ビーガンが地球の未来を救う?サスティナブルな取り組みとは
今や日本でもよく耳にするようになった「ビーガン」。ベジタリアンと違って、卵や乳製品も摂取しないビーガンが、健康志向や動物愛護、宗教的理由を動機とした菜食主義であることは既にご存じだと思います。
しかし、ビーガンが避けているのは食品だけではありません。倫理的な理由から、動物実験で開発されたものや動物由来の製品を避け、動物園や水族館などへ行かない人たちもいます。
ビーガン急増の背景に地球温暖化
ビーガン協会の調査によると、イギリスにおけるビーガン人口は2014年から2019年の間に4倍に増えています。急増の背景には加速する地球温暖化があると言われており、従来の動機からだけでなく、環境保護の意識を持ってビーガンに移行する人々が伺えます。
畜産を食することがどうして地球温暖化に繋がるのでしょうか。それは、畜産の発するメタンガスや排泄物が温室効果ガスを含んでいること、飼料を育てるために森林伐採を進めたことが気候変動の原因の一つになっているからです。人口増加によって肉や乳製品の消費が増えれば畜産の需要も高まり、ますます地球環境が悪化してしまうのです。
エシカルからサスティナビリティへ
ビーガンの目的が倫理的なものから環境保護へ広がってきたように、「エシカル」という言葉が「環境保全や社会貢献」という意味を含んだものになりつつあります。「エシカル」は、エシカルファッションとして聞いたことがある方が多いでしょう。生産に関わる人々と地球環境に配慮した、倫理的で良識的な基準のもとに作られているファッションのことです。
そして、以前の記事にもありますが「サスティナビリティ」という言葉。これは、単に持続可能という意味だけでなく、持続可能性のある「エシカル」な考え方や取り組みに使われるようになってきているようです。倫理的なだけでなく、限りある資源を大切にし将来を護っていこうという意識が社会に広がっています。
※サスティナビリティについてはこちらの記事をご覧ください。
→ コロナ収束後のニューワールドのトレンド2「企業にとってのサステナビリティとは」
→ サステナビリティのため取り組みは企業にも還元される?その理由とは
ファッション業界が注目!キノコ由来の人工レザーとは?
近年、サスティナブル素材を開発する企業やそれらを積極的に取り入れるファッションブランドが急増しています。ロンドンを拠点とする企業アナナス・アナム(ANANAS ANAM)がパイナップルの葉から開発した人工レザー、ピニャテックス(Pinatex)や、イタリアのオレンジファイバー(Orange Fiber)社が柑橘類の皮から開発した繊維などは、エイチ・アンド・エム(H&M)のハイエンド・コレクションによって知られるところとなりました。
そして今、新たに注目されているのが米国の企業ボルト・スレッズ(Bolt Threads)が開発した、マイロ(Mylo)と呼ばれる人工レザーです。
マイロはキノコの菌糸体にトウモロコシ茎基質と栄養素を組み合わせることによって作られています。見た目も手触りも本革に近く同等の耐久性を備えているだけでなく、本革よりカーボンニュートラルで生産スピードも速いといった魅力があります。既にステラマッカートニー(Stella McCartney)のファラベラ(Falabella)というバッグに使用され、2018年にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)に展示されたほどイギリスでは注目されています。
その他いくつかの有名ブランドとも提携し、今年商品化を計画しているとのことです。動物を傷つけず環境に優しい素材であるのみならず、サスティナブルで将来性のある素材は、私たちの生態系とこれからの製造業に不可欠なものとなることは間違いないでしょう。
サスティナブルな商品開発を目指して
新型コロナウイルスの発生で人々の社会問題や地球環境に対する意識が変わり、将来も問題なく続いていく持続可能性、つまりサスティナビリティの大切さを自分事として考える流れがきているように思います。企業側は、それが織り込まれたより良い社会をどのように提供していくかが求められるようになるでしょう。
単に素材に拘った製品を造るのではなく、生産過程から廃棄段階まで追跡可能な流通経路を持ち、生産者の労働環境にも責任を持つ必要があることは言うまでもありません。
サスティナブルな商品開発には、いくつかの課題も出てきます。
例えば、植物由来の素材は石油由来のものよりもコストがかかります。食品においては、ベジミートのような加工食品は環境に良くても健康には悪いと言われています。自社だけでは革新的な素材の開発が難しい場合もあるでしょうから、様々な分野の専門家と協力する必要も出てきます。
また、サスティナブル素材の開発者がたった一つの企業と契約するだけでは、世界規模での環境保護はなかなか進みません。ファッション業界で言えば、デザインや創造性では競争しつつも、環境保護という目的のために協力し合い、他社と同じ素材を使いながら、いかにユニークなものを造ることができるかが求められるでしょう。
イギリスではビーガン人口が増加しているように、環境に配慮した製品の需要が今後も高まっていくと予想されます。エシカルでサスティナブルなイメージをアピールすることが今後は必要となりそうです。
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