多様性国別ランキングやデータがこの世に存在しない理由

多様性 国 ランキング

「海外に比べて日本は多様性がない」と言われることが多いですが、実際に世界ランキングで何番目くらいなのか気になる方もいるのではないでしょうか。

しかし「多様性国別ランキング」と検索してみると、ニーズに完全に合うデータを見つけられないことが分かります。日本語だけではなく、英語でGlobal Diversity Rankings by CountryとGoogle検索しても表示されませんでした。

国別の「民族や人種の多様性ランキング」や「職業における多様性ランキング」は存在しているのですが、私たちが見たいのはそれらを全て網羅した「総合ランキング」です。

「日本は多様性がない」と思うのは、職場環境や単一民族のせい?

ランキングやデータが存在しないということは「日本は多様性がない」は単なる感覚的なもので、全く根拠がないのでしょうか。実はそうとは言い切れません。なぜなら総合的ではないにしろ、多様性に関する世界ランキングは存在しているからです。

例えば、2012年のForbes「職業における多様性ランキング」では、日本は女性国会議員の人数が調査した50か国中47位でした。また、2013年のドイツ人リサーチャーErkan Gören氏の調査では、日本は民族と言語の多様性が最も低いグループに分類されました。

「日本は多様性がない」と言われるのには、このような裏付けがありそうです。

多様性国別ランキングが存在しない理由

それではなぜ“総合的な”「国別多様性ランキング」が存在しないのでしょうか。

上記のような「職場における多様性」「民族における多様性」など、いくつもの項目を設けて数値化すれば、総合的なランキングを作成することも可能に思えます。

実際にそのような調査が一つもないと言い切ることは出来ませんが、Google検索ですぐに表示されないということは、信憑性の高いデータがほぼないのだと考えて良いのではないでしょうか。

その理由は「多様性」の本質を考えると見えてきます。多様性が高い状態とは、集団の中に年齢、性別、人種、経験、趣味嗜好などが異なる人が存在していること、その中で個々の個性が認められることを指します。

したがって、「総合的な国別多様性ランキング」の作成を試みる場合、世界の国々のあらゆる集団において、多種多様な項目を調査しなければなりません。「多様性」というものの特性上、「このランキングには私の集団に関する情報が反映されていません」と指摘する人が一人でもいれば、完全なデータといえなくなってしまうのではないでしょうか。

日本の多様性、海外の反応

昨年2021年の米国の時事紙U.S. News のベストカントリーズで、日本は二位にランクインしています。このランキングでは、生活の質や文化、政治や経済の影響力など、様々な項目が数値化されています。簡単に言い換えれば「住みやすい国ランキング」とも取れそうですが、多様性の低い国に住みたいと思う人は少ないのではないでしょうか。

ドイツ人リサーチャーErkan Gören氏の調査では、日本は民族や言語の多様性の低い国に分類されてしまいましたが、各都道府県民がそれぞれの地域の特徴を紹介するTVのバラエティー番組が人気であることから分かるように、日本の文化や方言の多様性は決して低いと言い切れません。日本を訪れる海外の人が、地域ごとの食文化の違いに驚くことも多いようです。

海外と比べてどちらが優れているor劣っていると考えるよりも、近くにいる少し価値観の異なる人が生きやすい環境にするために何をすれば良いかを考えるべきなのではないでしょうか。

 

 

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