デジタルマーケティングに未来はない?メディアの透明性を問う
予告なく変更されるGoogleのアルゴリズム。昨年明るみに出たFacebookのデータ虚偽のデータ報告(くわしく読む→Facebookの広告は意味がない?どこまで信用するべきか)。正解のないものを求めるようなデジタルマーケティングですが、デジタルの使用頻度は増え続ける一方なので、担当者としては絶対に諦めるわけにはいきません。ロンドンに拠点を置く世界最大の広告代理店WPPのCEOマーティン・ソレル氏は、ほとんどの企業がデジタルマーケティングに掛ける予算を減らしていないと明言しています。「マーケティング責任者たちは、測定データが正しくないことを懸念しており、デジタルマーケティングに費やすコストを削減したいと言っています。しかし、実際にはコストを変更している事実は認められません。彼らの言動には非常に驚いて、言動ではなく行動を見て判断するべきだと気が付きました」
秘密主義なデジタルメディア
P&Gの最高ブランド責任者Marc Pritchard氏は、デジタルメディアに対して、透明性を要請し続けており、今年2017年3月2日のスピーチでも、その姿勢を変えてないと話しました。また、GoogleやFacebookに対して電話で交渉を行っているとも述べました。P&Gだけではなく、Unileverも同じように懸念を表明しており、マーティン・ソレル氏は、これに対して下記のように述べています。「P&GとUnileverは、デジタルメディア上での詐欺、虚偽のニュース、不透明性、測定データの正確性に対して懸念を表明しています。Marc Pritchard氏は、FacebookとGoogleが十分な対策を行っていないことを再確認しましたが、私はその必要性に激しく同意します」それではなぜ、マーケティング担当者が、その組織内や広告代理店にも、デジタルメディアの不透明性を懸念していると表明している中、実際に予算を削減を行っていないのでしょうか。
デジタルの鍵を握る企業が他にも…
GoogleとFacebookのデータの不透明性の問題は、マーティン・ソレル氏にとって、眠りを妨げるような大きな問題ではないと言います。なぜなら、デジタルのデータを持っているのは、GoogleとFacebookだけではないからです。第三の鍵を握っているのは、Amazonだと、マーティン・ソレル氏は述べています。Amazonは、検索履歴だけではなく、消費者の行動履歴などのデータも持っており、まもなくGoogleを脅かす存在になると考えているのです。そこで、WPPはAmazonのための広告代理店をシアトルに置きました。「AmazonとGoogleの間には検索の戦いが進行中です。この戦いは同様に、FacebookとSnapchatなどの間でも起こり、検索エンジンとソーシャルメディアの両方で起こりかねます」
デジタルマーケティングの未来を信じて
本来ならば、デジタルマーケティングの手助けになるはずの、GoogleとFacebook。その透明性には、まだまだ問題がありますが、多くのマーケティング担当者は、デジタルマーケティングの可能性や将来性を信じています。懸念しながらも、予算削減を行っていない裏には、このような心理が隠されているのではないでしょうか。デジタルメディアは、マーケテイングのためだけではなく、全ての利用者にとっても、公正であるべきです。WPPやAmazonが、デジタルメディアにどのような影響を与えるのか、今後はますます目を離せません。