「須藤本家」の生酒をロンドンで。日本の歴史を味わう試飲会
6月18日に開催されたジャパンセンター主催の試飲会では、茨木県の酒蔵「須藤本家」の生酒などを味わうことができました。生酒とは、製造や出荷など全ての工程において、火入れと呼ばれる過熱処理を一切行わない日本酒を指します。火入れを行わない日本酒は、作りたての透明感のある味を楽しむことができます。しかし、大変デリケートな取り扱いが必要になるため、製造されても地元で消費されることが多く、日本国内であっても店頭に並ぶことは稀だと言われています。そのような生酒をロンドンまで輸入するには、細心の注意が必要になることは、容易に想像がつくでしょう。ジャパンセンターでは空輸の際にもセ氏1度を保ち、遠く離れた地で、新鮮な味をそのまま楽しめるようにしているのだそうです。
「須藤本家」のお酒とは?
須藤本家は、一般的に日本酒造りの糧といわれる米や水だけではなく、土や木にもこだわった純米大吟醸を製造している茨城県の酒蔵です。土が重要な所以は、米作りのためだと想像が及びますが、「木」へのこだわりとはいったい何なのでしょうか。須藤本家は850年以上の歴史を持っており、古くから「杜の蔵」と親しまれ、その名の通り、酒蔵の周りには木が生い茂っています。その木々が日本酒作りに適した環境を与えてくれるため、代々「木を切ってはいけない」と伝えられてきたのだそうです。ここには、自然の恵みに感謝してきた古代の日本人の心が残っているように感じられ、日本酒の味を通して、そういった文化をロンドンや他のヨーロッパの地に伝えられたらと強く感じました。
どのように見せるか
今回の試飲会が行われた場所は、ロンドン中心部のHeddon Streetにある和食レストラン「SAKAGURA」でした。David Bowieのアルバムジャケットの撮影場所として知られている、裏道ながらも有名なこの通りに位置するレストランの店内は、和のテイストをモダンに取り入れた雰囲気で、日本酒を味わうのにぴったりな環境でした。試飲にあたっては、大変丁寧な説明をいただき、このようなブログ記事を書くにいたっておりますが、日本酒に大変興味があるものの、まだ詳しくは分からないという海外の人々にとっては、「須藤本家」の製造工程の映像や、写真のポップなどで見せられたら、より伝わりやすいのではないかと感じました。「須藤本家」の日本酒造りの裏にあるような、自然と共存し、常に感謝をするという日本人古来の心は、海外で非常に評価も知名度も高いジブリの「もののけ姫」に通じるものも感じるため、分かりやすい見せ方ができれば、日本酒や日本の文化への親しみを今以上に感じてもらえるのではないでしょうか。また弊社としては、そういった脇役を担えたらと強く感じる機会となりました。