イギリス百貨店ジョン・ルイス[2024クリスマスCM]今年は少し違う?

ジョンルイス クリスマスCM

日本で有名なイギリスのデパート&百貨店といえば、ハロッズ、リバティー、フォートナム&メイソンかもしれませんが、実はジョン・ルイス(John Lewis)も同様にロイヤルワラント(王室御用達)を授与しています。ジョン・ルイスは高品質な商品を手の届きやすい価格で提供しているため、観光客ではなく現地の人たちから長く愛されている百貨店です。

そんなジョン・ルイスですが、毎年恒例で11月に公開されるクリスマスCMが大変な話題となります。CMとしては長い2分間のショートフィルム仕立てになっており、その内容からは強いメッセージを感じることができます。

11月14日に公開された2024年版は、今までと少し異なるスタイルのCMとなったため、戸惑いの声も含めて話題を呼んでいます。

ジョン・ルイス 2024年版 クリスマスCMのストーリー

The Gifting Hour | John Lewis & Partners | Christmas Ad 2024(プレゼントを選ぶ時間 | ジョン・ルイス&パートナーズ | クリスマス広告2024)

2024年のジョン・ルイスのクリスマスCMのタイトルは「The Gifting Hour プレゼントを選ぶ時間」で、下記のようなストーリーが展開されてます。

閉店間近のジョン・ルイスに駆け込む、主人公のサリー。閉店15分前のアナウンスが流れる中、サリーは服のラックの後ろに隠された謎の入り口を見つけます。

扉の中はサリーの思い出の世界でした。

そこに突然、幼い頃の妹が現れ、サリーに尋ねます。「何をさがしているの?」。サリーは答えます。「あなたのための物よ」。

走馬灯のように流れる記憶の中で、妹は徐々に成長していきます。その中では、妹に服を盗まれて喧嘩したり、そうかと思えば妹が出産を迎えたりと、家族の思い出にまつわる様々な出来事が起こります。それらのエピソードの随所には、ジュエリーやマフラーなど、妹へのプレゼントに関するヒントも入っています。

ふいに幼い妹がサリーの耳元で囁くと、サリーは現実の世界に戻ります。そうして、なんとか閉店前のジョン・ルイスで妹へのプレゼントを購入すると、その箱を持って店の外に出ます。

外に出るとそこには、現在の姿の妹が待っていました。待ち合わせをしていたのでしょうか。そのせいで、まだプレゼントを買っていたなかったサリーは、焦っていたのかもしれません。

妹が言います。「どうしてそんなに時間が掛かったの?」。するとサリーは答えます。「あなた(のせい)よ!」

そうして最後に、「完璧な贈り物を見つける秘訣は? どこを探すべきかを知ることです」というメッセージが写し出されます。

2024年版のクリスマスCM 今までと異なる点

① ジョン・ルイスや商品のCMだと分かる

過去のジョン・ルイスのCMで特に話題になったのは、2015年の「Man On The Moon 月に住む男」だったかもしれません。たった2分間の映像、それも企業のCM映像であったにも関わらず、多くの人たちが涙しました。2015年のCMのストーリーを簡単に説明すると、下記のようになります。

小さな女の子が望遠鏡で月を見ていると、月面に年老いた男性が住んでいることを発見します。女の子は手を振りますが、当然、男性からは見えません。そこで女の子は考えて、クリスマス当日にプレゼントを付けたバルーンを飛ばします。バルーンは無事に月に到着し、男性が箱を開けると、中には望遠鏡が入っていました。男性がそれを使って地球を覗くと、女の子が手を振っているのが見えます。そうして最後に、「Show someone they’re loved this Christmas このクリスマスには、誰かに愛を示しましょう」というメッセージが写し出されます。

このように今までのジョン・ルイスのクリスマスCMでは、どこの企業の宣伝か分からないものが定番でした。ジョン・ルイスの店内や商品が映されることもありませんでした。 John Lewis & Partnersという企業の名前を知らない人が見たら、慈善団体のCMだと勘違いすることもあったかもしれません。

今回、方向転換を行った理由として、ジョン・ルイスのカスタマー・ディレクターのシャーロット・ロック氏は「私たちの店舗は私たちのブランドの心臓部であり、お客様はそこでクリスマスの買い物をする習慣を愛しています。そこで、クリスマスCMでは店舗を主役にしたいと考えました」と語っています。

百貨店で買い物をすることは、おそらく古今東西問わず一般市民には少し特別な体験です。子どもの頃の思い出として、胸に残っている人も多いのではないでしょうか。したがって、感動的なCMをいう意味では、今までと変わらないのかもしれません。

ただ、今回の方向転換には賛否両論あり、ガーディアンは今までの伝統的なCMを高く評価しているが故に、2024年版を酷評していました。

②CMソングがカバー曲ではない

もう1つの異なる点として、CMソングが挙げられます。

2024年版で起用されたのは90年代のヒット曲である、リチャード・アシュクロフトの『ソネット』のオリジナルバージョンです。今までのジョン・ルイスのクリスマスCMでも同様に過去のヒット曲が使われてきましたが、いずれもCMのために作られたアコースティックバージョンでした。

オリジナルの楽曲はCMの登場人物が子どもの頃に聞いていたかもしれない、イギリスの視聴者にとって懐かしい曲です。CMソングを聞くことで主人公のサリーの気持ちに寄り添ってほしいという、ジョン・ルイスの意図があるのでしょう。

また、2024年のクリスマスキャンペーンとして、ジョン・ルイスはTilTok上で『ソネット』のカバー曲を募集しています。このキャンペーンはコンテスト形式で行われており、勝ち残ると、クリスマス当日に放映されるCMで流される予定となっています。それだけではなく、チャリティーシングルとしてCDデビューを果たせるので、プロの歌手を目指す人からの応募が予想されます。

毎年気になる ジョン・ルイスのクリスマスCM

ジョン・ルイスは毎年、CMだけでなく、今までにない面白い発想のクリスマスキャンペーンを展開します。その時の世相や消費者の動向を反映したものになるため、毎年、目が離せません。

▼過去の「ジョン・ルイスのクリスマスCM」についてはこちら

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