「正解のない問題」を考えた結果、日本とヨーロッパの意外な差が明らかに…?

negative-space-boy-girl-puppy-sofa-andrew-branch-scaled.jpg

インターネット上で調べものをしていると、「○○を成功させる唯一の方法」のようなタイトルの記事を3年程度前にはよく見かけました。弊社のブログの場合、「海外進出を成功させるたった一つの方法」や、「インバウンドビジネスを成功させる唯一の方法」のようなタイトルの記事があっても、不自然ではなかったかもしれません。「たった一つの方法」だと書かれていたら、読んでみたい気持ちになるかもしれませんが、ビジネスの場面では「これが正解です」と断言できないことが多いように思われます。もちろん、「AよりはBの方が成功する可能性が高い」ということはリサーチや経験によってアドバイスできるため、弊社ではそういった方法を自信を持ってお伝えしていく義務があると感じています。学生の頃の試験では正しい回答を求められましたが、ビジネスのシーンでは正しい答えを誰も知らないような問題について考えることが増えます。日本経済新聞系の「U22 学びのカタチ」というサイトで「正解のない問題」が出題されているのを見かけ、「たった一つ」ではない自分なりの答えを見つけることが、教育の場でも重要視され始めていることに気が付きました。それと同時に、弊社のこのブログでも「正解のない問題」に回答してみたいと感じました。

「正解のない問題」とは?

https://twitter.com/MofaJapan_jp/status/1115992796991614976上の外務省のツイートの写真では、向かって右側が日本サイド、左側がEUサイドという並びで着席して会合が行われています。何の問題もないように見えるニュースツィートですが、多くの人にリツイートされたのだそうです。「正解のない問題」では、その理由を考えていきます。下記が出題内容です。

(1)EU側メンバー(左側)と比べて、日本側メンバーの特徴は何でしょうか?(文字数の目安は30字以内)(2)この写真が、日本社会のどのようなことを象徴していると思いますか? また、その社会の現状についてどう考えますか? 正解はありませんので、あなたの考えを書いてください。(文字数の目安は100字以上、400字以内)引用元:「この問題に正解はありません」 先生からの挑戦状

回答案を考えていきます

写真を見た瞬間に目に付くのは、左側の白っぽい色の服を着た女性ではないでしょうか。なぜなら他の人たちは暗い色の上着を着ていて、彼女だけが女性的ともいえる色味の上着を着ているからです。この女性を中心に見ていくと、EU側には女性が目だつ反面、日本側には女性が写っていません。これが(1)の回答になりそうです。続いて(2)について考えていきます。日本サイドの写真の中央に河野大臣(当時は外相)が写っているため、会合には河野大臣と同席できるくらい、政治的に高い地位についている人が集まっていることが想像できます。日本側に女性が写っていないということは、「日本では女性の社会進出が難しい」ということを象徴しているように思われます。2020年のジェンダーギャップ指数を調べると、日本の順位は153か国中121位と大変低いことが分かります。米国は53位ですが、上位20位まではほぼ欧米諸国が占めています。ここまでは同じような回答が目立つのではないかと思われますが、「この現状についてどう思うか」は、人によって意見が異なりそうです。「日本も欧米諸国のようになるべきだ」と考える方が大半かもしれませんが、今までなぜなれなかったかを考えると、その理由が一筋縄ではないからです。

ジェンダー指数はどのように計測される?

ジェンダー指数は、経済活動への参加と機会(経済)、 教育の到達度(教育)、健康と生存率(保健)、政治への参加と権限(政治)の4分野の14項目を数値化し、1に近いほど平等ということになります。日本の場合、教育の分野では男女間の格差はほぼなく、経済や政治の分野の格差が大きいようです。女性が男性とほぼ同じ教育レベルであるにも関わらず、経済や政治の分野への進出が少ない理由の1つとしては、社会全体が「女性は結婚して子育てをするべき」と考えている風潮が挙げられます。しかし日本には、「結婚や出産で早く仕事をリタイアしたい」と自ら望む女性も多いのではないでしょうか。ヨーロッパでは、あまりこのような考え方をする女性を見かけません。女性であってもも、夫婦で平等に家計を支えることが当然と考えている場合が多いのです。その結果、男性も子育てに参加せざるを得なくなり、男女間のギャップが少なくなっているように思われます。女性が子育てのためにキャリアをリタイアするのも、休暇を取ってから復帰するのも、男性が育児休暇を取るのも、それぞれの選択の自由であるべきです。また、結婚や出産しないという選択肢も認められるべきです。それぞれの自由な選択を尊重するためには、それを許容する職場の環境が必要なのではないでしょうか。コロナウイルスの感染拡大による外出規制で、働き方改革が一歩前進したようにも見えますが、まだまだ改善の余地はありそうです。なぜ「結婚や出産で早く仕事をリタイアしたい」女性が多いのか。それは、職場の環境があらゆる面において女性に優しくないからかもしれません。働きやすい環境があれば、仕事を続けたいと考える女性も増えるはずです。そうすれば、高い役職に付く女性も増え、経済や政治の分野でのジェンダーギャップも小さくなるのではないでしょうか。

日本が海外に進出していくに当たって

弊社はロンドンに拠点があり、日本企業の海外進出をサポートしていますが、日本とヨーロッパでは習慣が異なることが多いため、クライアント様にまずその違いを具体的にお伝えするようにしております。女性の社会進出も、ヨーロッパの習慣としてお伝えしたい事柄のひとつです。ツィートの中の写真で、EUのメンバーが「日本は女性が社会進出していない」と感じたかは定かではありませんが、海外からそのように見えている可能性もあります。「正解のない問題」は、このような課題に触れる機会を与えてくれました。時には答えのない問題を深く考えてみるのも無駄ではありません。 

Previous
Previous

大不況のイギリスのユニークな景気対策「外食スキーム」とは

Next
Next

実名投稿でもネット上の誹謗中傷はなくせない?対策案とは②