オンライン広告費を削減した“ある企業”の革新的な考え方に迫る

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世界的に見て、オンラインマーケティングへの投資額が増加傾向にある中で、その流れに逆らうかのように、オンライン広告費を削減した企業があります。多くのマーケティング担当者が「なぜ?」と首をかしげるような選択をしたその企業は、P&Gで、その削減額は今月(2018年11月)のISBA年次総会でのスピーチによると、20~50%に当たる金額である、2億ドルにも上りました。

オンライン広告は無意味なのか?

P&Gが、デジタル広告の大手プレーヤー(ここではあえてそう呼ばれていますが、GoogleやFacebookであると考えられます)から得たデータによると、広告の閲覧時間の平均は、たったの1.7秒であることが分かりました。P&Gの最高ブランド責任者のMarc Pritchard氏はこれを「チラっと見るより少しマシな程度」と、皮肉を交えて語りました。「大手プレーヤーの次の課題は、私たちの投資が実際にどれだけの売り上げをもたらしたかを明確に伝えることです」とも語り、具体的には、「広告がリーチしなかった人の中に、もしリーチしていたらセールスに繋がったかもしれない人がいるのかを分かるようにするべきだ」と述べました。大手プレーヤーの持つデータの膨大さに驚かされ、それに従うがべくして、多くの企業が投資しているオンライン広告費ですが、そのデータが開示されないのであれば、投資の意味は半減してしまいます。また、オンライン広告への投資額を削減したP&Gではありますが、オンラインそのものへの予算は削減しておらず、AmazonやアリババなどのEコマースへの投資を行っています。しかし、これらEコマースのプラットフォームに対しても、P&Gはデータの可視性を求めています。

広告代理店との付き合い方

Marc Pritchard氏は、ブランドと広告代理店との連携に対しても疑問を呈しています。今の広告代理店との付き合い方は、「時代遅れの狂ったやり方だ」と述べながらも、その責任は広告代理店だけにあるのではなく、ブランド側、即ちP&G側にもあると認めています。以前にも増して、顧客の趣味や趣向が細分化されている昨今では、顧客一人ひとりと向き合うようなマーケティングが必要となってきています。そこには細かいデータの分析が必要となり、ブランドの特性を知り尽くしたブランド側が、文字通り自分の手を動かしてキーボードをたたく必要があると、Marc Pritchard氏は考えています。そうは言っても、広告代理店との付き合いは長く、そう簡単に関係性を変えれられるものではありません。しかし、Marc Pritchard氏が目指すのは、広告宣伝のメディアと、ブランドのクリエイティブなチームとが、シームレスに関わり合える環境なのです。単純に数値化されたデータを追い求めるだけのマーケティングも、顧客のターゲットを細かく絞らないマーケティングも、今後は時代遅れとなり、クリエイティビティが求められていくのではないでしょうか。

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