Amazon一辺倒にならない国イギリスの百貨店の取り組みとは?

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前回の記事(Amazonを受け入れて共存するべき?消費者のために正しいこととは)では、Amazon一辺倒になることへの問題点に触れましたが、イギリスが米国ほどAmazonの一人勝ち状態にならない理由のひとつとして、John Lewisの存在が挙げられるかもしれません。伝統を重んじる国民性を持つイギリス人は、米国発の目新しいものに飛びつくことが少ないため、John Lewisのような百貨店を好む人が多いということも考えれられますが、それだけで片付くほど簡単なことではありません。それではJohn LewisはどのようにAmazonに太刀打ちしているのでしょうか。

John Lewisのネットショップ事情

2018年のJohn Lewisのレポートによると、オンラインショッピングサイトへの来訪者の比率は、スマートフォンからが42%、パソコンからが30%、タブレットからが22%となりました。スマートフォンからの来訪者は前年比から17%増加となり、初めてパソコンからの来訪者を上回りました。しかし、商品の購入額はパソコンからが51%を締め、スマートフォンや携帯電話は21%となりました。そうはいっても、モバイル端末からの購入は前年比の16%から、5%の上昇が見られました。レポート上では、「今年は人々が最も便利な方法でショップを閲覧する年でした。購入を熟考するのにはパソコンが用いられましたが、モバイル端末もそれに追いつきつつあることは明らかです」と記されています。

スマートフォン端末ならではの…

スマートフォンからの閲覧者の上昇を受けて、John Lewisは独自のアプリも開発しています。その利用率は、前年よりも訪問者数が45%、注文数が56%も上昇しており、急速な普及が見られます。また、SNSの利用も積極的に行われた年となりました。John Lewisの社員の間で、SNSを通して商品に対する生の声を共有することをはじめ、顧客一人ひとりがキュレーターとなって、商品に対する知識を共有できるような場も設けています。これは、John Lewisのオンラインショップの、顧客一人ひとりの個性を生かすという理念を追行しており、これを踏まえて、50店舗+329社のパートナーがSNSマーケティングの指導を受けて、実際に利用しています。

オンラインショップでも伸び悩んだのは?

実店舗での売り上げが下がっているものは、全体の売り上げが伸びているオンラインショップでも、売り上げが減少している傾向がありました。たとえば、DVDプレーヤーの売り上げは40%減、デスクトップコンピュータの売り上げは15%減、テレビの売り上げは34%減でした。レポートでは、テクノロジーの影響を受けないものも一部あると報告されています。こういった例外はあるものの、伝統的な百貨店が新しいテクノロジーに取り組むことで、イギリスがAmazon一辺倒になることを防いでいると言っても過言ではないでしょう。

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