世界幸福度ランキング 高いor低い理由 北欧,ブータン,日本
2024年も残すところ2か月を切り「今年は良い年だっただろうか?」と、振り返る機会も増えてくるのではないでしょうか。健康に過ごせたので良い年だったと思う人もいれば、その程度で良い年だったとは思わない人もいて、何を基準に幸福だと考えるかは人によって異なるものです。それにも関わらず、世の中には国別の幸福ランキングが存在しています。一体何を基準にランク付けしているのでしょう。
幸福ランキングとは? その基準は? 簡単に解説
世界幸福度ランキングとは、世界各国の人々の幸福度を数値化して順位をつけたもので、毎年3月に発刊される「World Happiness Report(世界幸福度報告)」で公表されています。作成者は国連の関連機関である「持続可能な開発ソリューションネットワーク(Sustainable Development Solutions Network)」で、独立した専門家のグループであるため、公平で信ぴょう性の高いデータだと言われています。
幸福度ランキングの評価基準は、個人の主観的な生活満足度の平均です。各国約1,000人ずつの回答者が、生活満足度を計るいくつかの質問に対し、0~10点で数値化して答えています。質問内容は国の政治や政策、交友関係、SNSなど幸福度に関わる様々な項目を網羅しており、多元的な視点で測定されていることが分かります。
次に現時点で最新である、2023年の世界幸福度ランキングを紹介します。
世界幸福度ランキング2023
1位 フィンランド
2位 デンマーク
3位 アイスランド
4位 イスラエル
5位 オランダ
6位 スウェーデン
7位 ノルウェー
8位 スイス
9位 ルクセンブルク
10位 ニュージーランド
11位 オーストリア
12位 オーストラリア
13位 カナダ
14位 アイルランド
15位 米国
16位 ドイツ
17位 ベルギー
18位 チェコ
19位 英国
20位 リトアニア
……
47位 日本
……
最下位・137位 アフガニスタン
【出典】WHR 2023, CHAPTER 2: ‘World Happiness, Trust and Social Connections in Times of Crisis’ ※2o位以降の全てのランキングはこちらからご覧になれます
上位には北欧、オセアニア、北米の国々がランクインしていることが分かります。日本は47位と低いように思えますが、それでも前回の54位から上昇しています。
フィンランドなど北欧の幸福度が高い理由
北欧の幸福度が高い理由には、福祉給付、汚職のないクリーンな政治、高度に機能した民主主義や国家制度が挙げられています。自由で平等な社会も自国民に高く評価されています。治安の良さ、市民間の高い信頼関係なども幸福度につながっているようです。最近ではジェンダー間の平等も、幸福度に影響していることが分かっています。これが上位にランクインしていないアジア諸国と北欧との、大きな違いだとも考えられます。
また、フィンランドの首都ヘルシンキは、2019年に世界で最もワークライフバランスの整った住みやすい都市にも選ばれており、仕事とプライベートのバランスも幸福度に影響していることが分かります。
オセアニア、北米、ヨーロッパなどランキング上位の国々にも、北欧と似た傾向が見られます。同じような傾向がある中で、国民の幸福度において、最も優れているのが北欧だということなのかもしれません。
ブータンは幸福度ランキングから消えた…?
ブータンに「幸せの国」のイメージがある理由は、 1970年代に第4代国王ジクメ・センゲ・ワンチュクが提唱した「GNH(国民総幸福量)」だと考えられます。ブータンでは、GNH(国民総幸福量)がGNP(国民総生産)よりも重要だと考えられており、憲法にも明記されています。国を挙げて、幸福のために経済成長よりも環境やコミュニティの保護が優先しているのです。
このような背景があったため、ブータンは2013年に世界幸福度ランキング8位となり、小さな発展途上国ながらも「世界一幸せな国」として注目されました。「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」と語るブータン国民の姿がメディアに報じられ、そんな考え方もあるのかと驚いた人も多かったのではないでしょうか。
そのようなブータンですが、2019年に156か国中95位となった後はランキングに登場しなくなり、2023年版でも国名を確認することが出来ませんでした。以前は他国の情報が入ってこなかったブータンですが、昨今はSNS等を通して他国の情報が入ってくるようになり、比較する対象が出来たことが国民の幸福度低下の原因として挙げられるようです。
日本の幸福度はなぜ低いのか
欧米諸国と比較して福祉やインフラが著しく劣るとは思えない日本ですが、なぜそれらの国よりも幸福度が低いのでしょうか。これには様々な要因があるようですが、意外にも日本人の持つ遺伝子が関係している可能性があります。
日本人は遺伝的に、幸せホルモンの一つであるセロトニンが少ないようです。セロトニンを体内でリサイクルせずに排出する体質になる、「不安遺伝子」を持っている人が多いのです。
不安遺伝子の保有率は民族によって異なり、日本人80.25%、中国人75.2%、台湾人70.57%、スペイン人46.75%、アメリカ人44.53%、南アフリカ人27.79%と、アジア人の方が多いことが分かります。不安遺伝子と対照的に、セロトニンが多い遺伝子を持つ人はアメリカ人に32.3%いるのに対し、日本人にはたったの1.7%しかいません。日本以外のアジア諸国も幸福度ランキング上位に入っていませんが、もしかしたら遺伝子と関係があるのかもしれません。
不安遺伝子を持つ人の行動には、事前にしっかり準備をする、もしものために備えておくという特徴があります。日本の国土面積は世界の0.25%であるにも関わらず、災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、活火山数7.0%、災害による死者数0.4%、災害被害額18.3%です。人類の長い歴史の中で、日本のような災害の多い地域で生き残るためには、不安遺伝子を持っている方が有利だった可能性もあります。日本人の幸福度が低い理由は、生まれつき心配症な人が多いことが原因かもしれませんが、それは仕方ないのかもしれません。
その他の日本の幸福度が低い要因としては、最近の「子持ち様批判」に見られるような不寛容さや、ジェンダー間の不平等が挙げられそうです。
↓こちらの記事もご参照ください。
幸福は主観的なもの?
情勢が不安定な国の幸福度が低いことは事実ですが、日本はそのような国には分類されません。以前のブータンの国民のように当たり前なことに感謝して、それを幸せだと考えてみるのも悪くないのではないでしょうか。