実名投稿でもネット上の誹謗中傷はなくせない?対策案とは①

インターネットやSNSの普及により、一般の人が不特定多数の人に向けて情報発信をすることが可能となりました。たとえば弊社のこのブログも、その恩恵を受けているひとつと言えます。インターネット普及前なら、署名人や有識者でなければ情報発信をすることができなかったにも関わらず、現在では一般人にも意見を述べる場が設けられ、場合によっては他者に大きな影響を与えることも可能となりました。また、インターネット上での運動は、政治にまで影響を与えるようになっています。大統領選挙を控えているアメリカでは、トランプ大統領の集会をボイコットして、ステージに一人で立たせようという運動がおこり、支持者を装った偽の出席予約が殺到しました。この運動は匿名で行われたがゆえに、トランプ大統領支持者からの誹謗中傷を恐れることなく、多くの賛同者が組織化できたのだと言われています。最近の研究では、匿名の方が自由な発言がしやすいこと、思いを共有する人たちが組織化しやすいことが分かってきています。

匿名はネット上の誹謗中傷を生む?

自由な発言ができるというメリットの裏には、自由に他者を中傷できてしまうというデメリットも隠されています。今年プロレスラーの木村花さんが、出演番組内での言動に対して書き込まれた大量の誹謗中傷に悩み、それが原因で亡くなったことがニュースとなりました。テレビに出演しているような著名人だけではなく、一般の人たちの間でもSNS等の誹謗中傷が問題となっています。インターネット上の違法・有害情報に関する総務省の相談窓口には、2015年度以降、毎年5千件を超える相談が寄せられています。

実名制は誹謗中傷を止められるのか

インターネット上の誹謗中傷が日本よりも一足早く問題となった韓国では、1日当たり10万人以上の訪問者があるサイトの書き込みに対して、実名登録を義務づける「インターネット実名制」を導入されました。サイト運営者に利用者の本人確認を求め、従わない場合は罰金を科すという制度です。しかし、この制度は2008年に導入されたものの、20012年に廃止されました。「表現の自由の観点から違憲である」と判断された上に、掲示板サイト全体の書き込み件数は減ったものの、誹謗中傷の件数に大きな変化が見られなかったからです。誹謗中傷をするような極端な意見の持ち主は、自分が正しいと信じているため、実名制を恐れないという分析結果となったのです。

インターネット上の誹謗中傷を止める方法は?

欧米では、人種差別などのヘイトスピーチが規制なれるなどの対策はされていますが、それでもインターネット上の誹謗中傷は後を絶たちません。日本でも被害の報告をすれば、サイトの運営側に投稿者のIPアドレスなどの情報開示を求めることができますが、そこから誰かを特定して民事裁判を起こすのには、膨大な時間がコストもかかります。また、誹謗中傷の投稿が多数となれば、個人を特定するのも難しくなります。総務省では現在この問題を議論しているようなので、今後何らかの対策案が出されるでしょうが、問題を解決するのには、個人でも意識を変えていく必要があるように思えます。次回の記事ではその対策について考えていきます。

Previous
Previous

実名投稿でもネット上の誹謗中傷はなくせない?対策案とは②

Next
Next

なぜレジ袋が有料化されたの?リサイクル率のデータの落とし穴