大不況のイギリスのユニークな景気対策「外食スキーム」とは

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新型コロナウイルスがもたらした不況は、2009年のリーマンショックを上回り、戦後最大だといわれています。今月に入って世界各国が次々と4~6月期のGDPを発表し、年率換算で日本は-27.8%、米国-32.9%、英国-59.8%となりました。スナク英財務相が「今後さらに多くの人が職を失うだろう」とコメントしているように、イギリスの不況は続くように思われます。そんな暗いニュースの中、イギリスでは8月末までの期間限定で、ユニークな景気対策が実施されています。

イギリスの景気対策とは?

景気対策の名前は「eat out to help out scheme(外食して助けようスキーム)」で、人々の外食を促すことで景気回復を見込んでいます。政策の内容は、8月末までの各週月~水曜日限定で、外食の際に最大50%、金額にして1人当たり最大10ポンド(1200円程度)のディスカウントを得られるというものです。全ての外食産業が参加しているわけではなく、任意で参加できるように登録制となっているもののイギリス全土で83,000以上の登録店舗があるようです。対象となるのは、カフェ、レストラン、バー、パブ、食堂、メンバーズクラブなど、イートインできる店舗で、持ち帰りのみの店舗や、持ち帰りの注文は除外されます。また、食べ物とソフトドリンクに限定されているため、アルコール飲料も除外となります。最低利用金額の設定はないため、コーヒー1杯だけでもディスカウントの対象になるようです。店舗側は毎週、政府に割引分の請求が可能で、請求後5日以内に給付金を受け取ることができます。

現金バラマキよりも堅実なのでは?

過去に日本では、景気回復策として1999年の地域振興券、2009年の定額給付金という、「現金バラマキ」と呼ばれるような対策がありましたが、貯蓄に回す国民も多かったため、賛否両論となりました。地域振興券は期間限定の商品券で、直接貯蓄はできなかったものの、元々使う予定だった金額の現金を替わりに貯蓄に回すという、間接な方法が見られました。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、特別定額給付金の支給がありますが、これは家計への支援とされており、景気回復策ではなく人命や生活を守るという目的が強いようです。まだまだコロナウイルス感染や、第二派のリスクが懸念されているため、外食を促して景気を回復させる策にも問題点はありますが、少なくとも貯蓄に回る可能性は低そうです。

今後の日本の景気対策

日本では7月より国内観光需要喚起を目的とした「Go To Travelキャンペーン」が実施され、旅行業界のサポートとなっています。今後は、、飲食代を補助する「Go To Eatキャンペーン」、イベントなどのエンターテインメントを補助する「Go To Eventキャンペーン」などが実施される予定です。

予算額が多い国は?

日本政府はコロナウイルスに関する政策に、GDPの約20%にあたる108兆円規模を予定しています。各国のGDPに対する予算額をパーセンテージで比較すると、現地点で日本は世界2位となります。米国は14%で5位、英国は5%で47位です。中央銀行等による支出を比較すると上記のようなデータになりますが、イギリスを含むヨーロッパの主要国は、企業への新たな融資を保証する制度を設けています。これは銀行の融資も維持できる上、将来的に返済できる企業が多いだろうという見通しのため、政府にとって比較的リスクの低い政策となるようです。

結局どのような政策も賛否両論?

イギリスでは他にも、ホテル・外食産業にかかる付加価値税を20%から5%に減税するという政策も実施され、来年1月まで続けられます。これらの政策は、サービス業の業界団体からも高く評価されているものの、「生活に困窮している人や外食をする余裕もない人もいるのに」という批判の意見もあります。失業した人には、過去の日本の「現金バラマキ」のような政策の方が救済措置になるのかもしれません。スキームの終了する9月以降には、外食をする人が減ることも懸念されています。コロナウイルスを気にしないで過ごせるような日が来るまで、こういった論争は続きそうです。

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