年末のクリスマス商戦を振り返って。小売業はどうあるべきなのか

StockSnap_A0ZLU5X6WN.jpg

年末のクリスマス前は、1年で最も物が売れる時期であり、各小売業者はこの時期に最も気合いが入るものです。しかしBRC(英国小売組合い)の報告によると、昨年2017年のクリスマス商戦は、前年比を3.5%も下回る売り上げでした。また、リテール・シンク・タンクの調査では、2012年以来の売り上げの下降であることが明らかになりました。このような状況の裏には何が隠れていたのでしょう。

ブラックフライデーは吉?それとも…?

ブラックフライデーとは11月の第4金曜日のことで、この日を境にクリスマス商戦が始まるとも言われており、多くの小売店が割引を開始します。このブラックフライデーは60年代のアメリカで始まり、70年代にはアメリカの多くの地に広まり、現在ではヨーロッパでも取り入れられています。アメリカではブラックフライデーの前日に当たる、11月の第4木曜日が感謝祭とされており、感謝祭の売れ残り商品の割引を始めるのが、ブラックフライデーとされていました。しかし、感謝祭を祝う習慣のないヨーロッパでは、ブラックフライデーは、売り上げを上げる役割を担う反面、割引価格よって、利益率を下げしまうという懸念もありました。イギリスでは、クリスマス前は「割引価格でなくても買い物客が増える時期」という見方もあるため、このブラックフライデーのセールの参加を止めた少数の小売業者が、良い結果を出しているという現象が見られました。参加を止めた小売業者の複数の担当者は、「適正な価格であるなら、割引しなくても消費者は理解してくれる」「伝統的なクリスマス商戦の形に戻った」と、前向きなコメントを残しています。

オンラインショッピングへの移行

オンラインショッピングの売り上げ高は、平均して前年比8%像を記録しました。以前は配送における不安のあったオンラインショッピングですが、現在は素早い配送や、オンラインで注文して、指定された日以降に、店舗に商品を取りに行くだけというサービスなど、消費者の満足度も高くなりました。また昨年(2017年)は、労働者の収入が伸び悩むなど、経済的に見ても良い状況とは言えず、実店舗での無駄遣いを恐れる消費者が、オンラインで買い物を済ませるという傾向も強く見られました。しかし、M&SのSteve Rowe氏は、販売経路がオンラインへの移行する際の注意点として、顧客が満足しうる配送サービスを提供できないなら、移行に慎重になるべきだと考えており、単純にオンラインセールスを導入すれば良いというわけにはいかないのが現状です。また別の見かたとしては、「小売業とオンラインセールスのと売り上げを切り離して考えること自体がナンセンス」という意見もあり、今後はオンラインセールスを含めた売り上げや利益率で、クリスマス商戦のデータを算出していくべきなのかもしれません。

今年の年末に向けて…

まだまだ先のことだと思われますが、昨年の反省を生かしつつ、今年の年末に向けてどのように動くのかを少しずつ模索していくべきなのでしょう。ブラックフライデーを取りやめて昔の伝統的なクリスマス商戦に戻すのか、オンラインという新しい形を導入するための土台を築くのか、今のうちに打っておくべき手もあるのかもしれません。 

Previous
Previous

世界先駆けピンクのキットカットが日本で売られる本当の理由

Next
Next

デジタル広告市場が変わる?Amazonの新しいサービスとは