デザイン思考とは①デザインは経営に必要?【簡単説明・メリット・欠点】

昨年、ビジネス分野で「デザイン思考」という言葉がトレンドとなりました。デザインと聞くとプロダクトデザインやエディトリアルデザインなど、アートが関係するデザインが思い浮かぶという人が多いのではないでしょうか?しかし、デザイン思考はアート分野だけでなく、ビジネスにおいても様々な場面で役に立つ方法論として注目されています。

一体どのようなもので、なぜビジネスにも必要と言われているのでしょうか?改めて考えてみましょう。

 

デザイン思考とは?経営になぜ必要? 

デザイン思考とは?簡単に解説

「デザイン思考」とは、英語では「Design Thinking(デザイン・シンキング)」と言われ、デザイナーがデザイン(設計)を考案する際に使用しているプロセスを利用して、問題を解決していく思考のことを言います。

ビジネスでは、例えば製品開発において、「ユーザーの視点に立って課題を見つけ出し、出し合ったアイデアを元にプロトタイプを作成、テストを行うことで新たな製品を創出する」というプロセスを繰り返して課題を解決していく手法となります。

このデザイン思考によって、かつてない発想が生み出され、イノベーションを起こすことができると、経営においても関心が寄せられているのです。

 

デザイン思考はいつから誰が?

現代のデザイン理論の理解につながった影響力のある要因は1つではありません。

デザイン思考が初めて垣間見られたのは1950年代と1960年代にまで遡ると言われています。当時代の急速な変化に苦労した分野、建築とエンジニアのコンテクスト内にその手がかりとなるものが発見されています。彼らは、科学的な方法論とプロセスを適用し、デザインのあらゆる側面を理解しようとしました。

その後、1970年代にデザイン思考の原則が出現し始めました。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの学者ハーバート・A. サイモン(Herbert Alexander Simon)は、考え方としてのデザインに言及した最初の人物です。70年代を通じて、現在ではデザイン思考の原則と見なされている多くのアイデアに貢献しました。

他にも、1980年代に「デザイン思考」という言葉を用いた著書を出したピーター・G. ロウ(Peter G. Rowe)や、デザイン思考のビジネスへの応用を始めた、デザイン会社IDEOのCEO兼スタンフォード大学教授デビッド・M. ケリー(David M. Kelley)などの、様々な人々による理論と実践の探求からデザイン思考は生まれ、イノベーションのニーズに対処する最も効果的な方法の1つになったと言われています。

 

 

出典・参考:Interaction Design Foundation「The History of Design Thinking」

デザイン思考をするメリットは?

①     多くのユーザーに共感される製品・サービスを生み出すことができる

デザイン思考のステップは「共感」から始めるため、製品・サービスのユーザーをよく観察し理解する必要があります。その結果、設定したペルソナ以外の人々にも興味を持ってもらえるようなヒット商品・サービスを生み出せる可能性があります。

 

※    デザイン思考のステップについては再来週更新予定の「デザイン思考とは②「デザイン経営」宣言と5つのステップ」をご覧ください。

 

②     問題定義、「厄介な問題」に取り組む力がつく

「厄介/意地悪な問題(Wicked Problems)」とは、1960年代半ばにデザイン理論家ホルスト・リッテル(Horst Rittel)が多次元的で非常に複雑な問題をそう呼んだ造語です。

デザイン思考では、共感の次に問題を定義しますが、絶対的な解決策のない問題もあります。そのような場合の機転や対処方法を身に着けることができます。

 

③     異なる意見を受け入れる習慣がつき、新たな発想を得ることができる

チームで様々な意見を出し合う時に、自分の考えとは異なる意見を受け入れなければならないこともあります。インクルーシブな考え方が身につくだけでなく、自分自身が思いつかなかった視点に気づき、ビジネスにおいてだけでなく自己変革に繋がる場合もあるでしょう。

デザイン思考に欠点はある?うまくいかないことも?

デザイン思考では、元々存在する製品・サービスを改善するためにユーザーの声を聴き、イノベーションを起こすためのものです。そのため、1から新しいものを創造するといった新規事業には向いているとは言えません。

また、根本的な問題とは何かを判断するために時間を費やし、プロセスを反復するため、解決までに時間や人件費がかかります。様々な意見を出し合うことで今までにない発想を得るため、多種多様な人材をチームに加える必要もあります。そのプロジェクトのために新たな人材を採用するなど、コストをかけなければならない場合もあるでしょう。

 

デザイン思考を導入し、問題解決&イノベーションを

Apple、Google、Samsungなどがデザイン思考のアプローチを採用し、世界の主要な大学で方法論が教えられているように、世界中でデザイン思考が取り入れられています。

問題を提案として取り上げ、その根底にある本当の問題に気づくことで、ユーザー自身も気づいていなかったニーズに応えることが可能になるデザイン思考。実践する価値はありそうです。

 

再来週の記事では、デザイン思考を実際に実践するための5つのステップについてご紹介します。

 

 

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