顧客リストがあるのに売れない?購入をやめたくなる裏の心理
消費者は、1度商品の購入を検討しても、なんらかの原因で、購入を中止することがあるのは、珍しいことではありません。ここでは、その原因について考察していきます。
好きなブランドを嫌いになる瞬間
イギリスのYouGovとGT Nexusが、英国内で、「過去1年間で、好きなブランドから離れた理由」の調査を18〜34歳の一般消費者に対して行いました(複数回答可)。この調査では、商品の品質が悪かった(41%)と、不良品を買わされた(41%)が同率で1位となり、これはマーケティング以前に、ものづくりの段階での綿密なチェックが必要であることを意味しています。しかし、それと同時に、そのような商品を万が一手にしてしまった消費者へのケアも、必要とされています。続いて、従業員へのケアを十分にしていない(28%)、自然環境への配慮がなされていない(22%)となり、ここからは、インターネット上などに、そのような評判や口コミがある場合、それを無視することはできないということが読み取れます。また、強力なソーシャルメディアがない(5%)、モバイルアプリに対応していない(4%)、ウェブサイトの見栄えが悪い(3%)など、現代のWEBマーケティング事情に対応できていないことも、理由として挙がりました。
店舗での買い物で不満のある顧客70%
Market Force Informationが2,827人の英国人の成人を対象とした別の調査では、10人中7人が店舗での買い物で満足できていないことが明らかになりました。その理由としては、遅いサービス(68%)、役に立たないスタッフ(65%)、不良品を買わされた(52%)、無知なスタッフ(50%)などが挙げられました。また、感じの悪いスタッフ(38%)、店舗のレイアウトが見づらい(32%)、お節介すぎるスタッフ(27%)なども、挙げられました。このような理由で顧客が離れていかないためには、ブランド側がスタッフの教育にある程度の投資をしていくことが必要になってきます。
Hondaが行った調査とディーラーの教育
Hondaは、ディーラーを訪れた顧客の行動を録画し、拍数、呼吸数、皮膚電気応答も図ったところ、それらの間に因果関係を発見しました。そこで、スタッフがどのような行動をした際に、顧客の反応が変化したかなどを徹底的に調査し、これを生かした、ディーラーへの研修を行っています。この研修への参加はディーラーの意思によって決められますが、参加しているディーラーの収益は平均して、参加していないディーラーよりも23%高いという結果を出しています。
マーケティングか顧客。どちらが主体?
オンライン不動産販売サービスNestedを共同設立したMatt Robinson氏は、「1年間、毎日顧客に電話したところで、なんの効果もない。顧客をどのように扱うのか、何を要求するのかを明確に伝えるべきだ」と述べています。たとえば、顧客がメールアドレスや電話番号などの個人情報を渡す場合、しつこいセールスの電話やEメールを期待しているわけではありません。購入後のケアや、場合によっては修理など、顧客にとってもメリットのあるサービスを期待していることが大半です。マーケティング側は、顧客にどのようなサービスを行うかを伝え、それが必要かどうかを顧客自身に判断してもらうべきなのです。このように、どちらが主体になるかとは言い難くとも、お互いに求めているものを認識していることが、大切な顧客を離さないキーになることでしょう。