コラボレーションマーケティング成功事例【海外編】異業種 アパレル 他

ユニクロGUしまむら、H&Mなどのアパレルブランドがラグジュアリーブランドとコラボしているように、「コラボレーション」というと、ローエンド市場とハイエンド市場のアパレルブランド同士のコラボを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。また、日本では、アパレルブランドがドラえもんジブリハローキティなどのサンリオキャラクター、あるいは鬼滅の刃ポケモンなどの社会現象レベルで人気のアニメとコラボすることが有名です。

しかし、コラボレーションマーケティングはアパレルブランドだけのものではありません。また、コラボで消費者に届くものはかたちのある商品だけではありません。

本記事では、そういった点も含めた様々な過去の成功事例をご紹介します。

 

コラボレーションする理由は?認知度向上だけじゃない

ラグジュアリーブランド × 低価格ブランドなど = Z世代の獲得

最近増えてきたラグジュアリーブランドとマスブランドとのコラボですが、既に認知度の高いGUCCI(グッチ)LOEWE(ロエベ)などの世界的なブランドが、敢えてローエンドの低価格ブランドとコラボする理由は何でしょうか?

それは、Z世代の顧客獲得のためと言われています。Z世代は、近い将来、購買力において強い影響を持つ存在としてマーケティングを行う上では無視できない存在です。10年ほど前から若者の高級品離れが問題視されているように、彼らの大多数が「コト」を重視する節約家。高級バッグや高級車などのブランド自体は知っていても、買いたい、持ちたいとは思いません(※)。

そのため、多くのラグジュアリーブランドが、若者に人気なデザイナーの採用、アーティストの広告塔への抜擢、インフルエンサーとのタイアップなど、将来の顧客になって欲しい人たちに向けたマーケティングに力を入れ、彼らからの注目を少しでも集めようとしているのです。その1つが、Z世代から絶大な支持を集めるブランドやアニメなどとのコラボというわけです。

異業種コラボはイノベーションを起こす

しかし、Z世代をターゲットとしないブランドも含め、多くのブランドがコラボをする理由は他にもあります。それは、異業種同士がコラボすることで生まれるイノベーションを起こすためです。

オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが「郵便馬車をいくら連続的に加えても、それによってけっして鉄道をうることはできないであろう」と述べたように、鉄道は馬車と蒸気機関車という異なる分野の既存技術を組み合わせることで誕生しました。

この「異なる2つのものを結合すること」でイノベーションが起こる「新結合」という経済発展理論は、異業種コラボの本質を表しています。

 

※1、2年前から、Z世代による高級品への消費が増加しており、高級ブランド市場に活気が戻りつつあります。それについてはまた別の記事で取り上げたいと思います。

 

▼コラボする理由の詳細についてはこちら。コラボとタイアップとの違いについても触れています。

コラボレーションマーケティングをする理由|ユニクロ×ブランドetc

▼Z世代や「コト消費」についてはこちら

SNSネイティブ"Z世代"の特徴/マーケティングに生かすには

若者のコト消費&トキ消費は海外でも盛ん?具体例.成功事例

 

コラボレーションマーケティング成功事例【海外ブランド編】

1.     大手スーパー × アパレル「アニヤ・ハインドマーチ」

今月1日、ラグジュアリーファッションブランドAnya Hindmarch(アニヤ・ハインドマーチ)と日本の明治屋がコラボしたユニバーサルバッグが発売されるや否や、オンラインストアにはアクセスが集中、即完売しました。日本ではナショナル麻布成城石井に続く3度目のコラボでしたが、本拠地イギリスでは、既にWaitrose(ウェイトローズ)Sainsbury's(セインズベリー)TESCO(テスコ)Asda(アズダ)Morrisons(モリソンズ)Co-op(コープ)Selfridges Foodhall(百貨店セルフリッジのフードホール)と7つもの大手スーパーマーケットとユニバーサルバッグを発売しています。

デザインはどこも同じですが、スーパーマーケット毎にそれぞれのブランドアイデンティティを象徴する絶妙なカラーの組み合わせとなっており、一目でそのスーパーマーケットを浮かべることができるという宣伝効果を発揮しています。

また、100%リサイクル素材であるだけでなく、寿命をまっとうした後には再リサイクルできるというエコバッグの進化系を目指しており、イギリス販売のものは10年保証が付いているため、ボロボロになったら郵送して新品と交換してもらえます。単なる認知向上だけでなく、持続可能な取り組みの一環である点でも注目されています。

2.     カフェ「スタバ」 × 音楽ストリーミングサービスSpotify

アメリカの大手カフェチェーンStarbucks(スターバックス)が第三者と提携してロイヤリティプログラムを実施した初の事例。90年代にいち早く社内専門の音楽チームを立ち上げ、オリジナルCDの制作を地域やジャンルごとに始めていたスタバでしたが、CD販売事業は終了し、2015年にデジタルストリーミングの導入に踏み切りました。

このコラボは、スタバの従業員がSpotify(スポティファイ)のプレミアムサブスクリプションを取得し、プレイリスト (顧客はスタバのアプリに追加されたSpotifyの機能を通じてアクセスできる) を厳選して店内で再生できるというもの。スタバのバリスタがDJとなってSpotifyを通した音楽を配信することで、アーティストはスタバ顧客という、より多くのリスナーに作品を届けることができ、スタバはユニークな店舗体験をつくり上げることができるというわけです。

Spotify加入者がスタバに行くとポイントが溜まり、My Starbucks Rewardsメンバーはアプリから曲のリクエストができるという、顧客にとっての特典もあります。

3.     ラグジュアリーブランド「バレンシアガ」 × フットウェアブランド「クロックス」

スペイン発フランスのラグジュアリーファッションブランドBalenciaga(バレンシアガ)とカジュアルなフットウェアブランドCrocs(クロックス)。どちらも様々なブランドと商品を生み出してきたコラボエキスパートです。そのテイストの違う2ブランドは2018年以来度々コラボしていますが、2021年発売のハイヒールクロックスは最も衝撃的でした。

一足800ポンドもするこの大胆なデザインは意外にも全米で完売しており、賛否両論ではあったものの、SNSでのその“あり・なし論争”が炎上(宣伝)効果を発揮したようです。

「私は、平均的な消費者を含め、平均的なものには興味がありません。誰かがクロックスに個人的に不快感を抱いているとしたら、その人の中には靴のデザインよりも深刻な問題があるかもしれません」。BalenciagaのクリエイティブディレクターDemna(デムナ)は某ウェブマガジンでこう述べています。

BalenciagaによるCrocsのハイファッション化だけでなく、意外なブランドとの大胆なデザインコラボが今後も行われるかもしれません。

4.     ユニセフ × ディスカウントストアTarget

UNICEF(ユニセフ)は、アメリカの大手ディスカウントストアTarget(ターゲット)とのコラボで、子ども用のフィットネスバンド(腕に付けておくと消費カロリーが計算されたり、万歩計の役割を果たしてくれるウェアラブルフィットネストラッカー)を販売。

これはThe UNICEF Kid Power(ユニセフ・キッド・パワー)プログラムの一環で、付属のアプリを通して子どもたちに様々なフィットネスの目標を与え、達成すると命を救う治療用食料の“ロック解除”をするポイントを獲得できるようになっています。その後、ユニセフはロック解除された食料を発展途上国の重度の栄養失調の子どもを持つ家族に届けます。

2015年、ボストン、ダラス、ニューヨークの約12,000人の学生が合計500,000マイル以上を歩き、1,259人の栄養失調の子どもたちに188,850個の食料を提供しました。

5.     化粧品ブランドCoverGirl × 映画製作会社Lucasfilm

世界中にファンを持つStar Wars(スター・ウォーズ)は、エピソード公開の度に何かとコラボされる確率が高い存在ですが、2015年公開の『Star Wars: Episode VII The Force Awakens(スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒)』も例外ではありませんでした。

シリーズの製作会社Lucasfilm(ルーカスフィルム)は、より幅広いオーディエンスを獲得するために、アメリカの化粧品ブランドCoverGirl(カバーガール)とコラボし、エピソード7にインスピレーションを得た限定版メイクアップを提供。ダークサイドとライトサイドに分かれた銀河系テイストのメイクアップは、オーディエンス全員の中にある二面性を伝え、「今日はどちらを解き放つ?」と問いかけています。

ちなみにこのメイクは、世界で最も影響力のあるイギリスのメイクアップアーティストとされるPat McGrath(パット・マクグラス)によるものです。

コラボレーションマーケティングが日本文化(アニメ&漫画など)にもたらす可能性

認知度向上、ブランド力の強化、新しい価値の創造など、様々なメリットのあるコラボレーションマーケティングは検討してみる価値があります。

また、海外ブランドからも人気の日本アニメや漫画は、コラボビジネスにおいて今後も世界での活躍が想定されます。一企業・ブランドへの利益を超えて、日本文化全体の認知や価値の向上にも繋がることが期待できるのではないでしょうか。

 

 

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出典:

https://www.gq.com/story/balenciaga-hard-crocs

https://alrasub.com/unicef-target-team-up-to-sell-kids-fitness-bands-that-help-save-lives/

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