若者のコト&トキ消費/世界の具体例+成功事例
若者が好む、コト消費やトキ消費とは?
物理的な物にお金を使うモノ消費ではなく形のない経験にお金を使うコト消費に価値を見言い出す人が、Z世代やミレニアル世代の若者を中心に増えています。映画館で映画を見る、テーマパークへ出掛けるなどのコト消費は以前から存在していますが、最近ではより細分化され様々なサービスが登場してきた印象です。
コト消費の一種とも捉えられるものに、トキ消費があります。トキ消費とは、何度でも体験できることではなく「一度きり」の経験に対してお金を使う消費です。例えば好きなアーティストの初武道館ライブに行く、デビューしたてのアイドルが大物になれるよう応援するなどが挙げられます。
その他にも、イミ消費-高くても意味のあるものにお金を使う(例・フェアトレードの商品を購入)、ヒト消費-好きな人やキャラクターの応援にお金を使う(例・アイドルのCDを何枚も買う)、エモ消費-手間をかけても心に響くことにお金を使う(例・自分で豆から挽いたコーヒーを飲む)など、体験に関わる消費は様々です。
コト消費 消費者庁の統計データ
消費者庁の調査によると「今しかできない参加型の体験やコンテンツにお金を使う」に「当てはまる」と回答した人の割合は、10歳代後半で28.8%、20歳代で35.1%であり、全世代平均の14.6%よりもかなり高いことが分かります。
若者の間でこのような消費が盛んになった背景には、物のなかった時代から物の溢れる時代へ移り変わったこと、コロナ禍によって他者や外界とのつながりに付加価値が見出されたことなどの要因が挙げられます。
コト消費&トキ消費。海外の統計データ
コト消費は英語でexperiential consumption(エクスペリエンタル コンサンプション、経験的な消費)と表現され、海外のビジネスシーンでも注目されています。実際に2018年のForbesの調査では、18~34歳の若者の大多数に当たる78%が「物よりも経験にお金を使いたい」と回答しました。
別の海外の調査では若者が上の世代の人たちよりも経験にお金を使う傾向は、近年始まったものではなく古くからのものだと述べられていました。例として挙げられていたのは、小さな子どもが食べきれる見込みのない大きなアイスクリームを欲しがることです。これは大きなアイスクリームにかぶり付く経験に対して、お金を使いたい欲求であるといえます。年齢が上がるほど、このような経験に対してお金を払うことは大人げないと感じるようです。
しかしながら日本の調査結果では10代後半よりも20代の若者が「参加型の体験やコンテンツにお金を使いたい」と回答しているので、「年齢が上がるほど」というのは必ずしも当てはまるわけではありません。
大きなアイスクリームにかぶり付くのと、自費でボランティアに参加するのとでは同じ体験といえども全く異なります。Z世代やミレニアル世代は社会問題への関心が高いため、このような心理がコト消費やトキ消費に拍車を掛けているのではないでしょうか。
世界の体験型マーケティング成功事例
物よりも経験を重視する消費者が増える中でも商品を売るためには、体験と結びつけたマーケティングが大変有効です。海外で実際に行われたマーケティングで、特に効果の高かったものを紹介していきます。
成功事例① Lean Cuisine: #WeighThisキャンペーン
Lean Cuisine(リーン・クィジーン)はネスレによって北米で展開されている冷凍食品ブランドで、ダイエット向けの食品も販売しています。多くの人が肥満問題を抱える北米ではダイエット食品や健康食品のテレビCMが盛んに放映されており、それにうんざりしている消費者も少なくはありません。そのような中でLean Cuisineが行った体験型キャンペーンはニューヨークのグランドセントラル駅に体重計ブースを設置して、通行人に体重を計るよう呼び掛けるというものでした。
しかしこの体重計は実際の体重を計ることができず、多くの通行人は一瞬戸惑います。実はそれは身体の重さをポンドやキログラムで計測するものではなく、「何によって重さを計られたいか」を記入するボードでした。したがって、大学に通い始めた年齢-55歳、毎日世話しているホームレスの子どもの人数200人、育てている息子の人数-4人など、参加者が各々に独自の指標を記入していきました。
このキャンペーンはLean Cuisineの商品を直接的に宣伝するものではありませんでしたが、ブランドイメージが35%向上し、たった1週間で650万人のリーチを達成しました。
成功事例② Benefit Cosmetics: AR体験型キャンペーン
ARとは拡張現実と訳され、現実の世界にバーチャルな世界を組み合わせることのできる技術です。大流行したゲーム、ポケモンgoもこの技術を使っています。
Benefit Cosmetics(ベネフィットコスメティクス)は新しいマスカラのPRキャンペーンでこの技術を利用して、クーポン券を配布しました。外出の際にBenefitのアプリに位置情報を知らせると、どこに行けばクーポンをもらうことが出来るかが表示されたため、ユーザーがゲーム感覚で楽しむことができました。このクーポンは実際にオンラインでマスカラを購入する際や、バーチャル美容部員に悩みを相談する際に使用することが出来たため、多くのユーザーがこぞって参加しました。
このキャンペーンの結果はコンバージョン率50%以上、CTR 39.4%、アプリの滞留平均時間2分22秒と、コロナ禍であったにも関わらず大成功を収めています。
成功事例③ ハーゲンダッツ: ストロベリー&クリーム with ウィンブルドン
ハーゲンダッツは限定フレーバーのストロベリー&クリームのキャンペーンとして、スポンサーを務めるウィンブルドン選手権会場に写真ブースを設置しました。テニスとアイスクリームの両方を連想させるブースには一般の来場者だけではなく、テニス選手やインフルエンサーも訪れ、撮影した写真がSNS上で拡散されました。
成功事例④ IKEA: スリープオーバーイベント
イギリスのIKEAでは「IKEA Sleepover」というイベントを開催し、抽選で選ばれた参加者に店舗で一晩を過ごす体験を提供しました。参加者は睡眠の専門家による快眠アドバイスを受けながら、好みの寝具を自由に選んで眠りに就きます。実際に商品を体感してもらうことで、睡眠環境への関心を高め、ブランドへのロイヤルティ強化にもつながりました。
成功事例⑤ LEGO:LEGO House
デンマークにはLEGOの世界を全身で体験できるテーマ施設「LEGO House」があります。このテーマパークで、期間限定でAirbnbとコラボし、LEGOブロックで作られた部屋に宿泊できる特別イベントを実施されました。LEGO ファンにとって、忘れられないイベントになったことは間違いありません。
成功事例⑥ Nike:ランニングクラブ(NRC)
Nikeは単なるスポーツ用品販売に留まらず、「Nike Run Club」というランニングコミュニティを世界各国で展開し、無料のランニングイベントも定期的に開催しています。
ニューヨークでは夜間ランイベントを実施し、音楽や映像演出を取り入れて「スポーツ×エンターテインメント」の新しい体験を創出しました。参加者がSNSで体験を拡散することで、ブランドの認知度向上にもつながりました。
成功事例⑦ Gucci:アートとカルチャーを融合した「Gucci Garden」
イタリア・フィレンツェにある「Gucci Garden」は、ブランドの歴史とアートを体験できる複合施設です。限定アイテムの販売に加え、著名アーティストとのコラボ展示、ブランドの進化を体感できるミュージアムなど、通常の店舗では味わえない文化的体験を提供しています。地元の観光スポットとしても人気を集めています。
成功事例⑧ Louis Vuitton:ポップアップ体験型ストア
Louis Vuittonは世界各地で定期的に期間限定のポップアップストアを開き、限定商品と体験を融合させた空間を提供しています。
ロンドンのポップアップでは、インスタレーションと連動したAR体験を用意し、ブランドの歴史をデジタル技術で体感できる仕組みを導入しました。
成功事例⑨ Coca-Cola:パーソナライズボトルキャンペーン
コカコーラの「Share a Coke」キャンペーンでは、ボトルに個人名を印字して、消費者に自分だけの特別なコカ・コーラを提供しました。オーストラリアで始まったこのキャンペーンは世界中に拡大し、特設イベントではその場で好きな名前を印字できるサービスも提供されました。消費者がボトルの写真をSNSでシェアすることで、拡散効果も十分に発揮されました。
成功事例⑩ Airbnb:ローカル体験プログラム
Airbnbは単なる宿泊提供に留まらない「Airbnb Experiences」という体験型プログラムを展開しています。現地ガイドによるユニークなツアーやワークショップを予約できるサービスで、ガイドブックに載っているような観光地では味わえない「ローカルならではの体験」を売りにしています。
具体例としては、ヴェネチアのゴンドラ職人による工房見学、東京の寿司職人体験、パリの隠れ家ワインセラー訪問などがあるようです。
コト消費&トキ消費を利用すれば、モノ消費も加速する?
このように時代の流れはコト消費やトキ消費へ移行しつつありますが、魅力的な体験と組み合わせることで消費者が付加価値を見出す時代になったと読み取ることもできます。したがって消費者の物欲がなくなってしまったと捉えるのではなく、自社商品に合った体験型マーケティングが今後はますます有効になっていくと考えられます。
弊社では海外向けやインバウンド向けのPRを承っております。ご興味のある方はお問い合わせより気軽にご連絡ください。
【関連記事】