グローカル化の本当の意味とは?グローバルとの違い&具体例
グローカルとは?グローバルとの違い
「グローバル」のタイプミスでは?と思ってしまいそうな「グローカル」という言葉ですが、「グローバル(global:地球規模の)」と「ローカル(local:地域的な)」を掛け合わせた造語です。国際開発支援や環境保全運動の中で生まれた「地球規模の視野で考え、地域で行動せよ(Think globally, act locally)」という標語が元になっており、1972年の国連人間環境会議から1992年の地球サミットを通して使われてきました。
日本で「グローカル化(Glocalization)」という言葉が使われるようになったのは1980年代頃で、海外市場に進出した日本企業が、現地の文化や習慣に合わせた製品やサービスを提供するマーケティングをそう呼んだのが始まりとされています。現在では「グローカル企業」「グローカル人材」というように、「グローカル」は様々な場面で使われる言葉になりました。
ここからも分かるように、ビジネスにおけるグローカルとグローバルという用語は様々な国に進出する点において共通していますが、グローカルにはその地域に合った内容の製品やサービスを提供するという意味合いが加わります。
グローカルとローカライズの違いは?
以前の記事「現地化戦略の事例&成功例】海外進出の秘訣はローカライゼーション」で、海外でビジネスをする上で欠かせないのはローカライゼーションだとお伝えしましたが、ローカライズとグローカルはほとんど置き換え可能な同義語だと言えるでしょう。あえて違いを挙げるのであれば、例えば大阪の飲食店が東京に進出する際に味付けを変更するのはローカライズですが、グローカルではありません。
このようにグローカルは国内ではなく主に海外に進出する場合に使用される用語であるため、ローカライズより広範囲なビジネス展開に使用されると考えても良いでしょう。
グローカル企業とは
グローカル企業とは、地域に根ざしながらも海外で事業展開している企業のことです。世界各地に拠点を持ち、それぞれの国や地域ごとに異なる言語や文化に合わせた事業を行う大企業はもちろんのこと、地方の中小企業でもその地域に密着しながら海外に事業を展開している場合はグローカル企業と呼ばれます。
グローカル化の例
食べ物(食品メーカーや外食チェーン等)の場合
日本で製造・販売している食べ物をそのまま海外に持っていくのではく、国や地域の食文化に合わせて風味を変更します。例えば日本でも親しまれているキットカットは1935年にイギリスで生まれた会社ですが、様々な日本向けのフレーバーのチョコレートを販売しています。当たり前のように感じる抹茶味も日本向けに作られたフレーバーです。
ゲームやアプリの場合
ゲームやアプリは海外向けに表示言語を変更するだけでなく、通貨の記号や日付の表示の仕方なども変更しています。内容においても現地の法律や宗教や慣習に合わせて、細かく修正されます。
工業製品や伝統工芸品の場合
国や地域の文化や慣習に合わせて、製品の色やサイズなどの規格を変更します。たとえば日本の陶磁器は海外でも人気がありますが、一般的に欧米人は食事の際に茶わんや小鉢を使わず平たい大皿を使用するため、同じデザインや絵柄でもサイズの変更が必要です。
グローカル人材が求められている!?
日本の人口は減少傾向にあるため、地方の中小企業がビジネスの規模を維持するためには海外展開が必須になっていくだろうと言われています。その反面、インバウンドを含め国内の外国人の人口は増加傾向にあります。
そこで地域に密着した視点を持ちながら海外の異なる価値観も理解している、グローカルな人材が日本全国で求められています。
グローカル化の本当の意味
日本ではグローカル化はマーケティング戦略を指すことがほとんどでしたが、元々は国際開発支援や環境保全運動の中で使われてきた言葉であるため、地域に密着することでその地域の人々の生活を助けるという意味合いがあったはずです。最近は日本でもそのような取り組みをしている企業があります。
具体例を挙げると、消毒剤やうがい薬などの衛生用品をを開発・製造・販売サラヤ株式会社は、東アフリカのウガンダで手指消毒剤の製造を行うことで、地域の衛星事情の改善に大きく貢献してきました。現地のスタッフを雇用することで、社会にも貢献しています。
SDGsには国や人の不平等を失くすこと、住み続けられる町づくりなど、グローカルの考え方に近い目標が含まれています。グローカル化について考えることは、海外でビジネスを成功させること以上の意義があるのではないでしょうか。