【現地化戦略の事例&成功例】海外進出の秘訣はローカライゼーション

グローバル化の発展や越境ECサイト市場の拡大によって、自国にいながら海外の製品が購入できるようになりました。ユーザーは、母国語で製品や情報にアクセスしたいと思っています。

製品・サービスを提供する企業は、この要望に応えるために、それらを現地市場に適応させる必要が出てきます。いわゆる、製品のローカライゼーションです。

本稿では、ローカライゼーションの基礎知識や事例を分かりやすくまとめてみました。


マーケティングにおける「ローカライゼーション(現地化)」の意味

ローカライゼーションとは、日本語では「現地化」や「局地化」などと訳され、「ローカリゼーション」と発音されることも。マーケティングにおいては、グローバルな商品を現地の文化や習慣に馴染ませ、多くのユーザーに受け入れられるものにしていく戦略のことを言います。

ウェブサイトを海外向けにする場合も当てはまりますが、単純に翻訳するだけではありません。日本ではお洒落な意味合いで使われている英単語でも、ある国では時代遅れだったりおかしな意味だったりということもあり得ます。

また、デザイン面でも日本人受けするものと外国人受けするものは違うので、現地ユーザーの特徴を捉え、有効な見せ方や伝え方をする必要があるのです。

ちなみに、最近耳にする「グローカリゼーション」は、「グローバリゼーション」と「ローカリゼーション」を合わせた造語。国際的に通用するものでありつつ、より販売を拡大させるためにローカルなニーズにも応えたものを提供することを意味します。

自社商品やマーケティング方法 -現地化戦略3つのポイント-

① パッケージを現地ユーザー向けに改良する
② 現地向けウェブサイトや、商品紹介の資料などを準備する
③ 現地向けに製品の使用方法(食品の場合はレシピなど)を考案する

先ほども述べましたが、現地化と言っても言語を変えるだけでは不十分です。日本人向けのテイストやデザインでは現地の競合に勝つことはできません。

現地ユーザーのニーズに合わせ、商品の製造過程・成分・パッケージに変更を加え、自社ブランドの視覚的要素(デザイン・メッセージ)についても、正しく認識してもらえるようにしなければなりません。

特に商品名やブランド名は、日本で著名になったブランド名をそのまま使いたくなりますが、リブランディングする必要も出てくるかもしれません。

飲食店の例で言えば、国や地域によってその土地の食材や文化習慣を考えたメニューを取り入れ、現地ユーザーにローカライズした方法でアプローチしなければならないということです。

あのマクドナルドも、日本に上陸後、日本人好みの味を追求したテリヤキバーガーを発売したことで、1984年の全国売上高が7年後には2倍になったと言われています。

また、これは商品に対してだけでなく、経営やマーケティング方法にも適用することができます。既存の商品を販売する場合でも、現地ユーザーが理解できるように商品の特性やメリットを説明する必要があります。



ローカライズ戦略 ―現地化の成功例

イギリス進出を果たした日本製品とは

製品のローカライズについて言葉で説明しても分かりにくいと思いますので、実際にロンドンで見かけた日本のお店や製品の例を挙げてみました。日本のユーザーに向けたものとどう違うのか比較してみると様々な違いや工夫が分かります。ローカライズの参考にしてみてください。

事例① 株式会社丸亀製麺

■ 日本のウェブサイトhttps://www.marugame-seimen.com/
■ イギリスのウェブサイトhttps://marugame.co.uk/

今年7月に海外1号店となるロンドン店をオープンした丸亀製麺。各ウェブサイトを開くだけでローカライゼーションを意識したマーケティングを行っていることが感じられます。

日本のウェブサイトは、日本人なら誰もが和をイメージする青海波を背景に明朝体の文字を並べ、水彩画風のイラストでやわらかくデザインされています。

一方、イギリスのウェブサイトでは、タイポグラフィやイラストの雰囲気がガラっと変わり、サイズの大きなサンセリフでシンプルにまとめられています。

かけ離れたデザインの両サイトですが、ロゴや赤と黒の色味だけは統一されていて同じブランドだと分かる点は、ビジュアル・アイデンティティも意識したデザインと言えるでしょう。

また、「製麺」を単純に英語にしてもラーメンなのか蕎麦なのか麺の種類がはっきりしません。ロンドンでは「Marugame Udon」と海外でも知られている「Udon」に変更したことで非日本人にも一目で分かりやすい名前となっています。

事例② UCC上島珈琲

■ 日本向け製品https://www.ueshima-coffee-ten-onlineshop.net/products/tamon-to-the-dock
■ イギリス向け製品https://www.ueshimacoffeecompany.com/products/coffee-beans-house-blend?variant=37379788144826

今年3月に「Ueshima Coffee」としてイギリスで発売開始。どちらもパックされたコーヒー豆ですが、国内向けとイギリス向けとでは大きくデザインが異なります。

日本向け製品はブラウンのロゴに多色使いのアーティスティックな画が使用されていますが、イギリス向け製品は日の丸を彷彿とさせる赤丸と水墨画のような筆書きの黒い線でダイナミックにデザインされています。イギリスではシンプルでくっきりとしたデザインの受けが良いようですね。

丸亀製麺もそうでしたが、イギリス人が描く日本のイメージを調査したからこそのデザインだと思われます。

海外では日本のイメージカラーは赤と黒なのか、非日本人経営の和食レストランでも赤と黒を基調としたデザインの店舗をよく見かけます。

イメージ画像:https://www.photo-ac.com/

事例③ 江崎グリコのポッキー「MIKADO」

日本向け製品https://www.pocky.jp/

ヨーロッパ向け製品https://pocky.glico.com/global/products/eu/milk.html

 

 イギリスのスーパーでも販売されている日本を代表するお菓子の1つであるポッキー。細い棒状のものが折れた時の擬音語「ポッキン(pokkin)」から「ポッキー(Pocky)」と名付けられたそうですが、イギリスをはじめヨーロッパ諸国では「MIKADO(ミカド)」という名で販売されています。

英語では「pocky skin(あばたのある肌)」と言う表現に使われているため、ヨーロッパでポピュラーな竹ひごを使ったテーブルゲームにちなんで「MIKADO」に変更したということです。竹ひごがポッキーの形状に似ていたためと言われていますが、「帝・御門」も連想され、より和風でありながらポッキーの形にもピッタリでヨーロッパ人にも親しみのある名称になり得ています。

このように、日本では馴染みのある名称でも海外へ広めるためには様々な事情から変更した方が良い場合もあるのです。

ちなみにパッケージは日の丸を連想させる赤い丸がポイントとなっています。

 

 

※あばた=pockmark

※ゲームMIKADOは日本の「帝」から名付けられた


ローカライゼーションのメリットを理解し、単なる翻訳ではない現地化を

ローカライゼーションは日本国内でどんなに売れている商品であったとしても、海外進出には必須の要素だと言えます。グローバルな市場で成功するためには、顧客に合わせたクリエイティブなマーケティングを行っていく必要があるのです。

▼ローカライゼーションにご興味のある方はこちらも是非ご覧ください。

日本&海外マーケティングの違い | ローカライゼーションの必要性

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