。

信用できないメディアが増えるとどうなる?

ネットワークリサーチの調査では、20%の回答者が、有名な信頼できるメディアに広告が載っていたら、たとえそのブランド知らなくても、そのブランドを信頼すると回答しています。それと逆に、信頼できないメディアに広告が載っていたら、好きなブランドであっても信頼性が下がると、19%が回答しています。このように、メディアと広告を関連づけて考えている人々は、大多数ではないものの、全体の1/5程度を占めています。したがって、偽のニュースを配信する信頼できないメディアが増えれば、広告主にとっても、広告を出すメリットが減るどことか、デメリットにすらなり得るのです。

信用できるメディアなら…

ワシントンポスト、エコノミスト、フォーブス、ニューヨークタイムズなどを含むメディアブランドを持つWMGの、インターネット上のメディアでは、広告の視認率が業界の平均よりも21%上回りました。Newsweekのグローバル編集責任者Matt McAllester氏は、「適切に研究されたジャーナリズムと、広告が並んでいれば、”ハロー効果”によって、広告のブランドも関連付けて考えられる」と主張しています。信用できるメディアが増えることによって、広告主にとってもブランドイメージ向上の機会が増えるといっても、過言ではないでしょう。

偽のニュースをなくすために

DeNAの問題を受けて、Googleが日本のみで検索アルゴリズムのアップデートを行い、キュレーションメディアが検索の上位に表示されにくくなったのではないかと、一部ではささやかれています。このように、Googleは偽の情報が検索結果の上位に表示されないよう、日々改善を行ってますが、広告主としては、まだまだ十分な状態だとは言えません。どのようなサイトに自社の広告が表示され、どのような人々に閲覧されているのかが公開され、質の低い偽のニュースや情報を提供するサイトに、広告を掲載できないよう完全に規制されるには、まだまだ時間を要しそうです。

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