SNS疲れを克服した若者から学ぶ?SNSマーケティングのこれから
イギリスで2011年から放映されている人気のSFドラマ「ブラックミラー」のエピソードひとつに、俗に言う「インスタ映え」をシニカルな視点で捉えたような、「Nosedive(邦題:ランク社会)」というものがあります。このエピソードの中では、SNSの「いいね」の数が自身の社会的評価に直結してしまうという設定になっており、それに翻弄される女性のある種の悲劇が描かれています。イギリスでは、Instagramが見た目による劣等感やいじめを生みやすいと、公共衛生協会が報告していますが、実は現在のところ「SNS依存症」という疾患は存在が認められていないのだそうです。
SNSを使って良いのは1日に何時間?
BBCの調査では、1日にSNSを2~3時間利用するのは過剰であると4割の人が回答したにも関わらず、大多数の人が1日に2時間以上、SNSやチャットを利用しているということが明らかになりました。また15歳の若者の3分の1は、1日に6時間以上インターネットを使い、その大半の時間をSNSに費やしています。しかし、それほど多くの若者が精神疾患を抱えているのかといえば、当然そうではありません。したがって、長時間の使用=依存症と呼ぶことはできないのです。また、オックスフォード大学が、精神的な健康度とSNSの使用時間との相関関係を表すグラフを作成したところ、それがU字型を描くことが明らかになりました。これが意味するのは、一定の使用時間までは、それと精神健康度がほぼ比例し、一定の時間を超えるとほぼ反比例するということです。しかしながら、SNSと一概にいっても、Facebook、Twitter、Instagramなど、様々なものが存在するため、「使用は〇時間がベストである」と単純に判断することはできません。
実はSNS疲れは減少傾向。その理由とは?
昨年(2017年)のジャストシステムの調査では、SNSを使用し始めたころに比べて、疲れを感じることが少なくなったという回答が6割にも上りました。以前にも増して多岐化し、利用者も増えいているはずのSNSですが、なぜこのような回答が得られたのでしょうか。先にも述べたように、SNSには様々な種類があります。また、Twitterのように、1人がいくつものアカウントを取得できるものもあります。したがって、特に10代や20代の若者を中心に、SNSの使い分けが行われていることが明らかになりました。たとえば、Twitterには愚痴をつぶやく、Facebookには日記を付ける、Instagramには趣味の写真を投稿するなど、自分なりの使い分けを行っているのです。また、Twitterで複数のアカウントを取得して、同級生用、職場の同僚用などの使い分けをしている若者も珍しくありません。
SNSの使い分け、できていますか?
これをマーケティングに置き換えて考えた場合、数種類のSNSに同じ投稿をし、やみくもにフォロワーを増やすことを良しとしていないでしょうか。若者たちが趣味用のアカウント、愚痴を言う用のアカウントと使い分けているように、アピールしたいものの内容によって、ターゲットを絞ったフォロワーを増やしていく必要があります。また、写真などヴィジュアルでアピールしたい場合はInstagram、インパクトのあるキャッチコピーでアピールしたい場合はTwitterと、その特性によって使い分ければ、より大きなSNSマーケティングの効果を得られるのではないでしょうか。