ブランディングの意味とは?強化プロセスをわかりやすく解説
生活必需品や身近な雑貨にも、いつも思わず選んでしまうお気に入りのメーカーやブランドの商品があるという方は多いのではないでしょうか。
類似商品があるにも関わらず、思わず同じメーカーの商品を選んでしまうのなら、それはブランディングで構築されたイメージによってもたらされた行動といえるでしょう。
たとえばiPhoneユーザーの多くは、やむを得ない事情でもない限り、別のメーカーのスマートフォンに買い替えることは稀です。
新製品が発表されると、発売と同時に買い求める人も少なくありません。
普通なら、誰も使ったことのない製品に数万円も投資するのは躊躇するものですが、「iPhoneなら使いやすいだろう」「きっと革新的で面白いだろう」というイメージが消費者を購買へ促します。
このような消費者は、そのブランドの信者やファンのような存在です。
iPhoneやAppleがこういった消費者を多く抱えている大きな要因は、緻密な「ブランディング」によって作り上げられたブランドイメージです。
ブランディングとは?
英語の「ブランディング(branding )」の意味
ブランド(Brand)の語源は、古い英語やドイツ語の「焼く」や「印」を意味する言葉からきており、古くはワインの樽や家畜などに、品質や生産者を識別する焼き印をつけることを指しました。
ブランドから派生した言葉であるブランディングは、1980年以降から使われる機会が増えてきたため、現代的な言葉であるともいえます。
オックスフォード英英辞典では、下記のように説明されています。
the activity of giving a particular name and image to goods and services so that people will be attracted to them and want to buy them
(訳:人々がそれらに引き付けられ、それらを買いたいと思うように、商品やサービスに特定の名前やイメージを与える活動)
このようにブランディングとは、ブランドの知名度を上げることだけではなく、魅力的なイメージづくりです。
類似商品があったとしても他と差別化を図り、そのブランドらしさを出していくことで新しい価値が加わります。
そのため、市場の中で競合に打ち勝つためには必要不可欠なのです。
ブランディング強化【3つのプロセス】
1)ターゲティング
ターゲティングとは、その製品やサービスを誰に売りたいかを決めることで、ペルソナ設定にも似ています。
ターゲティングには、市場調査が必要になります。なぜなら、売りたい人たちが自分と異なる価値観を持っている可能性が高いからです。
たとえば60歳以上の定年退職後の夫婦に売りたいと考えている場合、自分とは生活スタイルや趣味趣向が異なるため、どのようなデザインや機能が好まれるか、容易に想像することができないでしょう。
調査してみた結果、その製品はもう少し下の世代に好まれるかもしれないと感じることもあります。
市場のニーズを調査しながら、製品やサービスに興味を持ちそうな人たちを具体的に絞っていきます。
2)コンセプト
コンセプトとは、その製品やサービスのイメージやテーマのようなものです。
どうしてそのブランドを始めることにしたのかというストーリー、消費者にとってどのような価値があるのか、何を目指しているのか等を具体的な言葉にしていきます。
3)ポジショニング
ポジショニングとは、市場の中でのブランドの位置づけを決めることです。
わかりやすい例では、同じハンバーガーチェーンでも、マクドナルドは早くリーズナブルに安定した味を提供するのに対し、モスバーガーは若干値段も時間もかかりますが、優しさの伝わる味を提供しています。
このように「価格」「提供できるスピード」「味」「健康的かどうか」などの指標を決め、自社と競合他社の強みや弱みを客観的に数値化するとポジションが分かりやすくなります。
ポジションを明確にすることで、価格ではなく他の部分で価値を見出すなど、無駄な競争をしなくてすみます。
次にビジュアルアイデンティティの確立を
前出の3つのプロセスをアートディレクターやグラフィックデザイナーに伝え、ブランドロゴやパッケージのデザイン、公式WEBサイトのデザインなどのビジュアルに落とし込んでいきます。
ブランディングというと、ビジュアルから入りたくなってしまうものですが、デザイナーに明確なイメージを伝えるためにも、3つのプロセスが必要なのです。
見落としがちですが、アートディレクターやグラフィックデザイナーを外注する場合は、狙っているターゲットや市場に詳しい人材を採用することも大変重要なポイントです。
ブランディングを強化してより売れる製品に
日本はハイコンテクスト文化と呼ばれ、多くの人が共通の認識を持って購買活動をする傾向があると言われています。
良い商品ならブランディングの良し悪しに関係なく売れるため、企業側がブランディングの必要性を十分に理解していないことも多いのです。
イギリスやアメリカのように、異なる文化を持つ人たちが共存する国では、ブランド側が主張しない限り、取り扱っている製品が何に使うものなのかさえ消費者に理解されないことがあります。
こういった背景から、日本企業は海外の企業に比べてブランディングが弱いといわれています。
今後インバウンドやアウトバウンドの需要を増やすためには、ブランディング強化が必要不可欠です。
弊社では、海外進出やインバウンドビジネス向けのブランディングに関するアドバイスが可能です。お問合せより、お気軽にご相談ください。