デジタルは全てをスピード化する?オーダーメイド服をその場で

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歴史的に見ればさほど長いとはいえないこの20数年という期間で、デジタルは瞬く間に発達し、人々の行動を大きく変えてきました。日本のインターネットの普及率だけ見ても、現在80%以上にも上っており、そのうちの半数近くがスマートフォンを使用しています。インターネットの普及以前、人々が情報を得る媒体は、テレビや雑誌などの紙媒体に留まり、情報発信を行えるのは、ごく一部の限られた人たちでした。そして、それらの情報が一般の人々に公開されるのには、一定の時間を要しました。しかし、現在はSNSなどを介して、一般の人々の手により、瞬く間に情報がシェアされることが、当然のようになりつつあります。そして、その情報が及ぼす影響は計り知れません。

ショーで見た服はどこで買えるの?

ファッション業界では、ブロガーやインスタグラマーの影響が大変顕著です。パリやロンドンなどのファッションウィークを訪れた彼らは、雑誌よりも遥かに早く、ほぼリアルタイムとも言えるスピードで情報を発信します。その投稿を見た人々が、掲載されていたアイテムをすぐに手に入れたいと、ブランドに問い合わせを行うことも少なくはありません。しかし、ショーで発表されたアイテムが実際に店頭に並ぶのは、生産上の都合などもあり、従来ならば半年後なのです。

新鮮さが大切?従来の方法を変えるべきなのか?

シーズンごとで流行の変わるファッション業界では、新鮮さが商品を売るためには欠かせません。ファッションウィークで発表されるアイテムをリアルタイムで見られるのは、少し前までなら、限られた業界の人達だけでした。したがって、情報が配信されるタイミングはコントロール可能で、店頭にアイテムが並ぶ時期に合わせて、一般の人たちに向けたマーケティングが行われていました。現在、この従来通りの方法を続けるべきか、それとも、ショーで発表するアイテムを店頭ですぐに購入できるようにするべきかという論争が、ファッション業界で繰り広げられており、ブランドによっても考え方が異なっています。

オーダーした服をその日のうちに受取れたら?

このようにスピード化するファッション業界を体現するかのようなショップをアディダスが、ベルリンで期間限定でオープンします。ショップではメリノのセーターのオーダーメイドが行われ、注文してから約4時間後に受け取ることが可能になります。この注文から製造の段階で使用させるものは、紛れもないデジタルです。注文の段階では、顧客が映画館のような暗室に通され、数10種類の異なるデザインとパターンが胸に投影されます。その中から好きなものを隣接するタッチパネルで選択し、さらに細かい色の組み合わせなどの調整も行います。サイズ調整は、標準サイズからの選択するか、3Dスキャンで正確なフィッティングを行うことも可能で、その後、機械によってセーターが編み出されます。

デジタルは新しい体験も可能に

デジタルは、人々の行動を変えてきましたが、アディダスのオーダーメイドセーターのような新しい体験すらも与えてくれます。しかし、このような新しいスピード感のある体験を好む人もいれば、時間をかけて丁寧に作られたものを好む人もいて、顧客が求めている体験は様々です。ブランドのイメージによって、デジタルをどのように、どこまで取り入れていくのかということを考えていくべきであり、今後もさらにデジタルが発達するにつれて、その論争に終わりはなさそうです。

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