越境Eコマースをはじめよう!商品写真の撮り方とコツ
以前の記事「越境Eコマースの市場規模は拡大傾向?メリットとデメリットとは」で、越境Eコマース(以下「越境EC」と記す)の市場規模が今後拡大傾向にあると書きました。
店舗営業が厳しい状況下で、日本国内だけでなく国境を超えたEC事業進出を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。越境ECをはじめたいと思っている方が最初に作る必要のあるECサイトですが、制作費用はできるだけ抑えたいものです。
今回は初心者でも撮れる基本的な商品写真、いわゆる物(ブツ)撮りの仕方についてまとめてみました。
越境ECサイトにおいて、伝わる商品写真の大切さ
脳に届く情報の90%は視覚的なものであり、画像はテキストより6万倍速く処理されると言われているように、写真一枚で多くの情報を伝えることができます。わざわざ文章を読むことを面倒に思うユーザーは多いと思いますが、写真なら必ず見るでしょう。
ユーザーは写真の情報から商品の特徴や魅力を知って興味を持ち、購入を進めるということです。同じ商品でも写真の良し悪しで印象が大きく変わりますので、売り上げを伸ばすためには商品をいかに魅力的に見せられるかが重要となってきます。
越境ECサイト用の写真を撮ろう!売れる商品写真とは?
まず、良い例と悪い例を見てみましょう。こちらはベーカリーのECサイトに使用する商品写真ですが、上と下ではどちらの方が売れる写真だと思いますか?
答えは上です。ペストリーにフォーカスし目線を合わせて撮影しているため、表面がはっきりと写っており、色や形、質感まで感じることができ、食欲がそそられます。
また、背景に同じ種類の商品をさり気なく写して奥行きを出したり小道具を使用したりしているので、パーティーなどでみんなと楽しく食べるシーンが想像できると思います。このペストリーを買うことで得られる付加価値が購入のメリットを感じさせてくれます。
下の場合は全体を写すことを意識するあまり、質感がはっきりと分かりませんし余白が多くさみしい感じがします。食べるシーンやおいしさも伝わってきません。
食品を撮るときは、特に食べるシーンをセッティングしておいしさを伝えることが重要です。
このように、正確な商品の特徴と購入後のポジティブなイメージを伝えられる写真が売れる商品写真と言えます。
越境ECサイト用の商品写真の撮り方とコツ
1. 明るさを調整する
室内で撮影する場合は撮影用の照明(LEDやストロボなど)が必要です。
まず、メインライトを商品より高い位置に置き、それでは届かない部分に光を当てるために補助的なライトを正面に置きます。これはメインライトによってできた影の濃さを調整するためです。
さらに、2つ目の補助ライトをメインライトと1つ目の補助ライトの中間に置き、商品の後ろにできた影を調整します。
照明を設置したら、ディフューザーとレフ板で光を調整して回します。ディフューザーは光の前に翳して、強すぎる光を拡散したり柔らかくしたりする役割を、レフ板は照明を反射させて意図する方向へ光を回す役割を果たします。
ディフューザーは段ボールで作った枠組みにトレーシングペーパーを貼ったもの、レフ板は銀紙を貼ったボードなどでも代用できます。
撮影後にアプリなどで彩度を加工することもできますが、あまりし過ぎると実際の商品との違いでユーザーの誤解を招いてしまいますので注意が必要です。
2. 商品が際立つ背景にする
商品に合った色合いで、特徴がより際立つ背景にします。
例えば、黒い背景は商品に高級感を持たせることができますし、リネンのような布はオーガニックな雰囲気を出すことができます。
また、ボタニカルな石鹸を売る場合に、石鹸の横に植物の写真やイラストを添えると、植物由来であることをユーザーは一目で理解することができます。背景は商品のストーリーを伝える重要な役割を担っているのです。
とは言うものの、メイン画像の背景は白色が一般的のようです。
アップグレイディッドエイプ社(Upgraded Ape)が実施したテストにおいて、背景を白にするとコンバージョン率が10%アップすることが分かっています。そのことを受けてか、大手ECモールでは商品画像の背景は白くするように推奨、または義務化が進められています。
ケント紙のような厚みのある白い紙を後ろの壁に貼るか、あるいは天井から吊るし、手前に緩やかにカーブさせながら床面まで敷くと背面と床面の繋ぎ目を失くすことができます。
3. 様々な角度から撮影する
商品の全体像とディテールが分かるものの両方を撮影します。高い目線や少し離れたところから撮ったものは全体像を見るのに最適ですし、低い目線や接写モードで撮ったものは商品に触れたり使用したりするイメージが得られやすいです。
カメラを上下左右に動かしながら商品の魅力が最大限に発揮されるカットを見つけ、画面の水平が取れていることを確認してシャッターを押しましょう。
ユーザーが見たいと思われる全ての角度から、できれば360度、商品の詳細が分かる複数の写真を載せることで、購入後のイメージ違いなどで返品されることを防ぐこともできます。
4. 使用イメージを載せる
商品の使い方や使用したらどんなメリットがあるのかを伝えられるシーンを撮りましょう。
商品を誰がどういうときにどのように使用するのかを想像すると、イメージカットが浮かびやすいと思います。
食器を売る場合で例えると、背景にテーブルやカトラリーが写り込むようにするだけで、商品を魅力的に見せるだけでなく使用中のイメージ、例えば家族との楽しい食事の時間などを想像させることができ、ユーザーの購入意欲を高める可能性もあるでしょう。
その他
機材を一点ずつ揃えるのが難しい場合には、物撮りセット、または撮影ボックスと呼ばれる便利グッズもあります。
反射材でできた折りたたみ式のボックスで、多角度撮影可、LEDライト付きです。60cm四方でおよそ1万円前後、他にはスマートフォンかカメラを用意するだけですので非常にリーズナブルです。
越境ECを通して日本製品を世界へ
越境ECを活用することの一番のメリットは、海外に直接出店するリスクやコストを軽減できることにあります。実際の店舗は持たず、オンライン上で商品を紹介し注文が入ったら発送するため、在庫リスクや出店コストを抑えることができるのです。
また、ユーザーにとっては、わざわざ足を延ばさずとも手軽に海外の物を購入できるという利便性があります。世界では包丁やお酒、化粧品など日本製品の人気が高まっているように、越境ECで日本製品を売ることは大きなビジネスチャンスに繋がる可能性を秘めています。
越境ECで販売をはじめるに当たり気を付けたいことは商品写真だけではありません。商品名やネットショップ名の商標権を、日本だけでなく販売先の国でも取得しておいた方がいいなどの配慮が必要だったりもします。
弊社では越境ECサイトの制作や運営サポートも行っております。
「お問い合わせ」より、どうぞお気軽にご相談ください。