英国スーパーマーケット業界が震かん。Aldiの革新的な戦略

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先月(1月)末に、2016年のイギリスの各大手スーパーマーケットチェーンの売り上げ高が発表されました。最大手のTescoが前年比0.3%アップ、二番手の Sainsbury’sが前年から据え置きとなる中、ドイツに本社を置くAldiが12.4%アップと、驚異的な伸びを見せました。これによりAldiはイギリスで5番目に大手のスーパーマーケットとなりました。Aldiの驚異的な成長は、去年に始まったものではありません。10年前Aldiは、マーケットシェアが2%以下で10番手でした。順位の変動があまり見られないこのランキングにおいて、たった10年間で5位も順位を上げるのは容易なことではありません。そこでAldiの驚異的な成長の裏にある、マーケティング戦略に焦点を当てていきます。

「オリーブオイルの種類、そんなに必要ですか?」

Aldiが行った戦略として特筆すべきは、各商品のSKU数を減らしたことでした。忙しい現代人にとって、無駄に種類の多い商品の中から、適切な商品を選び出すのはストレスになります。たとえば、オリーブオイルを買いに行ったのならば、質の良いもので、一般の家庭で使い切ることのできる容量のものが数種類程度、置いてあれば十分だと言えます。Aldiの行ったマーケティングは、顧客が適切と考えている商品の種類や容量を徹底的に調査したことでした。この考え方は、品揃えが多いほど良いといった、これまでのイギリスのスーパーマーケット業界の考え方を覆しました。最大手のTescoも、商品のSKU数をこれまでの約3分の1にカットするなど、業界全体に大きな影響を与えました。

品質が同じならメーカーには拘らない

あなたが食品を買い出しに行く場合、このメーカーのものを買っておけば間違いがないという、品質を信用している、おなじみの製品があるのではないでしょうか。Aldiはそういった製品と同等の品質のものを低価格で入手し、低価格で供給しています。はじめは有名メーカーに似た製品を興味本位で購入した顧客も、その品質の高さに驚き、再度購入したいとAldiを訪れます。

安物のイメージを払拭する

上記の事柄から、Aldiは手軽に安物を購入することが出来るというイメージがありました。しかし、いくつかのキャンペーンを通して、これらのイメージの払しょくにも成功を果たしました。評判や商品の品質などを総合的に評価する、スーパーマーケットのインデックス・スコアでは、全26の大手スーパーマーケットチェーンの中で、Aldiは3番目に高い評価を得ました。また、現在Aldiはスーパーマーケット以上の、ブランドとしての価値を見出すことにも挑戦しています。具体的な活動例としては、チームGBのトライアスロン選手と協力して、若者の食生活を改善することを目的とした運動などが挙げられます。イギリスでは、常に若者の食生活の乱れが懸念されていますが、この運動を通して、2020年までに若者4人中3人の食生活を改善する見込みです。高価な食品を購入することに抵抗のある若者でも、Aldiでなら、品質の良い食品を低価格で購入できるため、このような認識が普及すれば、この運動の目標達成は、決して不可能なものではないでしょう。

既存の考え方を一度見直してみませんか?

利益が伸びないのなら、AldiのSKU数を減らす戦略のように、既存の考え方を一度見直してみることで、大きな成功を招く可能性があります。また、単純な価格競争は終わりが見えず、疲労も付きまといます。価格を下げたいのならば、メーカーに拘らずに品質を維持するというAldiの考え方は、企業の利益だけではなく、顧客満足にもつながります。このように少し視点をずらしたマーケティング戦略が、どのような業界においても、成功の鍵を握っていると言えるのではないでしょうか。

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