コラボレーションマーケティングをする理由|ユニクロ×ブランドetc
コラボレーション・マーケティングとは?
コラボレーションマーケティングとは、いくつかの企業やブランドが協力し合って戦略的にビジネスを行うことです。ユニクロが人気アパレルブランドやラグジュアリーブランドとコラボ商品を出すなど、身近なところにも例を見ることが出来ます。
コラボレーションには「協力」や「共同作業」の意味があり、元々はビジネスよりも芸術や創作活動に使用される言葉でした。ユニクロ以外にもファッション業界でコラボレーションマーケティングが多く見られるのは、ファッションが芸術と比較的近い分野であるからなのかもしれません。
コラボとタイアップの違い
コラボレーションと似た用語にタイアップがあります。タイアップには「提携」の意味があり、ビジネスにおけるタイアップもいくつかの企業やブランドが提携することを指します。
タイアップというと広告を真っ先に思い浮かべる人が多いでしょうが、掲載するメディア側に広告コンテンツを制作してもらうことをタイアップ広告と呼びます。インスタグラマーやyoutuberにPRコンテンツを投稿してもらうことも、一般的にタイアップ広告と呼びます。
コラボとの違いを明確に定義するのは難しいですが、コラボは複数の企業やブランドが対等に利益やメリットを分け合うのに対して、タイアップはいずれかの企業やブランドが先導して行うことが多いです。また、コラボという言葉が芸術に近い分野で使われることが多いのに対し、タイアップは様々なビジネス提携の場で使われることが多い印象です。
しかし、本来ならばタイアップと呼ぶべきマーケティングをあえてコラボと呼んでしまうことも稀にあります。このようにコラボとタイアップには微妙なニュアンスの違いしかないため、自社の目的を踏まえながら先方との関係性も考慮し、どちらの言葉を使うのが適切か決める必要がありそうです。
コラボレーション・マーケティング事例
ユニクロのコラボブランド例
冒頭でも挙げたように、コラボといえば「ユニクロ」のイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。実際にユニクロは毎シーズン様々なブロンドとのコラボ商品を展開しています。過去のコラボブランドにはJW Anderson(ジェイ ダブリュー アンダーソン)、JIL SANDER(ジルサンダー)、Marni(マルニ)、Marimekko(マリメッコ)、Anya Hindmarch(アニヤ・ハインドマーチ)等、海外のハイブランドやラグジュアリーブランドも多数あります。
また、2023年9月からは英国のデザイナー、クレア・ワイト・ケラー氏とコラボしたレディースライン「UNIQLO:C(ユニクロ:シー)」を発表して話題になっています。
無印良品、ダイソー etc……
ユニクロだけではなく、無印良品の実験的なウェアライン「MUJI labo」でもデザイナーにN.ハリウッドの尾花大輔氏を迎えて、コラボ商品を販売しています。ハイブランドとはかけ離れたイメージのあるダイソーでも、東京ガールズコレクションとコラボしたコスメ類を販売しています。
また、ユニクロとコラボしていたAnya Hindmarch(アニヤ・ハインドマーチ)は成城石井ともコラボしており、2023年に販売されたトートバッグは即日完売するほどの人気でした。
サンリオ、ハローキティ、ドラえもん、ポケモン、漫画のキャラクター etc……
企業とブランドだけではなく、キャラクターも様々な企業やブランドとコラボしています。サンリオやハローキティが枚挙に暇がないほど国内外の様々な企業やブランドとコラボしていることは、既によく知られています。子ども用雑貨のイメージのあるサンリオですが、コラボ商品は大人向けの製品であることも少なくありません。Maison de FLEUR(メゾン ド フルール)、PAUL & JOE(ポール & ジョー)等とのコラボ商品は百貨店でも販売されていました。
他にもドラえもん×GUCCI(グッチ)、ポケモン×A.P.C(アーペーセー)など、ラグジュアリーブランド×漫画キャラクターのコラボも珍しくありません。ドラえもんとのコラボが話題になったGUCCIは「ジョジョの奇妙な冒険」ともコラボし、世間に衝撃を与えました。
またポケモンはANAやミスタードーナツなど、幅広い企業とコラボしています。
草間弥生のドット、ヒグチユウコの猫etc……
日本のアーティスト×海外ラグジュアリーブランドのコラボも珍しくありません。草間彌生×Louis Vuitton(ルイヴィトン)のコラボではドット柄の製品が販売され、ヒグチユウコ×GUCCIのコラボでは猫のイラストが入った製品が販売されています。
ラグジュアリーブランドがコラボレーションをする理由
ラグジュアリーブランドがユニクロのように低価格帯の企業とコラボするのは、ブランドイメージの毀損に繋がるのではないかと考える人も多いかもしれません。
ファッション業界でのコラボレーションマーケティングの歴史は案外長く、2004年にH&Mが故・カール・ラガーフェルド氏とのコラボラインを発表したことを皮切りに、様々なブランドや企業のコラボが発表されるようになりました。H&Mは2008年にCOMME des GARÇONS(コムデギャルソン)とのコラボも発表しており、デザイナーの川久保玲氏は「私が手がける『コムデギャルソン』の服がマスマーケットにどうアピールできるかに興味があった」と語っていました。
2008年のコラボから15年以上の歳月が経ちましたが、COMME des GARÇONSのイメージが低下したという意見をほとんど耳にしません。むしろ以前はファッション好きのためのブランドというイメージでしたが、現在はLouis VuittonやGUCCIに並ぶ人々に憧れられるブランドになったのではないでしょうか。
ラグジュアリーブランドにとって、ユニクロやH&M等の低価格帯の企業とコラボをする目的は認知度の向上です。コラボによってブランドを知った企業の顧客をブランドの新しい顧客として引き込むことも可能だからです。当然のことながら企業側からしてもラグジュアリーブランドとのコラボには、売り上げとイメージの向上というメリットがあります。
このようにコラボレーション・マーケティングではWIN-WINの関係を築くことが可能です。コラボの製品は一般的に限定で販売されることが多いので、消費者もイベントのような高揚感を味わうことができます。メリットの多いコラボレーション・マーケティングは今後も様々な形で増えていくことが予想されます。日本企業×海外ラグジュアリーブランド、日本の漫画やキャラクターorアーティスト×海外ラグジュアリーブランドなど、日本企業が海外企業とビジネスできる場も増えていくことでしょう。
次回の記事では今回の記事で紹介しきれなかった、海外のユニークなコラボレーション・マーケティング事例を紹介していきます。