プラスチック削減へ。イギリスの現状&海外のエコ対策事例

今月5日は国連による国際的な記念日「環境の日」でした。イギリスでは、昨年頃から、大手スーパーマーケットの青果売り場にあったプラスチックバッグが紙袋や繰り返し使用できるメッシュの巾着袋に変わり、身近なところでもプラスチック削減の動きを感じるようになっています。

日本でも、今年度から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、環境に良いものを造ることが注目されています。

多様な物品に使用されているプラスチックの資源を循環させるためには、設計から廃棄処理時までを考えて製品を造る必要があります。海外ではプラスチックを削減・廃止するためにどのような対策がされているのでしょうか。イギリスの現状と対策事例をご紹介します。

イギリスにおける脱プラスチックの現状―「プラスチック税」とは?

イギリスはプラスチック廃棄物との闘いにおける世界的リーダーであり、プラスチック汚染に取り組み、洗い流しパーソナルケア製品のマイクロビーズを禁止し、2020年には使い捨てのプラスチックストロー・マドラー・プラスチック綿棒の供給を制限するための主要な措置をすでに講じています。今後は木材などの代替材料を使用できるカトラリーやバルーンスティックにも禁止を拡大する予定と言われています。

また、今年の4月からはプラスチック包装税制度(Plastic Packaging Tax)が施行。

プラスチック製の包装資材のうち、製造するのに使われた再生プラスチックの使用量が30%未満のものに対し、1トン当たり£210.82(約39,002円/£1=185円)の税金が課されます。つまり、新しいプラスチックではなく、再生されたものの使用を推奨し、プラスチック廃棄物のリサイクルや回収が促進されることを狙いとしています。

輸入した製品も対象となるため、プラスチック製のパッケージや再生できない包装資材を使用した製品をイギリスへ輸出する企業はこの制度の詳細を知っておく必要があります。

プラスチック削減のために。海外のエコ活動事例

スーパーマーケットの「プラスチックフリー売り場(Plastic-free aisles)」

スーパーマーケットの一角でプラスチックを使用していない商品を集めて販売する”Plastic-free aisles”。オランダの環境キャンペーングループA Plastic PlanetとスーパーマーケットEkoplaza(エコプラザ)がアムステルダムの店舗に設けたものが世界初と言われています。

2018年の時点で既に行われており、その後、イギリスでもBudgens(バジェンズ)がロンドンの店舗にイギリス初のプラスチックフリーコーナーを設置。紙で包んだパンや肉、ブナ材の網で包んだ果物や野菜、ガラス瓶に入った牛乳、透明なワックスで包んだチーズ、家庭用の堆肥化可能なフードバッグなど、プラスチックを含まない1,700の製品を販売しています。

The Guardianによると、Populus pollの調査でブリトン人(=イギリス人)の91%がこの試みを支持していることが分かっています。

食料品小売部門は、すべてのプラスチック包装の40%以上を占めていることからもプラスチック削減の効果が大きいと思われ、今後もプラスチックを使用していない製品を選んで販売する小売店が増加する可能性があります。

ASDA(アズダ)×Apeel Sciences(アピールサイエンス)の「食用コーティング」

2021年までにプラスチックパッケージを15%削減するという重量ベースの目標を設定し、それ以降、自社ブランドの製品から9,300トンを超えるプラスチックを除去したイギリスの大手スーパーマーケットASDA。

アメリカのスタートアップ企業Apeel Sciencesと提携し、柑橘系の果物とアボカドに植物由来の食用コーティングを施し、包装を不要とすることでプラスチック削減に挑戦しました。

このコーティング剤は、スプレーとして吹きかけることで水分が保持され生鮮食品の鮮度を2倍長持ちさせることができるため、貯蔵寿命を延ばしフードロスを防ぐことにも繋がります。

ASDAは、持続可能なショッピングは手頃な価格ですべての顧客が利用できるものでなければならないことを認識し、消費者がより環境に配慮したオプションを手頃に利用できるようにしているとのことで、今後の動きにも注目したい企業です。

 

※今年2月に、同じくイギリスの大手スーパーマーケットTESCO(テスコ)が同コーティング剤を使用することを発表。

 

脱プラを意識して企業ができるエコ活動を

 環境に対する意識の高いイギリスの消費者は、製品が環境に配慮されているかどうかに対して予想以上に敏感です。既に、環境問題に取り組むことが当たり前という認識が広まり、環境に良くない製品を扱う企業は消費者の信頼を失う事になりかねません。

安価で耐久性のあるプラスチックを削減し、代替資源で新たな製品を造ることはコストもかかり難しいでしょう。しかし、環境を配慮した取り組みは企業のイメージアップに繋がり、消費者の信頼を獲得し、取り組みにかかったコスト以上のものをもたらす可能性があります。

 

 

弊社では、イギリス進出を目指す企業の方のサポートを行っています。ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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出典:

https://www.gov.uk/government/news/plans-unveiled-to-ban-single-use-plastics

https://www.countryliving.com/uk/news/a24875483/budgens-plastic-free-zones-camden-store/

https://www.theguardian.com/environment/2018/feb/28/first-plastic-free-aisle-is-an-example-for-other-supermarkets-to-follow

https://www.circularonline.co.uk/news/asda-opens-new-sustainability-store-in-plastics-reducing-trial/

https://www.tescoplc.com/news/2022/tesco-to-trial-apeel-plant-based-protection-for-fruit-to-extend-shelf-life-and-reduce-food-waste/

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