ホスピタリティとは?②日本と海外 おもてなしの違い【ホテル&コンビニ事例】
ホスピタリティとは何かについて、改めて考えてみた前回の記事「ホスピタリティとは?①意味・語源・使い方&サービスやおもてなしとの違い」。そこでは、ホスピタリティはサービスとは違い自発的に行う心遣いであること、おもてなしという意味ではありますが日本特有のおもてなしとは度合いに少々温度差があると述べました。
そこで、今回は日本と海外のホスピタリティ(おもてなし)の違いを具体的に知るために、ホテルやコンビニの事例を比較してみたいと思います。
▼こちらの記事では日本のおもてなしとホスピタリティについてより深く考察しています。
ホスピタリティが求められる職業は?サービス関係だけじゃない?
ホスピタリティが求められる職業と聞いてまず挙げられるのは、やはり接客業です。当初はホテル業界や観光業界など特定の業界に浸透していた理念でしたが、今では接客業を中心に様々な業界で取り入れられています。
レストランやカフェなどの飲食業はもちろん、ホテルスタッフ、タクシードライバー、ツアーコンダクター・ガイド、空港スタッフ、客室乗務員、ウェディングプランナー、美容師など、顧客に喜んでもらえるように意識する必要のある職業は、ホスピタリティが必要であることは言うまでもありません。
しかし、BtoCだけでなくBtoB事業を行う会社にもホスピタリティが活用できるときがあります。例えば、マーケティング会社がクライアント企業に様々な提案を行う際をイメージしてみましょう。相手の意向を読んで課題を定義し、その企業の顧客が何を求めているのか割り出すときなどに、ホスピタリティマインドを持って行うか否かでは、仕事の完成度やクライアントからの印象が違ってくるのではないでしょうか?
自社がサービス関係でなくとも、個人法人問わず顧客満足度を高めるために、ホスピタリティを自社事業にどう活かすことができるか考えましょう。
ホスピタリティのホテル&コンビニ事例 ―日本と海外 おもてなしの違い
このように、今やホスピタリティは様々な職業において必要なものと考えられますが、この項目では、多くの方が経験したことがありそうなホテルとコンビニのホスピタリティに注目してみました。
ホテル事例
イギリスでもビジネスホテルのような宿泊所では、基本的にはマニュアル通りのサービスのみを提供しているという印象ですが、The Ritz London(ザ・リッツロンドン)、The Savoy(ザ・サボイ)、The Gorig(ザ・ゴーリング)のような高級ホテルではそれ相応の丁寧な接客が行われています。
例えばThe Ritz Londonでは、海外からの顧客も多いため、スタッフがその顧客の言語で挨拶をしたり、親しみを持ってもらうためのスモールトークをしたりしているようです。Tripadvisor(トリップアドバイザー)のレビューでは、『セルフィーで写真撮影をしていたら「撮りましょうか?」と声をかけてくれた』などのスタッフの心配り、そしてコンシェルジュのプロフェッショナルな接客について述べられているものが多くありました。
このようにホテルの種類が高級になればなるほどホスピタリティのレベルも上がるのは日本もほぼ同様なのではないでしょうか?
しかし、海外では行われていないようなホスピタリティを実行しているホテルもあります。
京都のROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(ロク キョウト エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ)では、体調が悪くなった外国のお客様が病院へ行く際に付き添う、顧客が個人的に手配していた観光ガイドが来れなくなったと聞いてスタッフが代わりにガイドする、お客様が結婚○周年と知り急遽サプライズを行うなど、1人1人の顧客に真摯に向き合う姿がメディアに取り上げられていました。
ここまでのおもてなしはホテルにもよりますが、日本ならではと言えるでしょう。
コンビニ事例
デザートを買ったら何も言わなくてもスプーンをつけてくれたり、重いものを買ったときにレジ袋を2重にしてくれたり、いつも買うタバコの銘柄を覚えてくれていたり……などという店員さんの気配りによってほっこりした経験があるという方も多いのではないでしょうか?これは、お弁当を温めるような通常すべての顧客に行う“サービス”とは違い、個々の顧客に対して臨機応変に行われる心配りから来るものです。
特にファミリーマートでは、消費者への意識調査から判明した「親しみやすい」というイメージをより高めるために、2006年にホスピタリティを軸に全社業務改善を行っています。接客でのおもてなしや地域との交流を促進するために、例えば住宅街の店舗では子ども用の小さなかごを設置、各店舗で実践されたホスピタリティの実例をイントラネット(内部ネットワーク)で共有するなどしているそうです。
一方、イギリスにも日本のコンビニのような存在であるcorner shop(コーナーショップ:新聞やポストカード、食品、日用品などを販売するイギリス版コンビニ)や大手スーパーの小型店、off-licence(オフライセンス:持ち帰りのための酒類販売許可を持つ店で食品や日用品も販売している)があります。
オフライセンスのように24時間営業の店舗もあれば荷物のドロップオフポイントとしても利用できるなど、日本のコンビニに近いサービスはありますが、“おもてなし”を受けられる場所という印象はありません。
店員は基本的にものを売るだけで愛想が良いわけではなく、特別丁寧な接客を受けることはほとんどないのが通常です。過去記事でも触れましたがホスピタリティ・ジョブではないため、スタッフも顧客もこれが当たり前だという認識なのでしょう。
ホスピタリティ3つの習慣を身につけ、おもてなしができる人に
ホスピタリティを身につけるために、普段から習慣として行っておきたいこととして以下の3つが挙げられます。
① 相手への気遣いや思いやりを忘れない
② 相手を尊重し多様性を受け入れる
③ 広い視野を持ち相手の立場に立ってみる
良かれと思ってしたことも、一部の顧客には不快なこととして捉えられてしまうなんてこともあるでしょう。価値観や考え方は人それぞれであることを理解したうえで相手を観察し、求めていそうなことを実行する機転が必要です。特にこれからの時代、多様性を受け入れることはどのような場面においても必須です。
顧客や仕事仲間と快適な関係を築くために、まずは言葉遣いやふるまいなどできることから習慣づけてみましょう。
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出典:https://xtech.nikkei.com/it/article/NEWS/20060605/239928/