「ストリートフードLIVE2018」イギリスの屋台飯の現状を探る

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9月25~26日にかけて、Excel Londonにて行われた「ストリートフードライブ2018」。2012年のロンドンオリンピックの会場からもほど近いExcel Londonには、業務用の調理器具、屋台として使用できるよう改造されたバン、使い捨ての食器やパッケージなどを展示したストールが軒を連ねました。ここでは、イギリスでの「ストリートフード=屋台飯」の文化に触れながら、現状や今後のトレンドについて考察していきます。

イギリスにおけるストリートフードとは?

「屋台飯」と聞くと、日本では夏祭や初詣などの催しものをイメージすることが多いですが、イギリスでは平日のランチタイムになると、街のいたるところでストリートフードマーケットが開催され、屋台が軒を連ねます。ストリートフードは5ポンド前後で購入できることが多く、日本でいうワンコインランチのような感覚であるため、スーツを着たビジネスマンやオフィスワーカーが屋台に並んでいるという光景は、決して珍しいものではありません。販売されているものは、ハンバーガーやサンドウィッチなどのイギリスらしいものだけではなく、中華やエスニック料理など多岐に渡ります。

使い捨てパッケージに対する疑問

スターバックスやマクドナルドなどの大手が、ストローなどのプラスチック製品を減らす取り組みを始めているため、ストリートフードの使い捨てパッケージへの疑問の声も大きくなりつつあります。イギリスは、プラスチック製品による海洋汚染に早くから注目し始めた国のひとつでもあります。「ストリートフードライブ2018」では、環境に配慮したパッケージの展示が多く見られました。木や紙を使ったものや、廃材を利用したものなど様々なパッケージが見られましたが、中でも冒頭の写真のコーヒーカップを製造するHuskeeは、廃材を利用して作られているにもかかわらず、デザイン性にも優れ、割れにくく、持ちやすいという機能性も持ち合わせており、多くの来場者の注目を集めていました。多くのストリートフードの屋台が日常的に軒を連ねるイギリスでは、その競争率も必然的に高くなるため、値段や味だけではなく、その屋台独自のアイデンティティーを確立することも、人気を集める重要な要素となります。実店舗を持たない屋台にとっては、パッケージで目を引くような工夫も必要となってくるのでしょう。

日本食もイギリスのストリートで…

ここ数年で「Bento」という言葉も、英語圏でかなり浸透してきました。エコ志向が高まると同時に、健康志向も高まっているため、毎日のランチにはできるだけ栄養の偏りのないヘルシーなものをと考える人も少なくはありません。日本食はそのような志向にマッチしてはいるものの、高価なものは平日のランチには向かないため、「Bento」のようなスタイルで販売される日本食が注目を集めています。人件費削減のために、上の写真の握り製造マシーンや、巻きずしやおにぎりを製造するマシーンを取り扱う業者も展示に参加しており、今後、気軽に楽しめる日本食がさらに広まっていくことが予想されます。また、日本食レストランKokoroは、店舗数の拡大を図っており、今回の展示ではフランチャイズのオーナーを積極的に募集していました。すでにあるフランチャイズの店舗では、日本人でないオーナーも多いようで、調理方法や経営方針についてのサポートも手厚いように思われました。

エコ志向な日本食屋台なら?

日本食が人気であることは大変喜ばしいことですが、その火付け役を担っているのが日本人でないことが、残念にも感じられました。本格的な日本食を屋台らしい価格で提供できるなら、イギリスのストリートフードマーケットで、人気の屋台のなれるのではないでしょうか。

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