英国の選挙。労働党が行った成功したキャンペーンとは?

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(2017年)6月8日にイギリスで下院選挙が行われ、開票の結果、保守党が318議席を獲得し、第一党の座を保ちました。しかし単独では過半数に届かず、テリーザ・メイ首相は、他党との連立政権を組むという方針を示しています。野党第一等の労働党は今回の選挙で、262席を獲得し、政権を奪回することはできなかったものの、前回の232席から大躍進しました。4月に実施された世論調査では、保守党の支持率が43%、労働党の支持率が25%と、保守党の圧勝が予想されていたにも関わらず、このような労働党の大躍進が起こった理由について考えていきます。

若者の投票率に注目

前回の下院選挙は2015年にあり、その際の18~24歳の若者の投票率は43%でした。また、昨年2015年のブレクジットの投票でさえも、若者の投票率は64%に留まりました。しかし、今回の選挙の若者の投票率は75%と記録的な数字を収めました。全英学生連合(National Union of Students)によると、この世代の若者の66%が労働党に投票したという調査結果も得られています。したがって、今まで投票に行かなかった若者の支持を受けることによって、労働党が議席数を伸ばしたと言えるのではないでしょうか。

若者の心を掴むなら…?

We Are Socialの調査洞察責任者Andre van Loonは、労働党の成功したキャンペーンは、「正直であるイメージの確立」によるものであると考えています。さらにSNSを通して、労働党の党首ジェレミー・コービンは「正直でユーモアのある政治家」であるという認識を広めました。例えばinstagramを用いて、支持者が作成した編み物の人形の写真と、「誰かが時間を割いて小さい私を作ってくれるなんて、例えようもないほど嬉しい」というコメントを投稿したり、人形と一緒に写っている写真を投稿したりという、親しみやすい一面を見せています。またその写真が、SNSで大量にシェアされるという現象も起きました。このような写真がシェアされると同時に、若者が政治についてSNS上で議論を交わすという場面も多く見られました。

混乱はまだまだ続く?

今回の選挙では、世代間の考え方の格差が露呈したと、Cranfield大学の政治マーケティング教授Paul Bainesは述べました。若者の心を掴むことによって、労働党の大躍進があったものの、政権を握っているのは保守党であり、このまま2019年3月29日には正式にイギリスはEUからの離脱を行う予定です。以前の記事(ブレクジットで英国が失いつつある予想外のものとは)にもあったように、様々な分野においても弊害が見られることでしょう。決定事項であっても、それが大多数の意見ではなく、わずかに上回っているというのに過ぎないため、今後もますます混乱は続いていくのではないでしょうか。

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