スターバックスリザーブとは?ブランドはどう在るべきか
日本には1996年に銀座に1号店をオープンした、アメリカ発のコーヒーチェーン「スターバックス」。洗練された印象の店内、開放的なテラス席などが当時は目新しく、若い女性を中心に大きな話題を呼びました。スターバックスの日本進出は、喫茶店とは異なるスタイルでお茶やコーヒーを楽しむという、いわゆるカフェブームをも巻き起こしました。そんなスターバックスですが、現在は日本各地に店舗を持っており、進出当時のような目新しさは、あまり感じられません。また、それ以外にも個人経営のお洒落なカフェが地方にも、無数に存在しており、美味しいコーヒーを純粋に楽しみたいのなら、そういった店舗に足を運んだほうが良いと考える顧客も多いのが事実です。
スターバックスはもうお洒落じゃない?
それでもまだ日本では、スターバックスは、オリジナルのマグカップなどのグッズのコレクターなど、固定のファンも多く持っており、お洒落だというイメージが根強くあります。しかし欧米人にとっては、また事情が異なります。なぜなら、特にヨーロッパでは、開放的な店内に、テラス席を持つカフェというのは、もともと生活に根付いているものであり、進出当時から特に目新しさがあったわけではありません。イタリア人やフランス人などを中心に、ヨーロッパ人は、自国のコーヒー文化に誇りを持っている人も多いのです。また、昨年ブレクジットの選挙が行われたイギリスでは、反グローバル主義のような人も多いため、アメリカの帝国的な資本主義を批判する人も多く、マクドナルドをはじめ、様々なアメリカ企業を批判的に見ている人も少なくはありません。そういったヨーロッパ人が、スターバックスを利用する主な理由は、フリーWi-Fiでインターネットを使用できるということや、長居しやすい空気感です。美味しいコーヒーや、特別な体験を期待する人は、あまり多くないのが現状といえるでしょう。
ブランドイメージを変えるために
スターバックスの債務責任者のスコット・モー氏は、スターバックスが、どこにでも在るからこそ、高品質なコーヒーを提供していないと誤解されてしまうことに懸念を表しています。スターバックスは、世界30ヶ国に2,5000の支店を持っており、この数字だけ見れば、大成功を収めている企業だと言えるでしょう。しかし、そこに落とし穴があったのです。そこで、スターバックスは、「スターバックスリザーブ」を限られた店舗で取り扱うことで、ブランドの再構築を図っています。
スターバックスリザーブとは?
スターバックスリザーブは、希少性の高い豆を使用し、注文があるごとにその場で豆を挽くという、スターバックスの新しいラインナップです。日本には、ヨーロッパよりも早い2011年に販売が開始され、現在でも全国60店舗以上のスターバックスで、販売されています。スターバックスリザーブのコーヒーは、通常のコーヒーよりも値段が高めに設定されていますが、コーヒーに拘りのある顧客でも納得のいく味にだと評判になりました。
日本よりも難しいヨーロッパの市場
ヨーロッパでは、2015年にロンドンで初めて、スターバックスリザーブのコーヒーが販売されました。コーヒーやカフェに対する評価が厳しいヨーロッパですが、スターバックスリザーブによって、ブランドのイメージをコントロールすることが出来れば、独立型の店舗に顧客を取られることを防ぐばかりか、新しい顧客の獲得にも繋がることでしょう。事業の拡大などよって引き起こされた弊害とも言える、ブランドイメージの低下に、早い段階で気が付き、新たなブランドのイメージを再構築すること。これは、スターバックスだけに言えることではなく、どのようなブランドにおいても、成長の段階で必要不可欠な、大きな分岐点ともいえるでしょう。