【少子化対策&子育て支援】海外の成功例,日本との違いを比較

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日本の少子化&「子持ち様」批判。海外の反応は?

「子持ち様」とは、子育て中の方が社会の中で優遇されている(ように見える)ことを揶揄する言葉で、最近SNS等でよく見かけるになりました。「子どもが熱を出して欠勤した同僚せいで、自分に仕事のしわ寄せがきてしまった」といった不満を書き込む際などに、頻繁に使用されているようです。

海外掲示板Redditでも日本の「子持ち様」批判が話題となっており、目立つ意見をまとめると下記のようになりました。

・子どもの病気で欠勤することと、子どものいない人が病欠することに大きな差はないのでは? なぜ子どものいる人だけが、批判されるのか

・子育て中の人が悪いのではなく、企業や社会のせい。怒りの矛先が間違っているのでは?

・働く人が子どもを持つのは、特別なことではない。そんな普通の生活すらできない社会では、少子化が進むに決まっている

海外でも子持ちの人が欠勤することはありますが、どうやら日本よりも寛容な捉え方をする人が多いようです。

欠勤に対してだけでなく、妊娠中の女性やベビーカーで公共交通機関を利用する人に対しても、海外の方が日本よりも寛容に見えます。ロンドンのバスや地下鉄では、妊娠中を意味する「Baby on board」のバッジを付けた女性に席を譲らない人は稀で、ベビーカーを持った人の乗降車を手伝う人もよく見かけます。反対に「出歩かなければ良いのに」と不平を言っている人は、見たことがありません。

海外と比較した場合、日本の社会が妊娠中や子育て中の方に対して不寛容であるのは否めませんが、「それでは少子化は日本だけの問題なの?」と、疑問の声も上がりそうです。実は少子化問題を抱えているのは日本だけではなく、先進国の多くが同じ問題に直面しています。

日本だけでなく、海外も少子化が進んでいる?

CIAのThe World Fact Bookによると、2024年(8月現在)の日本の合計特殊出生率は1.40で、調査対象227カ国中212位でした。日本よりも下位にはスペインやイタリアなどのヨーロッパ諸国、韓国や台湾などのアジア諸国が見られます。日本よりも上位の先進国を見ていくと、イギリスが1.63で177位、アメリカが1.84で133位、出生率が高いイメージのあるフランスが1.92で121位、スウェーデンが1.67で169位でした。

このように先進国においては、目標値である2.10に届いている国がほとんどないことが分かります。人口の増加が見られる国はサハラ砂漠以南に限られており、どうやら先進国である以上、出生率の低下や少子化は避けられない問題であるようです。

その原因として考えられるのは、女性の社会進出です。先進国では男女の教育水準がほぼ同じであるため、途上国と比較した場合、社会に進出する女性が圧倒的に多くなります。働く女性にとって、出産や育児がキャリアや収入に悪影響を及ぼすのを避けたいと考えるのは、当然のことです。そうなると、必然的に出生率も低下します。したがって、働く女性が子どもを産んで育てたいと感じるような社会づくりが、少子化対策には必要不可欠です。

少子化が先進国にとって避けられない問題であるとはいえ、日本の出生率はG7で最下位です。そこで、先進国の中でもフランスやアメリカのように比較的出生率の高い国が、どのような少子化対策や子育て支援を行っているのかを見ていきましょう。

【少子化対策&子育て支援】海外の成功例

フランスの少子化対策&子育て支援

フランスでは約1世紀に渡って試行錯誤しながら、少子化対策を行ってきた歴史があり、今では子どもが多いほど有利になる社会制度が確立されています。

フランスの代表的な子育て支援には、2子以上を養育する家庭に子どもが20歳になるまで支給される家族手当、3子以上養育する家庭への大幅な減税や年金の増額などが挙げられます。

フランスの子育て支援はこれだけではありません。職場では勤務日や時間を自由に選択でき、育児休暇中は父母ともに賃金の80%を保障されます。保育機関に子どもを預ける場合は、補足手当を受けることもできます。また、認定保育ママやベビーシッターといった子どもの預け先が多く、待機児童問題に悩むことも少ないようです。

高校生までの学費は原則的に無料で、大学も数万円程度の手続き料がかかる程度でほぼ無料です。出産にかかる費用は無料、不妊治療の費用も43歳までは公費で賄われます。ここまで保証されているのなら、金銭的に余裕がないことが、出産を諦める理由にならないでしょう。

事実婚や婚外子も社会的に認められており、これらの制度が適用されます。

スウェーデンの少子化対策&子育て支援

結婚したい若者が少ないことが、出生率を低下させる要因の1つだと言われていますが、スウェーデンにはサムボと呼ばれる、事実婚や同棲の制度があります。婚外子に対する法律上の差別は全くなく、社会的な差別もほぼありません。そのため婚外子の割合が、なんと半分以上を占めています。結婚に比重を置かないので、出産へのハードルが下がっているのではないでしょうか。

また、男性の育児休暇の取得率が8割近くにも及び、日本の男性の2.6%と比較して、圧倒的に高いことが分かります。

イギリスの少子化対策&子育て支援

イギリスには「タームタイム・ワーク」という働き方があります。タームタイムは学期を意味し、「タームタイム・ワーク」とは、子どもの夏休みや冬休みのスケジュールに合わせて、働くことができる仕組みです。イギリスでは10人に1人がこの働き方をしています。

また、イギリスでは医療費が無料なので、出産や避妊治療にかかる費用、子どもの医療費も必然的に無料になります。

アメリカの少子化対策&子育て支援

アメリカは州ごとに法律が異なるので、国を挙げての少子化対策はあまりありません。その割に出生率が比較的高い理由には、移民を受け入れてきた歴史が挙げられます。ヒスパニック系移民の出生率は、白人の出生率よりも高いことが分かっています。

また、民間の保育サービスが充実していることも、子育てしやすい環境につながっているようです。

日本の少子化対策は成功するのか

日本の人口は2017年の約1億2800万人をピークに徐々に減少しており、今世紀末までに5300万人以下になると予想されています。それでも、OECDが2005年に行ったシミュレーションでは、適正な少子化対策がなされた場合、日本の出生率は2.0まで回復する見込みがあるようです。

するべきことは「子持ち様」批判ではなく、「フランスなど海外の国々に匹敵する、適正な子育て支援をしてほしい」と、皆が声を上げることなのかもしれません。

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