【2026年版】企業が知っておくべき 英国/EUの製品安全ルール

英国やEU市場への進出を検討している日本の企業にとって、製品安全に関する法規制の動きは、今後の輸出戦略を左右する重要な要素です。

特に昨年2025年は、英国とEUの双方で下記のような製品安全の新たな法体系が整備された節目の年となりました。

  • 英国:Product Regulation and Metrology Act 2025

  • EU:General Product Safety Regulation(Regulation (EU) 2023/988)

これらは2026年以降、実際の運用・施行段階へと移行していく見込みであり、今のうちに備えておくのが得策です。


本記事では、両制度の概要と、2026年以降に求められる実務対応をわかりやすく整理します。

英国「Product Regulation and Metrology Act 2025」とは?

2025年7月に成立したこの法律は、英国政府(Office for Product Safety and Standards: OPSS)に、製品安全・販売・計量・オンライン取引に関するルールを改定・新設するための包括的な権限を与えるものです。

現時点ではこの法律自体が直接的な新義務を定めているわけではありません。

しかし、今後2026年以降に発表される「二次法(Secondary Legislation)」を通じて、具体的な規制内容が追加されていく見込みです。

想定される主な改定ポイント

  • オンライン販売に関する責任の明確化
    マーケットプレイス(例:Amazon、eBayなど)運営事業者にも、製品安全の監督責任を課す方向が検討されています。
    これにより、製造者・輸入者・販売者のいずれか一者だけでなく、販売チャネル全体で安全管理が必要となります。

  • サプライチェーンの透明化
    製造者・輸入者・販売者・設置業者の役割を明確にし、記録保存・追跡(トレーサビリティ)管理の義務化が進むと予想されています。

  • 表示・計量ルールの見直し
    製品の数量表示や単位(metric / imperial)に関する規制が整理され、英国独自のルールとして更新される可能性があります。

2026年以降の見通し

英国政府は、EUとの規制整合性よりも「独自の安全・表示基準」の確立を重視する姿勢を明確にしています。

そのため、CEマークとUKCAマークの運用差が今後さらに広がる可能性が高く、輸出企業は両基準に対応した設計・表示体制を構築しておくことが推奨されます。

EU「General Product Safety Regulation(Regulation (EU) 2023/988)」とは?

EUでは、2024年12月に「一般製品安全規則(General Product Safety Regulation: GPSR)」が正式に施行され、2025年を通じて各国で本格運用が始まりました。

この新制度は、旧「一般製品安全指令(Directive 2001/95/EC)」を置き換え、すべての消費者向け製品の安全性・透明性を一段と強化するものです。

主な変更点(2025年施行内容)

  1. EU域内の「責任者(Responsible Person)」設置が義務化
    EUで販売される製品には、EU域内で安全責任を持つ代表者(RP)を指定することが求められます。
    RPは製品の技術文書を保持し、当局・消費者からの照会に対応します。

  2. 中古・再製造品も対象に
    GPSRでは、新品だけでなく再生品や中古品も「安全な製品」として扱う義務が生じます。
    これにより、再利用を行う企業にもリスク評価と安全表示の整備が必要となります。

  3. オンライン販売の規制強化
    ECサイトやマーケットプレイス上で販売する場合、商品情報・警告文・販売者情報がすべて正確に表示されていることが必須となりました。
    オンライン上の表示と実際のパッケージが異なる場合、「誤表示」として罰則の対象になる可能性があります。

2026年以降の対応ポイント

EU当局はGPSRの運用を通じ、越境ECやサードパーティ販売の監視を強化しています。特に日本などEU域外の企業に対しては、EU内で迅速に対応できるRPとの契約関係が重視されるようになっています。

日本企業が2026年以降に確認しておきたい実務ポイント

英国・EU両市場での販売を視野に入れる場合、2026年初頭の時点で以下の準備を完了しておくことが望ましいです。

  • 対象規制の確認
    自社製品がCEマーキング対象か、UKCAマーク適用対象か、GPSRの範囲に含まれるかを明確にします。
    特に電気・電子製品、玩具、日用品などは複数規則にまたがる場合があります。

  • AR/RP契約の見直し
    英国の※Authorised Representative(認定代理人)やEUの※※Responsible Person(責任者)との契約において、販売後の安全管理・当局対応・クレーム処理の範囲を明確化します。

  • 技術文書と記録管理の体制整備
    リスク評価書、テスト結果、回収履歴などをデジタルで保管し、当局からの要請時に即時提出できる状態にしておくことが求められます。

  • オンライン販売情報の整合性確認
    商品説明、ラベル、取扱説明書、Web掲載情報が一致しているかを定期的にチェックし、GPSR違反を防止します。

用語解説「ARとRPとは?」

英国とEUの法制度では、海外メーカーに代わって当局とやり取りする「現地責任者」の設置が求められています。

 AR(Authorised Representative/認定代理人)
英国内に拠点を持たない製造者に代わり、UKCAマークに関する適合宣言、技術文書の保管、当局対応を行う代理人。

※※RP(Responsible Person/責任者)
EU市場において製品安全・苦情処理・情報提供を行う責任者。GPSRではこの設置が義務化されています。

いずれも「販売代理店」とは異なり、法的責任を伴う役割である点が重要です。

2026年は「二重対応」がカギ

2025年の制度改正を経て、2026年以降の英国・EU市場では、それぞれ独自の安全基準を持つ二重体制が明確になりました。

日本企業に求められるのは、

  • 製品安全文書・表示の整合性

  • 現地責任者(AR/RP)との連携強化

  • 規制動向の定期的モニタリング

この3点を中心にした持続的な対応です。


早期に準備を進めることで、英国およびEU市場でのブランド信頼性を高め、安定した事業展開が可能になります。現地代理人(AR/RP)契約に関しましては、お問い合わせ よりお気軽にご相談ください。

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