禁止だったライドシェアが解禁!日本のタクシー不足は解消される?

禁止だったライドシェアが解禁され、半年以上が経過しました。それでも日本のタクシー不足はいずれとして深刻で、都市部ではタクシー待ちの長い列ができたり、反対に人口に少ない過疎地などでは交通手段がなくて困っている人達もいます。また、訪日外国人からの需要にも追いついていない状況です。

調査会社レポートオーシャンが2021年に発行したレポートによると、2021ー2027年におけるライドシェアの世界市場は年間20%成長の見込みですが、それにも関わらず、現状の日本ではライドシェア事業が広がる様子が見られません。

ライドシェアが日本で禁止だった理由

日本では道路運送法78条で、原則として自家用自動車を有償で運送の用途に使用することが禁じられていました。したがって、ライドシェアは白タク(無許可営業のタクシー)と同じ扱いになってしまっていたのです。

それなら法律を改正すれば良いのでは(?)との声も多かったので、新経済連盟などが規制撤廃を働きかけたり、河野太郎デジタル大臣(当時)や菅義偉元首相などがライドシェア解禁論を唱えたりという動きもみられました。しかしながら、タクシー業界や一部の自治体の反対意見が強く、なかなか簡単には進まなかったようです。

タクシーに関する法律

タクシー事業は、現状でも法による厳しい規制を受けています。新規参入する際には国土交通省の許可を受け、料金に関しても認可を受ける必要があります。各営業所ごとに国家資格を持つ運行管理者がドライバーの勤務時間や体調などの管理を行い、走行の安全を確保しなくてはなりません。車両の点検も毎日行う義務があります。また、普通運転免許ではドライバーになることは出来ず、二種免許を所持している必要があります。個人タクシーの場合でも、これらを全て個人のドライバーが実施しているため、やはりライドシェアのドライバーとは異なるのです。

他にも数多くのルールが存在しており、それらは安全性を確保するためのものなので、厳しすぎるくらいでも仕方がないのかもしれません。これらの厳しいルールを守っているタクシー業界が、規制緩和によって競合が増えることを歓迎するはずはありませんでした。

日本版ライドシェアが解禁!

こういった背景がありながらも、ついに2024年4月1日から「自家用車活用事業」(日本型ライドシェア)が解禁されました。

日本型ライドシェアとは、道路運送法第78条第に基づいて創設された新しい制度です。これによって、事実上はタクシー会社が主体となり、タクシーが不足する地域、時期、時間帯において、一般ドライバーが有償で運送サービスを提供できるようになりました。

日本のライドシェア事業の実施は東京と京都から始まり、10月1日時点で大阪や北海道など全国31地域に広まっています。これだけ聞くと、順調に普及しているように思えますが、実際はそうでもないようです。特に小規模のタクシー会社では、ライドシェアの運転手の雇用が進んでおらず、認可されている台数にすら達していない模様です。

普及しないライドシェア 新しい法律の問題点

日本でライドシェアが普及しない最も大きな理由は、運転手の雇用が確保できないことです。その原因には、依然として規制が厳しすぎることが挙げられます。

ライドシェアには運行時間の制限があり、例えば大阪市と周辺地域では、金曜の午後4~8時、土曜の午前0~4時、午後4~8時に限られています。また、運行できる地域にも規制があり、大阪の場合、訪日客の需要が高い関西国際空港周辺では許可が下りていないようです。これでは、ライドシェアの運転手として雇用されても、安定した収入を得ることが出来ません。そうなれば必然的に、雇用の確保が難しくなります。

このように制限が厳しく、大きな収益も期待できないことから、多くのタクシー会社はライドシェアの普及に積極的ではありません。ライドシェアを増やす目標を設けていない会社も多いようです。

デメリットはあっても、メリットがない日本版ライドシェア

二種免許を所持しているタクシードライバーと比較した場合、ライドシェアの運転手の安全性を懸念する声も上がっています。ライドシェア保険が存在しているとはいえ、当然、事故は避けたいものです。事故に巻き込まれるのは稀なケースだとしても、ライドシェアの運転手は慣れたタクシードライバーのように裏道を熟知しているわけではないので、渋滞に巻き込まれるといった不都合は生じがちです。

また、海外では過去に様々な事件が発生していることも事実です。たとえば女性の乗客が性犯罪に遭う例や、ドライバーの飲酒運転や薬物使用などの例も報告されています。ライドシェアアプリでは、一般的にドライバーと乗客が互いに評価し合うことになっていますが、それでも稀に事件は起きるようです。しかしながら、これは通常のタクシーにもいえることかもしれません。

こういったデメリットがあるにも関わらず、海外でライドシェアが普及している理由は、料金面でのメリットが大きいからです。しかし、日本版ライドシェアは料金面のメリットも少ないため、それならば通常のタクシーに乗りたいと考える人が多いようです。

日本でライドシェアが普及する日は来る?

日本人の乗客にはメリットが少ないライドシェアですが、現状でも訪日客からは高い需要があります。配車アプリ「ウーバージャパン」は、都内の利用客の8割以上が外国人だと公表しています。海外で使用しているアプリをそのまま利用できること、日本語が話せなくても問題ないことなどが、メリットとして挙げられています。ただ、訪日客の需要に車両の台数が追い付かない事態も発生しているようです。

タクシー事業は地域、季節、時間帯などによってニーズが大きく異なります。国が一律でルールを作るのではなく、各地域で時間や台数の制限を議論するなど、柔軟なルールが必要なのかもしれません。海外では地域ごとに制度を変えたり、混雑具合によって料金が変動したりと、かなり柔軟な対応がなされています。

自民党総裁選の影響で、ライドシェアに関する国と地方自治体との協議が進んでいなかったようですが、徐々に改善されていくことに期待したいところです。

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