女の子はレゴで遊ばないの?「おもちゃ」にまつわるジェンダー
「理系クラスには男子生徒が多く、文系クラスには女子生徒が多い」多少の差はあれど、この通説は今も昔も不思議とまかり通っているのではないでしょうか。BBCのドキュメンタリー番組で、「男の子」と「女の子」に対していくつかの質問を投げかけるという実験が行われました。この実験で、男の子は「感情を表現する言葉」を聞かれた際、「怒り」以外の回答が極端に少なく、女の子は数学や物理に関係のある質問に対して、必要以上に苦手意識を持っているという結果が得られました。それでは、男性は潜在的に理系で、女性は潜在的に文系であると考えるのが正しいのでしょうか?
おもちゃが「男の子用」と「女の子用」に分けて売られている理由
過去の調査では、イギリス国内のおもちゃ小売店の約半数が、「男の子用」と「女の子用」のおもちゃに区別がつくような印を付けていたことが明らかになりました。また、商品の陳列も性別ごとに分けられているのが当然でした。それは、おもちゃメーカーでは商品の企画する段階で、ターゲットを「3~7歳の男の子」「6~10歳の女の子」のように絞ってしまうため、小売店も必然的にそれが明確になるディスプレイを行っていました。
男の子が「パワーパフガールズ」を見るの恥ずかしい?
アメリカのPBSが行った実験では、ある興味深い結果が得られました。複数の男の子からなるグループと対話しながら、「テレビアニメのパワーパフガールズを見ているか?」という質問をしたところ、1人を除く全員が「見ていない」と答えました。それにも関わらず、今度はお互いの姿が見えない場所で同じ質問をしたところ、8人中7人が「見ている」と回答したのです。この結果からは2つのことが分かります。1つ目は、男の子が、「女の子用」のアニメを見ていることを知られたくないと思っていること。2つ目は、男の子も「女の子用」のアニメに興味があるということです。これは男の子に対して行われた実験ですが、女の子も同様でないとなぜ言えるでしょうか。また、テレビアニメだけなく、おもちゃも同様であることも疑いありません。
女の子はレゴで遊んじゃダメなの?
レゴは、想像力を育てたり、数字や物理に対して考える機会を与えたりと、子どもに買い与えたいおもちゃの一つだと考える消費者が多いのではないでしょうか。しかし、レゴはつい最近まで複数のグループに対して調査を行っていませんでした。つまり、ターゲットが5~9歳の男の子なら、他のグループへの調査を行っていなかったのです。極端な理論ではありますが、これが女の子が数学や物理に苦手意識を持ってしまうことを助長している可能性もあるのではないでしょうか。つまり、女の子が「数学的や物理的な考え方を養うことのできるおもちゃ」を欲しがることを「恥ずかしい」と思ってしまうことにより、それを学ぶ機会を損失しているといれるのではないでしょうか。
理系・文系はひとつの例ですが…
去年のクリスマス前のイギリスの調査では、「男の子用」と「女の子用」に分けて商品を陳列している小売店は皆無でした。おもちゃのデザインも、ジェンダーフリーを意識したものが増えてきており、子ども達がより自由にほしいものを選択できるようになりつつあります。「男の子用」「女の子用」の区別がなくなっても、おもちゃの売れ行きは依然として変わりません。したがって、このような区別は必要のないマーケティングだったのです。これをひとつの例と捉えて、今までのステレオタイプを一度見直し、より消費者目線に立ってみることも、時には必要なのかもしれません。