70年代~2018年まで「マーケティング40年の歴史」を振り返って
「マーケティングの起源はいつか?」という問いには、おそらく答えがありませんが、「マーケティングの黄金時代はいつか?」という問いに対しては、「70年代だろう」という答えをよく耳にします。この頃の広告は、コピーライティングと写真で消費者の心に訴えかけるというものが主流で、現在とはかなり異なりました。しかし、それらの一部は今もまるで芸術作品のように人々の心にとどまっており、懐古的な意味も込めて、70年代が黄金時代であったと言われているのでしょう。アップル社が創業したのも、ちょうどその頃で、優れたマーケッターとしての側面も持つスティーブ・ジョブズ氏が、マーケティングの重要性に気づいたのもこの頃でした。
「ユーザーにとっての価値は何?」
1977年にアップル社はAppleⅡを発売し、これは専門的な技術者ではない個人ユーザーのために作られた、世界で初めてのコンピューターとなりました。AppleⅡが発表される前の逸話に、こんなものがあります。当時コンサルタントを務めていたレジス・マッケンナ氏は、20代の若者であったスティーブ・ジョブズと、同じく創業者のスティーブ・ウォズニアックに、「そのコンピューターの機能には、ユーザーにとってどのような価値があるのか」と、問いました。技術的な説明ばかりをしていた開発者のウォズニアックは、不貞腐れてしまいましたが、ジョブズは、そういった物の見かたが重要なのかもしれないと、大変興味を示しました。レジス・マッケンナ氏は、スティーブ・ジョブズのマーケッターとしての才能をすでに見抜き、また早くも90年代には、近い将来SNSやスマートフォンが市場を大きく変えるだろうと、予測していました。
重要視されていたマーケティングですが
70年代にその重要性が再確認され、輝かしい時代を迎えたマーケティングですが、80~90年代には、多くの会社で縮小されていきました。ヒューレットパッカード社のパッカード氏は、80年代に、「マーケティングの重要性を考えると、とてもマーケティング担当者に任せておけない」と発言し、これはマーケティングの部署が縮小し、組織として機能しなくなってきていたことを危惧していたようにも捉えられます。80~90年代には、全体的にマーケティングは予算が縮小され、他の部署に統合されるなど、形として見えなくなっていきました。
デジタル時代が到来して
先に述べたレジス・マッケンナ氏の予測通り、2010年代に入って「デジタル革命」が起こります。これによって、マーケティングは低予算だあるにも関わらず、大きな収益をもたらすものとして返り咲きました。また、低予算であることから、今まで広告を打ち出すことが考えられなかった個人事業主や、小さな商店などにとっても、広告が身近な存在となり、マーケティングの大衆化も起こっています。
2020年に向けて…
現在デジタル広告やインフルエンサーマーケティングでさえも、不透明性の問題を抱えており、今後これがクリアーになっていくことで、さらにマーケティングに革新が起こるのではないでしょうか。また、デジタルとリアルがうまく融合し、双方の良さを生かしたマーケティングにも期待したいところです。