デジタルマーケティングに必須?海外事例に見る「パーソナライズサービス」

前回の記事でSNS・Googleを利用した「パーソナライズド広告」やECサイトで以前の購入に関連ある商品を表示させるなどの「パーソナライズサービス」の基本情報について述べました。

パーソナライズ戦略を実施していない場合、ターゲットが本当に求めているエクスペリエンスを提供する競合に遅れをとる可能性も出てきます。より魅力的なカスタマーエクスペリエンスを提供するために様々なアプローチが必要になってきますが、具体的にどのようなサービスをすればいいのでしょうか?

アイデアの参考までに、イギリスで体験できるパーソナライズサービスの例を挙げてみました。

前回の記事はこちら →パーソナライズド広告やサービスとは?メリット&デメリットを解説

イギリスに見る「パーソナライズサービス」の事例

Stitch Fix ― AIスタイリストによるレコメンド型パーソナライズサービス

2011年設立のオンラインパーソナルスタイリングサービスを行うアパレル企業。アメリカの企業ですがイギリスでも展開しており、リピート率は85%以上と言われています。

レコメンデーションアルゴリズムとデータサイエンスを使用し、顧客のアンケートに基づいて衣料品をパーソナライズ。顧客はアンケートによってサイズやスタイルの好み、予算を含む細かな情報を知らせ、自宅に届いた衣料品5点から気に入ったものだけを購入し後は無料で返品できるようになっています。すべて返却してもスタイリング料金£10は返ってきませんが、1点でも購入するとその商品価格が£10安くなり、全品購入した場合は25%OFFになるとのこと。

また、AIだけでなく1,000人以上の専門スタイリストも所属しています。人工知能による効率の良さだけでなく、顧客が求めるエクスペリエンスをより正確に提供しようという戦略も窺えます。

サービス利用後には毎回フィードバックを送ることになっており、回数を重ねていく毎にAI・スタイリストがより顧客に合ったサイズや好みを学習してくれるため、リピート率が高いのも納得です。

Everly Wellness ― サプリメントのサブスク型パーソナライズサービス

2018年、家族経営で始まったイギリスのサプリメント会社。

イギリスでは成人の約65%が何らかのビタミンやサプリメントを摂取しており、サプリメント大国とも言われています。しかし、多くの消費者は自分の身体に本当に必要なサプリメントが分からず、取り敢えずマルチビタミンを購入するというケースが多いのではないでしょうか。

そこに当社は注目し、どのサプリメントが個人に適しているかだけでなく、なぜそれらが正しいのか、どのように役立つのかが簡単に分かるようなサービスを考えました。

顧客が基本情報やライフスタイル、健康上の目標と現在の懸念などを伝えると、専門家が正しいビタミンを推薦してくれ、定期的に自宅に届くようになっています。

他分野以上に個人の体格や生活環境が大きく影響する商品の選択が求められるヘルスケア事業では、パーソナライズサービスが今後益々求められるようになってくると思われます。

その他 ― 製品に顧客名を表示することもパーソナライズサービスの1つ

製品に名前を表示した例と言えば、2010年代にCoca-Colaが実施した「Share a Coke」キャンペーン。

オーストラリアから始まり、ヨーロッパ、アジアまでの国々、7年間で80を超える市場で実施されました。各国で人気のある名前をボトル・缶に印刷するという非常に手軽な方法でありながら、それだけで普通のボトルが一気にパーソナライズされたものとなります。

イギリスでは、ロイヤルベビーの誕生に合わせて「Share a Coke with Wills and Kate」という広告が出され話題になりました。

このキャンペーンで、11年間停滞していた消費が復活し、オフラインのパーソナライズも効果的であることが分かりました。

しかし、この成功はSNSというデジタルの力が上手く働いたからでもあります。多くの人々が自作のボトルをSNSでシェアしたことで続々と拡散されていったからです。

Coca-Colaはアメリカの企業ですが、固有名詞を表示させた製品はイギリスでも人気です。特にこのシーズンになると、MarmiteやCadbury、Tobleroneなどの身近なフードブランドがパーソナライズ可能なパッケージの製品を提供しているという記事をよく見かけます。

デジタルを上手く活用し顧客体験を向上させるパーソナライゼーションを

このように、顧客名を表示するだけの表面的なパーソナライゼーションからレコメンド型、SNS広告などのコンテンツなど方法にもレベルがあります。

Stitch Fixのようなレコメンド型は多くのデータ、開発までの費用や時間、スキルが必要になります。データの収集方法や活用方法も考えなければなりません。

Coca-Colaのような手軽な方法であっても、製品の魅力以上に体験価値があり、デジタルを上手く活用することで成功へと繋がる場合もあります。自社が求めているレベルや予算を良く検討した上で、顧客が本当に求めているパーソナライゼーションを行うことが大切です。

 

参考:https://www.ventureharbour.com/personalised-experiences-examples/

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