再生繊維リヨセル/テンセルとは?特徴,品質表示etc

SDGs  再生繊維 リヨセル セルロース

アパレル業界のSDGs「リヨセル・テンセル」

世界的にSDGsへの意識が高まる中、アパレル業界は世界第2位の環境汚染産業の汚名を着せられています。しかしそれを挽回するかのごとく、リヨセル・テンセルのような環境に優しい繊維を使った商品も増えています。

そうは言ってもリヨセル・テンセルはアパレル業界にとっても新しい繊維であるため、品質表示やケアラベルの表記の仕方が分からないという方も多いのではないでしょうか。リヨセル・テンセルの特徴やテンセルの発祥の地イギリスのブランドなど、アパレル業に携わる方もそうでない方も知っておきたい、SDGsな繊維についてまとめていきます。

リヨセル・テンセルを深く知るために

【繊維の基本のき】

アパレル業界以外の方にも分かりやすいよう、まずは繊維の基本を分かりやすく簡単に説明します。

繊維は大きく分類すると、天然繊維と化学繊維の2種類に分けらます。もう少し細かく分類すると、天然繊維には綿や麻などの植物から作られるセルロース繊維、絹や羊毛などの動物から作られるタンパク質繊維があります。一方、化学繊維には合成繊維、半合成繊維、再生繊維の3種類があり、これらは様々な技術を使って人工的に作られています。

天然繊維とは

セルロース繊維の特徴

植物から作られる天然繊維には、食物繊維の一種のセルロースという物質が含まれています。ごぼうのような食物繊維豊富な野菜には繊維質の部分がありますが、その部分にセルロースが含まれていると考えるとイメージしやすいでしょう。同じく植物を原料としている紙にもセルロースは含まれており、そこから想像すると分かるように、これらの素材の特徴には’しわ’になりやすいことが挙げられます。

タンパク質繊維の特徴

動物から作られる繊維にはタンパク質が含まれているため、こう呼ばれます。一般的には蚕の糸(絹)、羊やヤギ等の毛、羽毛など、家畜として飼われている動物から作られます。これらの繊維に共通するデメリットは、乾燥した動物の死骸を主食とする虫による食害です。

化学繊維とは

「化学繊維と合成繊維の違いがよく分からない」という意見がありますが、合成繊維、半合成繊維、再生繊維の総称が化学繊維です。これらは全て研究を経て人工的に作られており、一般的には天然繊維の持つ様々なデメリットを解消する目的で開発されています。そのため天然繊維にはない機能性が備わっており、身近な例を挙げるとアイロンがけ不要のシャツには綿だけでなくポリエステルが使われたり、伸縮性のあるジーンズにはポリウレタンが使われたりします。

合成繊維、半合成繊維、再生繊維、それぞれの違い&特徴を一言で

合成繊維とは、石油から得られた高分子化合物から作られた繊維です。現段階ではポリエステルやナイロンなど、合わせて13種類あります。

半合成繊維とは、セルロースやタンパク質の天然の高分子から作られた繊維です。代表的なものには、木材パルプを主な原料としたアセテートやトリアセテート、牛乳カゼインを原料としたプロミックスがあります。天然のものを化学合成して作ったハイブリッドというイメージです。

再生繊維とは植物繊維であるセルロースを人工的に取り出して、繊維として再生させたものを指します。再生される工程があるため、再生繊維と呼ばれます。木材パルプから作られるレーヨンや綿花から作られるキュプラが有名ですが、この記事のテーマであるリヨセル・テンセルもここに分類されます。

半合成繊維と再生繊維はどちらもセルロースやタンパク質を含む天然の原料から作られていますが、人工的に開発されたものであるため化学繊維に分類されます。

ちなみに分類外繊維(指定外繊維)とは?品質表示方法

アパレル製品のケアラベルには「ポリエステル70% 綿30%」のように繊維名や混紡率を表記する義務があります。しかし分類外繊維(指定外繊維)は具体的な繊維名の表示を義務付けられていません。なぜ義務付けられていないかというと、家庭用品品質表示法が作られた際にまだ定義されていなかった新しい繊維だからです。したがって今後新しく開発されていく繊維も、基本的には分類外繊維(指定外繊維)となります。

※「指定外繊維」という文言は2017年以降「分類外繊維」と表記するように改定されました。

分類外繊維(指定外繊維)を使用する製品の品質表示には「分類外繊維」と表記して、その横や下に括弧を付記し、繊維の名称を記載します。例えば綿70%、リヨセル・テンセル30%を混紡した生地を使用する製品の品質表記は下記のようになります。

※リヨセルかテンセルのどちらかだけを表記する例もあります。正しい表記方法は検査機関等への問い合わせをお勧めします

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綿 70%

分類外繊維(リヨセル・テンセル) 30%

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上記の例でも挙げましたが、今回のテーマであるリヨセル・テンセルも分類外繊維(指定外繊維)です。

再生繊維リヨセル・テンセルとは

リヨセル・テンセルは環境に優しい繊維として注目されており、海外のラグジュアリーブランドでも使用されています。

リヨセル・テンセルの原料はユーカリなどの木材で、誘導体化というプロセスを経由せずにセルロースを溶解させた液をそのまま紡糸して作られます。この工程では廃液を放出しないため、環境に優しいSDGsな繊維なのです。

ちなみに、なぜリヨセル・テンセルと呼ぶのかというと、元々「リヨセル」はオーストリアのレンチング社、「テンセル」は英国のコートルズ社の商標として使用されていましたが、2004年に両社が合併したことにより、ブランド名が「テンセル」、総称が「リヨセル」と決定されたからです。

リヨセル・テンセルとレーヨンの違い

レーヨンは木材パルプをからセルロースを抽出してから化学反応や溶解を経てビスコースを生成し、それを再びセルロースに再生させながら繊維に変えたものです。リヨセル・テンセルはセルロースをそのまま溶解して繊維にしています。リヨセル・テンセルの方が工程がシンプルなので、より環境に負荷のかからないSDGsな繊維であるといえます。

また、リヨセル・テンセルは再生繊維に分類されていますが、別の物質からセルロースに再生される工程がないので「精製セルロース繊維」という新しいカテゴリーに分類されることもあります。

レーヨンは絹のような質感が魅力の繊維ですが、強度が低く水に弱いというデメリットがあります。リヨセル・テンセルは湿潤時の強度がレーヨンの約3倍あり、濡れても収縮しにくい特徴があります。

リヨセル・テンセルは化学繊維だから肌荒れする?かゆい?

アトピーや敏感肌で「綿以外は肌荒れする」と考えている方は意外に多いかもしれません。しかしリヨセル・テンセルは綿と同じセルロースから出来ていて吸放湿性にも優れているため、とても快適な繊維だと言われています。綿よりも毛羽立ちが少なく柔らかいので「化学繊維は痒い」という先入観を一度捨てて、店頭で風合いを確かめてみるのも良いでしょう。

※全ての方に痒みが出ないとは言い切れないので、不安な方や皮膚疾患をお持ちの方は皮膚科医など医療機関にご相談ください

リヨセル・テンセルの特徴、メリット&デメリット

1.美しい光沢&ドレープ

リヨセル・テンセルは毛羽立ちが少ないので上品な光沢感があります。柔らかなタッチでドレープ性にも優れています。上質な風合いを持つため、現在では様々なメーカーやブランドによって使用されています。

2.肌に優しい着心地

着心地を大きく左右する要素に蒸れにくさがあります。リヨセル・テンセルは吸放湿性があり、汗を素早く吸収して早く乾かしてくれます。また静電気が起きにくい繊維でもあります。

3.水洗い可なので自宅で洗濯できる

リヨセル・テンセルの繊維の断面は円形なので強度が高く、温暖や湿潤の差による繊維の伸縮も起こりにくいです。引っ張った際の強度も十分にあります。絹のような風合いがありますが、一般的な絹と違って水洗いできるのも特徴です。

4.摩擦には弱いので注意

繊維が縦方向に割れてしまうことをフィブリル化と呼びますが、リヨセル・テンセルはこれが起こりやすいという特徴があります。フィブリル化するとその部分が白っぽく見えてしまうため、衣服の外観に影響を与えます。

フィブリル化は湿潤状態での摩擦で発生しやすいので、洗濯の際はネットを使用するようにしましょう。

4.色落ちにも注意

リヨセル・テンセルのデメリットととして、染まりにくく色落ちしやすいというものがあります。色の濃いリヨセル・テンセルの製品を洗濯する際は、色の薄い衣服と分けて洗うのが良いでしょう。

テンセルを使ったハイブランド

リヨセル テンセル とは

環境に優しく美しい風合いを持ったテンセルは国内外の様々なメーカーやブランドから注目されています。東京とロンドンを拠点とするメンズ下着ブランド「Velarof(ヴェラロフ)」もその一つです。

江戸っ子風の粋な柄をテンセルにプリントした下着は遊び心と高級感の両方を合わせ持っており、イギリスの感度の高い男性たちに幅広く受け入れられています。日本の伝統的な柄と最先端の繊維テンセルの融合は一見の価値ありです。

↓「Velarof(ヴェラロフ)」公式サイト

 https://velarof.com./【PR】

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