訪日外国人富裕層向け・ラグジュアリー旅行のトレンドとは

訪日外国人富裕層向け旅行トレンド

少し前に栃木県が1人400万円の奥日光ツアーを売り出すも申し込みが1件もなかった、というニュースが話題になりました。ツアーの内容は都内と奥日光をヘリコプターで往復、2泊3日でザ・リッツ・カールトン日光に宿泊し、日光東照宮や造り酒屋の見学も組み込まれていました。

一般人の感覚では400万円もするツアーに参加したい人を探すこと自体が無謀に感じてしまいますが、不発に終わった原因は意外にも値段が高すぎるからではありませんでした。原因として挙げられたのは、ターゲットである外国人富裕層に日光があまり知られていなかったこと、ツアーをPRする期間が短かったことなどでした。また、実際に中東の富裕層からの問い合わせはあったものの、ツアーの内容が予め決められているように見えて柔軟瀬がないと判断されてしまったようです。

インバウンド事業が外国人富裕層の顧客を確保したいのには理由があります。昨年から徐々に問題視され始めたオーバーツーリズム(環境公害)を解決するには、訪日観光客数をコントロールしながらも消費額を維持または向上する必要があるからです。それには外国人富裕層の誘致が大きな鍵となります。

訪日外国人における富裕層の割合

訪日外国人における富裕層の割合は2019年時点で約1%程度でした。しかし消費額は全体の約11.5%となっており、富裕層の1人が一般層10人分以上の消費をすることが分かります。

農林水産省の資料によると、2019年時点で富裕層は世界中に約5000万人いるとされています。日本では人口の約7%が富裕層とされていますが、北米は約36%、欧州は約27%、アジアは約28%と、世界の別の地域では日本よりも高いのです。

このように世界的に見るとさほど珍しくはない富裕層をもっと日本へ誘致するために、ラグジュアリー旅行のトレンドを紹介していきます。

富裕層向け旅行トレンド&消費傾向

旅行代理店やコンシェルジュを利用

日本政府観光局や各地方自治体は観光プロモーションサイト、SNS、各種旅行関連媒体などで富裕層向けのPRも行っていますが、富裕層の行動はインターネットやSNSの情報に左右されないことが多いようです。特に旅行の情報に関しては旅行代理店やツアーオペレーター、信頼している知人の口コミをから得る傾向があります。現地での食に関しても、旅行代理店のコンシェルジュや知人の意見を重視する傾向があります。

全般的にインターネットではなく信頼できる人の情報を重視するため、2022年からANAが実施している「富裕層向け旅行コンシェルジュサービス」は有効な手段といえるのではないでしょうか。

自由度の高いプラン&パーソナライズされたサービス

日光のツアーが失敗してしまった要因に柔軟性がないように見えたことが挙げられていますが、富裕層は内容の決まったツアーに参加するよりも、自分の好みに合わせて旅行プランを組む傾向があります。富裕層向け旅行代理店では顧客のニーズを細かく聞いて、一人一人に合わせてパーソナライズしたプランを組むことが一般的です。

若い富裕層の間ではAIを使ってパーソナライズできるツアーもトレンドとなっています。

プライベートな空間でゆっくりしたい

目の肥えた富裕層のトレンドとして、人気の観光スポットを巡るよりも自然を感じられる場所でゆっくり過ごしたいというものがあります。現在ニセコが外国人富裕層に人気のスポットとなっている理由も、ここにあるのではないでしょうか。

人里離れた場所のスパやオーダーメイドのヘルスケアを受けることも人気なので、露天風呂付客室のある宿泊施設も好まれるかもしれません。

ラグジュアリー旅行といえども……

富裕層といえども細かく分けると様々なタイプの人が存在しており、急激に資産を得た人もいれば先祖代々の資産を受け継いでいる人もいます。前者はアジアに多く後者は欧州に多いと言われ、後者は豪華さを誇示することを好みません。求めているのは見栄を張った豪華な体験ではなく、本場でしか出来ない特別な体験です。

したがって酒蔵見学、宿坊、座禅や写経など、本格的な日本文化を体験することに興味を持つ可能性が高いです。

インバウンドの課題解決に

訪日外国人富裕層を獲得することはオーバーツーリズムの解決策となるだけでなく、中国人観光客の爆買いが落ち着いた現在の消費の落ち込みを解決する対策にもなります。多くの人にとって非日常的な存在である訪日外国人富裕層のトレンドを感じるのは容易ではないので、自ら調べるしかありません。

弊社では様々な分野の海外市場調査レポートを作成しております。興味のある方はお気軽に問い合わせください。

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