最近浮上した「インフルエンサーマーケティング」今後のトレンドは?

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ここ最近の2~3年にも満たない期間で、突如、頻繁に使われるようになった言葉のひとつに、「インフルエンサー」が挙げられます。また、企業がそれらの著名人と契約して行う「インフルエンサーマーケティング」も、最近頻繁に使われる言葉のひとつとなってきています。米国広告協会が158の企業を対象に行った調査では、75%がすでにインフルエンサーマーケティングを行っていると回答し、そのうち43%が今後その予算を増やす見込みだと回答しました。また、インフルエンサーマーケティングを行っていないと回答したうちの約半数は、今後は行っていきたいと考えていることが明らかになっており、欧米では、すでにメジャーなマーケティング手段のひとつとなりつつあるようです。日本でこの言葉が使われ始めた頃は、有名人や芸能人がブログやSNSで紹介した商品が商品が店頭で品薄になるといった現象が起こり、そいった著名人を「インフルエンサー」と呼ぶ傾向がありました。しかし、最新の「インフルエンサーマーケティング」は、著名人ではなく、一般人のいわゆるユーチューバーやインスタグラマーを起用するケースが増えてきています。その理由としては、著名人を起用する場合と比較して、費用対効果が高いことが挙げられます。また得に最近では、企業側が、フォロワーが10万人に満たない、いわゆる中規模のインフルエンサーを求める傾向が強くなっています。

フォロワーが多すぎてもダメ?なぜ中規模なのか

InstagramやFacebookでは、アルゴリズムが変更され、フォロワーの多いユーザーの投稿が優先されるのではなく、質の高いと見なされた投稿が優先されるようになりました。したがって、投稿がリーチしても質が低ければ読み飛ばされてしまうため、企業側は投稿からエンゲージにつながることを重視し始めました。中規模のインフルエンサーの投稿は、一般ユーザーとの距離が近く、リーチ数においては、大規模なインフルエンサーに及ばなくとも、効率よくエンゲージにつなげられるのです。

偽証のインフルエンサーも話題に

6月18日から開催された、2018年のカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(カンヌ広告祭)では、初めてSNSのインフルエンサー部門が設置されました。このようにインフルエンサーマーケティングにおいて、記念すべき年となったにも関わらず、すでに問題点も指摘されました。それは一部の大規模なインフルエンサーがフォロワーを買収していたり、ボットによる投稿を行っていたりといった、インフルエンサーの偽証でした。この話題のきっかけを作ったのは、ユニリーバの最高マーケティング責任者のキース・ウィード氏で、同氏はInstagramやFacebookとも会合を開き、投稿のリーチやエンゲージを広告主が可視化できるようにと働きかけています。

大切なのはクリエイティビティ

インフルエンサーマーケティングエージェンシーのCollectivelyによると、もっともエンゲージ率の高いインフルエンサーは、投稿のクオリティーによって自らの力量が計られるクリエイティブ系だということでした。最近広告にユーチューバーのキャセイ・ネイスタットを起用したSamsungの、最高マーケティング責任者マーク・マシュー氏は、「キャセイが持つインフルエンス(影響力)ではなく、彼のクリエイティビティを評価する」と述べました。インフルエンサーマーケティングは、まだまだ未知の部分も多いですが、インフルエンサーの著名度よりも、その人の創造性を活かすことが、今後は重要となってくるのではないでしょうか。

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