売り上げが3割以上増える?あなどれない「色彩」の効果とは
実は言葉や単語を読むよりも先に、人はその色を認識しています。ブランドのロゴやイメージカラーの決定、その使い方に注意を払わなくてはならないのは、これが大きな理由なのではないでしょうか。ここでは、いくつかのブランドの色に対する考え方を例に挙げながら、色の効果について考えていきます。
Fortnum&Masonのターコイズブルー
Fortnum&Masonは、ロンドンに本店がある百貨店で、もともとは食料品店として開業し、今では300年以上の歴史を誇っています。この300年間、Fortnum&Masonはターコイズブルーをイメージカラーとして貫き通しています。イギリスでは、ターコイズブルーといえばFortnum&Masonを連想させるほど、その色のイメージは消費者の意識に根付いており、色がブランドのアイデンティティを確立するのに、大きな影響力があるということが、ここからも見て取れます。Fortune&Masonのプロダクト&パッケージデザイン責任者のYvonne Isherwood氏は、「色は最大の広告ツール」と語りつつも、その使い方の注意点についても語っています。「私たちはそれを過度に使用しないように、細心の注意を払っています。ブランドのイメージが安っぽくなること、人々がそれに見飽きてしまうことを防ぐためです」これによって300年以上に渡り、ラグジュアリーなイメージを保ちつづけていられるのでしょう。Fortnum&Masonのinstagram このように色はブランドのイメージを決定づけます。しかしそれだけではありません。色は消費者の気分や感情も左右するため、使用のしかた次第では収益に影響を与える可能性もあるのです。
ホンダのショールームでの実験
ホンダは神経科学の研究機関Experience Insightと協力して、ある実験を行いました。それは、通常のショールームと、実験のために用意した青い壁のショールームとで、営業担当者や顧客の行動、売り上げを比較するというものでした。青い壁のショールームでは、商談が冷静でよりリラックスして行われる傾向が見られました。その結果、通常のショールームよりも、売り上げが平均して約35%高くなりました。ホンダ販売店のオーナーであるHSHモーターグループのマネージングディレクターWarwick Humphries氏は、実験前は、色を含めた全体の環境が売り上げを左右する可能性があると考えていましたが、実験後、このようにコメントしています。「結果は魅力的なものでした。各々のディーラーがどんなに心配したとしても、色はディーラーの全体的な設計戦略の非常に重要な部分だと言わなければなりません」
色と人との関係
色と人の行動や心理との関係は、科学を用いても解明しきれない部分もあり、「これが正しい使い方」と、決定づけることはできません。しかし、ブランドにとっての「正しい使い方」の一つを見つけ出すことができれば、イメージの決定や収益に影響を及ぼすことは、間違いないといえそうです。