カスタマーエクスペリエンスを向上を妨げるものとは?
カスタマーエクスペリエンスとは、顧客経験の価値を意味し、製品やサービスそのものの価値ではなく、使用した際に覚える満足感などの感覚的な価値を意味します。世界的に行われた調査で、カスタマーエクスペリエンスの質が低い場合、約9割にも及ぶ顧客が、ブランド変更を行うということが明らかになりました。それにも関わらず、多くの企業で、カスタマーエクスペリエンスの責任を誰が負うべきなのか明確でないという現状があります。
責任の所在がはっきりしない?
最新のKPMG Nunwood US Customer Excellence Excellenceのレポートでは、カスタマーエクスペリエンスは、ブランドの差別化を図るために最も重要であると、半数以上のシニアリーダーが回答しました。しかし、カスタマーエクスペリエンスのデータに関する責任の所在を問う質問は、CMO(マーケテイング責任者)の35%、CEOの37%、CCO(顧客責任者)の29%が、自分にあると回答しました。また、この調査の回答者の39%は、リアルタイムでの、カスタマーエクスペリエンスの動向が、CCOを任命する際に大きな理由になると考えています。
組織にCCOを加えるべき?
組織にCCOの役職がなかった企業でも、様々な分野でCCOの役員を加え始めています。イギリスの企業では、スーパーマーケットのTescoが今年の3月に、北米Alessandra Belliniの元Unilever副社長をCCOに任命し、EasyJetはマーケティングコミュニケーションの責任者のIan Cairnsを1月にカスタマーディレクターの新しい役割に昇進させました。同レポートでは34%の回答者が、組織にCCOを導入したのち、CMOが新しい顧客の獲得に重点を置くと回答しました。
単一の顧客観を達成するために
カスタマーエクスペリエンスの責任の所在が明らかでないことは、統合した顧客データを取りたいと考えているマーケティング担当者の意向を邪魔します。調査ではCMOの47%が、顧客のニーズを把握するための適切なツールを持っていないと回答しています。シニアリーダーの31%は、顧客データの統合が企業にとって最も大きな課題であると考えており、56%は技術的改善と人工知能への投資が課題だと回答しました。
カスタマーエクスペリエンス向上には
カスタマーエクスペリエンスの向上には、データを統合して、ブランドとしてのイメージを画一化することが欠かせません。またその上で、一人一人の顧客をパーソナライズし、個人に合わせたサービスを提供するべきなのです。そのためには、カスタマーエクスペリエンスのための役職を置き、責任の所在を明確にしておく必要があるといえるでしょう。