世界先駆けピンクのキットカットが日本で売られる本当の理由
ピンク色のチョコレートといえば、いちご味やその他のベリー系の味を連想することが多いでしょう。また、その色はチョコレートの主原料であるカカオの色ではなく、何かしら別のものによって着色されていると考えるものでしょう。しかし、そのような固定観念を覆すかのようなピンク色のチョコレートが誕生したのです。これはルビーカカオという、青みがかった濃ピンク色のカカオから作られるチョコレートで、開発に10年の歳月が費やされました。これを世界最大手の食品メーカー・ネスレが、キットカットとして商品化し、世界のどこよりも早く日本での先行販売を決定しました。
キットカットと言えば…
キットカットは私たち日本人にとって大変馴染みのあるチョコレートのひとつですが、ネスレの本社はスイスにあり、イギリスや他のヨーロッパ各国の人々にとっても、同じように馴染みがあります。したがって裏を返せば、多くの欧米人は、日本でも馴染みがあるということに驚きを表します。このような状況の中で、ネスレはなぜ世界に先駆けた、ピンク色のキットカットの販売場所を日本に決めたのでしょうか。
日本人のある気質を利用して
日本では抹茶味のチョコレートは定番ですが、海外ではほぼ見かけることがなく、珍しい味のチョコレートのひとつです。ネスレは世界各国で食品を販売していますが、このような独自の珍しい商品が、定番化して売れ続けている国は日本のみで、これがピンク色のキットカットを日本で先行販売をする大きな理由になりました。また、このタイミングでの販売には、日本のバレンタイン商戦も大きく関係しています。バレンタインデーは、ヨーロッパでは恋人同士で過ごす日だと考えている人が多く、プレゼントはカップルで贈り合ったり、男性が女性に贈ったりと、ひとつの形に定められてはいません。プレゼントの品物も様々で、その中のひとつの選択肢として、チョコレートがあってもおかしくはないだろうという感覚が近いでしょう。実は、バレンタインデーに恋人にチョコレートを贈ってみては?と最初に提案したのは、1868年のイギリスのキャドバリー社だと言われており、イギリスでは現在でも百貨店のバレンタイン特設コーナーに、チョコレートが並んでいることは珍しくはありません。そうはいっても、日本では、年間のチョコレートの消費量の2割がバレンタインデー用であるとさえ言われており、国外の食品メーカーさえもが、これに目を付けるのは当然とも言えるでしょう。
流行に敏感な若い世代へ
ピンク色のキットカットの販売先は、日本の次は韓国、その次は世界各地へと広げられていく予定で、いずれも流行や新しいものに敏感な若い世代をターゲットにしています。ネスレの販売戦略責任者のSandra Martinez氏は、「キットカットのエッジの効いたクールなイメージは、ピンク色のチョコレートをトレンドにするのに適している」と述べており、ピンク色のチョコレートが定番化する日もいつか来るのかもしれません。