食を楽しむだけではない?外食に新しい価値を見出せば……

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イギリスに400店舗以上、ヨーロッパに40店舗以上を構える、イタリアンレストランチェーンPizzaExpress。1965年にロンドンのウォードーストリートに1号店を構えて以来、本格的なイタリアのピザを楽しむことができるレストランとして親しまれてきました。そんなPizzaExpressですが、昨年2016年に総額1700万ポンド損失を抱え、売り上げが0.9%減少していたということが明らかになりました。この損失には、新たなピザのチェーンレストランの台頭など、あらゆる原因が考えられます。ここでは、経営回復を図るための、今後のPizzaExpressの方針に焦点を当てていきます。

PizzaExpressのライバルとは?

現在ロンドン市内に40店舗を構えるFranco Mancaは、PizzaExpressにとって、新しいライバルだと考えられています。Franco Mancaは、シンプルなメニュー構成で、クオリティーの高い本格的なピザを低価格で提供し、この2~3年の間で急速に成長を遂げました。また、低価格でありながらも、それを感じさせない店舗の雰囲気や顧客の層により、ブランドのイメージ作りにも成功しています。店舗数ではまだまだPizzaExpressの方が勝りますが、Franco Mancaは、健康志向に向き始めた現在のイギリス人の思考とも上手くリンクしており、勢いという意味では優勢と言えそうです。

ライバルと同じ土俵で戦わない

このようなライバルとPizzaExpressが正面だって競争する場合、食材の供給元や店内の内装など、見直していくべき項目は多岐にわたります。早急な経営の立て直しが必要な状況で、これらの項目を改善するのは、現実的ではないように思われます。そこで、PizzaExpressはあえてこの部分で戦うことはせず、別の部分でブランドイメージの再構築を図るという方向性を示しています。

レストラン内で楽しめるものとは?

PizzaExpressは1969年にロンドンのディーンストリート店にて、Jazzコンサートを行って以来、いくつかの店舗で同じように音楽のパフォーマンスを行ってます。これは、カジュアルなチェーン店のレストランではあまり見られない例であり、この部分を強化することが、ブランドイメージの強化につながると考えられます。PizzaExpressのマーケティング責任者Amanda Royston氏は、ビジネスでライバルが台頭するのは、当然のことだと前置きした上で、「若い世代の人たちに、今までのPizzaExpressと違うイメージを植え付けるチャンス」だと述べました。ロンドンのホルボーンにあるPizzaExpressの店舗では、すでに音楽以外にも、有名人のトークショーや、コメディーのトークショーなども行われており、今後はこのようなステージのパフォーマンスを強化していく予定です。

何かを改善する良い機会

Amanda Royston氏は、現在の決して明るいとは言えない状況を「毎日のように何かを改善するためのチャンスだと捉えている」とコメントしています。このような哲学を持って、実行と改善を繰り返していくことが、結果としてより良いブランドの構築に繋がっていくことでしょう。

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