オンライン上の商店街で「小さな特別なもの」を買えるなら

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オンラインショッピングによる消費は、年々上昇傾向にあり、日本においては、総務省の調査によると、「インターネットを通じて注文した世帯の割合」は、2002年に5.3%であったのに対して、2016年には27.8%にも上っています。また、1世帯あたりの注文額も増加しており、2002年には1ヶ月当たり平均21.102円であったのに対し、2016年には30.678円と、約1.5倍となりました。イギリスでの状況を見ると、2017年には、87%の消費者が「過去12か月の間に、インターネットで買い物をしたことがある」という調査結果が出ており、大多数の人がオンラインショッピングを体験しています。

小売店の売り上げは縮小傾向に

このような背景を受けて、アメリカではトイザらスが経営破綻したり、イギリスでは、大手スーパーマーケットチェンのM&Sが店舗数の縮小を始めたりと、小売店が苦境に立たされています。それでも大手チェーンならば、十分な知名度や財力もあるため、オンラインショッピングサイトを構築すれば、小売りの不振をカバーすることができるかもしれません。しかし、商店街の小さな店舗の場合、オンラインショッピングサイトを構築したからといって、集客が容易ではなく、売り上げ向上もそう簡単には見込めません。売り上げがないのに、手間や人件費が増えるという悪循環に繋がる恐れもあります。

商店街がそのままWEBサイトに

Amazonや楽天には、個人商店が商品を出品することは可能ではありますが、小さな商店にフォーカスしたサイトというわけではなく、ここでも大手が強くなってしまう傾向があります。このような状況の中で、2013年にロンドンで設立されたTrouvaは、商店街の小さなブティックやインテリアショップを統括するサイトとして、2017年に約1500%という急成長を遂げました。Trouvaは、小さな商店が「生き残るだけでなく生きる」というコンセプトの下に、小売店のアイデンティティーに焦点を当てます。広告やサイトのデザインからは、イギリスの小さな個人商店らしい、煉瓦の壁のイメージを多用するなど、暖かみが感じられます。「マスマーケットは大変便利なので、悪く言うつもりはありませんが、そこで買い物をしても、暖かい気持ちにはなれないのではないでしょうか」と、TrouvaのLucy Ward氏は語ります。

誰かに話したくなるような買い物

Trouvaで実際に買い物をしてみると、小さな店舗で購入したかのように、その商店の包装紙に丁寧に梱包されていたり、伝票にはショップスタッフの手書きのメッセージが書かれていたりと、Lucy Ward氏の言うような、暖かい気持ちになることができます。The Next Webのヨーロッパで急成長した5つのハイテク企業の1つに選ばれているTrouvaですが、ハイテクな時代の流れであるからこそ、暖かみを感じたいと考える人が増えてきているのも事実です。「いつでもチェーン店で買い物したいわけではない人々は、どんどん増えてきています。当然、私たちの顧客の多くもチェーン店で買い物しますが、Trouvaに来て、小さな特別な何かを買い物するのも、良いものです。私たちが向かうものは、それらをミックスしたものです」チェーン店で購入したものについては、誰かに話したくならないかもしれませんが、小さな店舗で購入した何かなら、「こんな良いものがあった」と、思わず誰かに話したくなることでしょう。そういった買い物の体験をオンラインでできるのなら、試してみたい消費者が多いのも頷けます。 

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