広告を超えたリーチとインパクト【OOH・DOOH広告】の魅力・メリットとは

※こちらの画像は著作権フリーサイトからのイメージです。

近年、企業のマーケティングにおいて重要視されている「OOH」をご存じでしょうか?OOHとはOut of Home(アウトオブホーム)の略で、その名の通り、家庭の外に設置された屋外広告を指します。外出している不特定多数の人々に向けて展開されている広告ということです。その中でも、デジタル媒体のものはデジタルのDを加えてDOOHと呼ばれています。このウェブ広告時代に、なぜOOHが注目されているのでしょうか?単なる広告と言い切れないOOHの魅力に迫りたいと思います。

【OOH広告】の急成長、デジタル化で更なる可能性

イギリスのOOH業界団体OUTSMARTの会長Justin Cochraneが「OOHの力強い成長は、信頼できるメディアとしての地位と、広告主が結果を出すためにこれまで以上にクリエイティブに使用しているメディアであることを示しています」とコメントしているように、その特徴や効果から様々な表現方法であらゆるジャンルの広告主が期待を持ってOOHを活用しはじめています。同社の調査によると2010年に8億8000万ポンドだったイギリスのOOHの収益は新型コロナウイルス流行前の2019年時点では約13億100万ポンドと、10年間で1.5倍の成長を見せています。特にDOOHは1億2800万ポンドから6億9400万ポンドと、著しい成長を遂げています。スマートフォンやSNSとの連携で今後ますます成長の可能性があるとも言われています。つまり、OOHは広告主である企業側から見ても利用する価値のあるマーケティング戦略と言えるでしょう。かつては単なるポスターや看板と考えられていたOOHですが、このような近年の急激な進化にともない、その訴求方法も変わってきています。OOHやDOOHとはどんな表現方法があってどのように活用されているのか、ウェブ広告と比べてどんなメリットがあるのかをまとめました。

【OOH・DOOH広告】の種類・活用方法

OOH:壁面広告、ビルボード、看板、ポスター、モバイルビルボードなど

屋外の広告媒体はすべて分類されるため様々な種類がありますが、主に利用されているものはこちらの種類であり、特にインパクトのあるものは大型の壁面広告やビルボードであると思われます。通りに面した塀や建物の壁を利用した広告は、単なる大型ポスターを貼ったものだけでなく、アート作品のようなハンドペイント、チョークやステンシルを使ったグラフィティ、プロジェクタで映像を映し出す方法など様々です。宣伝目的のオブジェを通りに置いたようなインスタレーションもOOHに分類されます。モバイルビルボードは、日本ではアドトラックやラッピングカーと呼ばれる、荷台に広告を貼ったトラックが多いと思います。ロンドンではバスやタクシーに貼られているのもよく見かけます。町中を走ることで認知拡大を図るためのもので、低コストでできるだけ多くの人に知らせたいというときに利用されています。繁華街では多くの人にインパクトを与えることができます。

DOOH:街頭ビジョン、デジタルサイネージ

街頭ビジョンとはビルの壁面などに設置されている音声と共に映像が放映されるメディアのことです。人が集まる繁華街や、信号機のある交差点のように人が立ち止まる場所に設置されていることが多いです。デジタルサイネージは、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアの総称です。コンテンツの差し替えが柔軟にでき、タイムリーな情報発信ができることから普及しました。一方的に映像と音声を流すだけでなく、その場にいる人に体験を通じて商品に興味を持ってもらったり店舗へ誘導したりするようなものもあります。例えば、アパレルショップのAR試着体験やゲームをクリアすると商品クーポンが貰えるといったものです。また、センサーを付けて通行人や天気に反応させたり、時間帯によって表示するものを変えたりなどクリエイティブな試みもできるため、単なる広告には留まらない可能性が期待されているメディアです。DOOHの面白い事例は、また別の機会にまとめたいと思います。

その他:交通広告、街頭イベント

駅構内の広告や、公共交通機関、バス、タクシーなど移動空間を活用した広告のことをまとめて交通広告と言います。駅のように多くの人が日常的に行き来する場所に広告を出すことで、認知拡大が見込めます。さらに、通勤や通学で同じ人が反復的に見る可能性、電車内の場合は長時間乗る人もいるため接触時間が長い利点もあります。駅構内の様々な媒体を同時に利用する駅ジャックは、その駅や街のイメージを付加したプロモーションが可能です。ロンドンでは2020年に、ソニーがPlayStation5発売のプロモーションで地下鉄をジャックし、話題になりました。また、サンプリングイベントなど試供品の配布イベントのようなイベントもOOHに分類されます。プロモーションイベントやエリアジャックのような宣伝方法は限定感が強いのでSNSで拡散されやすいでしょう。

屋外広告【OOH・DOOH】のメリット・効果とは

OUTSMARTによると、消費者は外出中には積極的な考え方を持っているということが学術研究で分かっているそうです。つまり、新しいメッセージを吸収し、それに関わろうとする傾向が強いということです。スマートフォンの急増も相まって、外出先で広告を見た消費者は、これまで以上に迅速に検索、共有、買い物をする可能性があります。では、具体的にどのようなメリットや効果があるのかを見てみましょう。

訴求効果が高い - ブロックされない

インターネット上の広告やテレビCMの場合は、ブロックやスキップ、チャンネルを変えたりして回避できるので、実際には視聴者に届いていないということがよくあります。しかし、OOH・DOOHの場合は街中を歩いていると自然と視界に入ってくるので、興味があろうがなかろうが情報を受け取ることになります。何らかの形で遮断することができない唯一の媒体と言えるかもしれません。広告の前を通った人数やその場で費やした時間が増えれば増えるほど、その視聴者は増加しているという確かな結果に繋がるということです。

視認性が高い - インパクトがある

雑誌やテレビCMなど他のメディアと比べて、広範囲な壁面広告やビルボードはインパクトがあるので人の目に留まりやすいのが特徴です。人が多い場所や都市部でよく利用され、認知度を広げる効果が非常に高いです。

拡散されやすい - SNSマーケティングが自然にできる

ユニークなインパクトのある広告やプロモーションイベントは、どこかの企業の宣伝媒体という以前に人の目を集めます。それが「シェアしたい」ほどのものなら、写真を撮ってSNSに上げる人たちが出て来て瞬く間に拡散されるでしょう。話題になれば有名スポット化される可能性もあります。広告を背景に写真を撮りSNSに上げたい人たちが、自動的に宣伝もしてくれていることになるわけです。

ブランディング効果がある

従来の紙媒体やデジタル画像の広告だけでなく、グラフィティやプロジェクタを利用した壁面広告、3D広告のようにクリエイティブな表現ができるため、自社に合ったテイストの表現方法で他社と差別化することができます。自社の商品が作り出すブランド要素によるイメージや価値を消費者に植え付け、選ばれやすくすることに繋がります。

アドフラウドやヘイトコンテンツ問題の恐れがない

ウェブ広告の場合は、自動プログラムなどによって不正にインプレッションを増やしたり、実際はされていないクリックを水増ししたりして広告費を搾取しようとする詐欺に引っかかる恐れがあります。様々な詐欺手法があるので根絶は難しいと言われており、人が見ていないにも関わらず広告費を無駄に払うことになってしまいます。その点、OOHは確実に消費者に届いていることが分かるため安心です。また、ヘイトコンテンツやブランド価値にそぐわないコンテンツに広告が掲載されてしまい、ブランドイメージに傷が付くということも起こり得ません。

その他 – 信頼できる指標データRoute

OOHは、ウェブ広告と比べると特定の場所にしか出すことができないため、本当にこの場所で効果があるのかという不安があるかもしれません。しかし、イギリスには広告主からの信頼を得るために、OOH業界共通で使用されているRouteの指標データがあります。指標データは、モニターに対応端末を持たせ、媒体の前にいつ、どれぐらいの人がいるかを測定し、他のデータや媒体の向き、視認可能エリアなどと合わせて出されたものです。平等で信頼できるデータのもと、広告を出すのに効果的な場所を選択することができます。

【OOH・DOOH広告】が導くマーケティングの未来

OOHは特定の場所に出すメディアであることから、ウェブ広告のように一度に広範囲に展開することが難しい媒体です。しかし、前項目で挙げたように強制的で反復性訴求力があり、ブランドイメージを崩すことなく消費者に伝えることができる強みがあります。また、自由な発想でクリエイティブできることやエリアジャックのように街ごとメディアにできることから、アイディアや表現の仕方次第では現実と広告の間の視覚的な境界線をぼかすこともできます。そういった意味では、強制的でなく人を引き込み、何か特別なものを他人と共有したいように感じさせ、情報の拡散へと繋げることができるでしょう。インパクトを与えられる創造性と確実なインプレッション、体験として消費者を引き込む、従来の広告イメージを超えたとも言える広告がOOHなのです。さらにDOOHの場合は、ターゲティングや消費者との対話も可能であり、「今この瞬間の状況、ここにいる人」にだけ届くメッセージとして、より消費者に響く広告となり得ます。スマートフォンとの連携で消費者の動向追跡ができるとも言われており、今後も要注目です。 弊社ではロンドンをはじめイギリスの主要都市において、クリエイティブな壁面広告やビルボードなどを活用したマーケティングのサポートを行っております。詳細資料については、「お問い合わせ」よりどうぞお気軽にお尋ねください。 ※OUTSMART(https://www.outsmart.org.uk/)、Route Research Ltd(http://route.org.uk/)

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