英詩「If」に学ぶ。新製品立ち上げの際のマーケティング

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If you can meet with Triumph and DisasterAnd treat those two impostors just the same;Rudyard Kiplingの「If 」より引用

 「もし栄光と悲劇に出会ったとしてその2者の湾曲した偶像を等価に扱うことができたなら」 今まで上手くいっていたはずの方法が急に機能しなくなったとしても、慌てる必要はありません。前に上手くいったからといって、次も必ず上手くいくとは限らないからです。また、新しい方法が上手くいかなかったとしても、完全な失敗だと落ち込む必要はありません。その失敗を次に生かすことができるからです。冒頭で引用した、ジャングルブックの著者として知られている、ジョセフ・ラドヤード・キップリングの詩「If」は、英語を第一言語とする人々の間で、教訓として語られることが多々あります。その教訓は、新製品の立ち上げの際のマーケティングにも、適応できます。

 古い公式は打破するべき

「古い公式は打破するべきです。以前に成功したからといって、再びそうなるとは限りません」レゴのデジタルマーケティングディレクターのSara Holt氏は、今年(2017年)5月11日にロンドンで行われた講演で、そう語りました。Sara Holt氏は、テレビ局で働いていた際の経験を例に挙げて、これを説明しました。立ち上げ当時に大成功を収めたチャンネルが、数年後に機能しなくなった際、彼女は放送を打ち切ったのです。またテレビCMに関して「視聴者はもはやCMを見ることはない」と言及しており、これも打破すべき数式の一つだと述べました。機能しない公式をどう書き替えるのか、それが組織にとって常に大きな課題となります。

「失敗」とは「成功」の定義をどう定めるか

ノキアのUKとアイルランドのCEO、Cormac Whelan氏は、Sara Holt氏の意見に同意しながらも、「失敗」について独自の見解を述べました。「失敗?それは何を持って成功と呼ぶかによって決まります。私はそのようなものはないと信じています」たとえば、「5年後に新製品を立ち上げること」を成功と呼ぶなら、失敗するかもしれません。しかし、製品の開発は消費者の動向を読みながら行うべきであり、本来ならばそういった製品が開発できた場合に、それを成功を呼ぶべきなのです。それを行った結果、5年後に画期的な新製品は開発できないかもしれませんが、それは問題ではありません。このように、消費者が望むスピードとタイミングで、新製品を開発するためには、開発に携わるチームと、マーケティングのチームとの連携が必要であるといえるでしょう。

失敗は成功の元

中国の故事成語や日本のことわざにもある通り、上手くいかなかった事柄から学ぶというのは、新製品の開発やそれに伴うマーケティングにおいても、欠かせません。「栄光」と「悲劇」、「成功」と「失敗」は、起こった事柄に対して、誰かがそう名付けたというだけに過ぎないのです。デジタルの進化に伴い、消費者の動向も目まぐるしく移りゆく時代だからこそ、一喜一憂しない粘り強さを身に着けていきたいものです。

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