「訪日外国人富裕層」向けツアーの参考に ラグジュアリー旅行【海外事例】

観光庁が掲げる、2030年までに「訪日外国人旅行者6,000万人」「訪日外国人旅行消費額15兆円」という目標。これは、インバウンド需要のピーク時2019年に、一人あたり約15万円であった旅行消費額を25万円まで引き上げてやっと達成できる目標です。そのため、外国人富裕層をターゲットにしたインバウンドマーケティングが全国的に広がりつつあります。

「モノ消費」よりも体験にお金を使う「コト消費」「トキ消費」が消費トレンドの今、記憶に残る特別な体験となる旅行は、一般的にはもちろん、富裕層の間でも需要が高いと言えます。

富裕層向けの旅行トレンドや消費傾向についての前回の記事に続き、今回は海外の旅行代理店などが提供するラグジュアリー旅行の事例をご紹介します。

 

 

▼前回の記事はこちら

訪日外国人富裕層向け・ラグジュアリー旅行のトレンドとは

▼コト消費やトキ消費についての詳細はこちら

若者のコト消費&トキ消費は海外でも盛ん?具体例.成功事例

 

「訪日外国人富裕層の割合&消費額」だけじゃない 富裕層をターゲットにする理由 

前回の記事において、2019年時点の訪日外国人における富裕層の割合は約1%に過ぎませんでしたが、消費額は全体の約11.5%となっており、富裕層の1人が一般層10人分以上の消費をしていると述べました。

このように、富裕層をターゲットとする理由には観光消費額の平均単価が高いということがまず挙げられますが、それだけではありません。

セレブの持ち物が瞬く間に検索され、売り切れになることが度々あるように、富裕層の間で認められた商品やサービスは一般層の憧れになる傾向があります。これは旅行業界においても同じです。富裕旅行者が日本に集中することでマスマーケットでの日本旅行に対する価値が上がり、観光産業全体の発展を狙うことができます。

さらに、訪日外国人富裕層の増加がオーバーツーリズム対策に繋がることも期待されますが、これについては過去記事インバウンドはいらない?京都の外国人マナー対策とは」をご覧ください。

海外の富裕層向け旅行代理店などによる「ラグジュアリー旅行」海外事例

①    プライベートジェットで巡る世界の古代伝説

オペレーター:Four Seasons(国際的なホテルチェーン)

価格:205,000ドル(31,076,360円)

フォートローダーデール(アメリカ)→メキシコシティ→イースター島→ボラボラ島→グレートバリアリーフ→バンコク→失われた都市ペトラ(ヨルダン)→ピラミッド→アテネ→マドリードの順に24日間で10の魅力的な目的地を巡る。

アフ・トンガリキの儀式の場で日の出とともにモアイ鑑賞、バンコクのクリエイティブ地区の舞台裏潜入、熱気球に乗ってテオティワカン上空を飛行、カタマラン船でボラボラ島のプライベートアイランドツアーに参加など、世界中の伝説的な場所を一度に訪れるのに最も便利なツアーである。

宿泊先は言うまでもなくFour Seasonsホテルだが、ホテルのない場所ではFour Seasonsが厳選したロッジなどに泊まることになっている。

②    専門家チームが同行する世界の古代伝説と素晴らしき自然を巡る旅

オペレーター:National Geographic(アメリカの有料テレビネットワーク)

価格:99,995ドル(約15,158,442円)/シングルルーム 109,990ドル(約16,673,604円)/ダブルルーム

22日間でシアトル→京都→ホイアン島(ベトナム)→ウダイプール(インド)→セーシェル諸島→マサイ・マラ国立保護区(ケニア)→カイロ→マドリード→ワシントンD.C.をプライベートジェット機で巡るツアー。マサイ・マラ国立保護区でサバンナの野生動物を観察したり、寺院、モスク、その他聖地を訪れたりしながら、世界中の素晴らしい芸術、文化、料理に浸ることができる。

他のツアーと違う点は、ナショナルジオグラフィックトラベラー誌の編集長やフォトグラファー、初期文明の神話と歴史などを専門とする考古学者からなる専門家チームが同行し、有益なトークやスリル満点の探検物語を旅の途上で、提供してくれる点。

日本では、金閣寺、二条城、天龍寺での禅瞑想プライベートレッスン、嵯峨野の竹林散策、奈良まで足を延ばして東大寺を訪れることになっている。

宿泊先は都市部ではFour Seasonsホテルが多い。伝統的なエンターテイメントを伴う特別な食事体験が提供されるところもあり。

③    〈ラグジュアリー日本国内旅行〉日本の伝統と自然を堪能する本州周遊ツアー

オペレーター:Luxury Gold(国際的な私営ホテルおよび旅行会社であるThe Travel Corporationの豪華ツアーブランド)

価格:12,887ドル(約1,953,566円)

11日間で大阪→広島→京都→富士山→東京→仙台→青森→東京を、主に新幹線で周るガイド付きツアー。京都では金閣寺、仏教寺院、祇王寺を見学し、見習い芸妓の芸を見ながら京懐石ランチ。東京では、東京国立博物館、明治神宮を訪れた後、プライベート料理教室での豪華巻き寿司作り、あるいはファッショナブルな表参道や原宿探索。

他には、広島の平和記念資料館、松島湾でのプライベートクルーズ、津軽藩ねぷた村、奥入瀬渓流の渓谷探索や地元の酒でのVIPテイスティング&醸造所ツアーなど盛りだくさん。食事は天ぷら、寿司、お好み焼きなどの伝統料理、宿泊先は帝国ホテルやセルリアンタワー東急ホテル、星のリゾートなど。

レビューでは、「都市だけでなく東北を訪れることができたのが興味深かった」「都市散策などで自由時間を十分に確保するためにもう数日欲しかった」という声があった。


富裕層トレンドを見極めて「ラグジュアリー旅行国内ツアー」の企画を

このように一千万円以上もする旅行が、今回ご紹介した以外にもたくさん存在しています。一般的には手が届かない価格ですが、世の中にはそれらを選択肢にできる人々もいて、それだけ需要があるということです。

冒頭でも述べましたが、体験を重視する価値観の普及により、ワンランク上の独特な旅行体験を求める需要が高まっており、ラグジュアリー旅行だけでなく高級飲食店や高級宿泊施設などをひっくるめた高級ホスピタリティー市場の益々の成長が期待されています。

50年以上続くアメリカの大手ラグジュアリー旅行会社Abercrombie & KentのCEOは、ラグジュアリーの定義の変化を目の当たりにしてきた中で、こう述べています。「単なる物理的な贅沢というよりも、経験とパーソナライズされたサービスに重点が置かれ、はるかに柔軟になりました。真の贅沢とは、その体験にぴったりの環境で楽しむ、発見、冒険、リラクゼーション、洞察という特権であると私は信じています」。

単純に高価なものやサービスを詰め込むのではなく、「自分にとっていかに意義のある一生に一度の体験ができるか」という旅行希望者の期待に応える必要があるということです。親密なパーソナライズと緻密な計画が欠かせないと言えるでしょう。

今回調査した中では、プライベートジェットで数ヶ国を周るツアーが多く見られたので、プライベートジェットを持つ企業や海外のラグジュアリー旅行会社とのコラボレーションで日本ツアーの部分に携わるというかたちでも可能性が広がりそうです。

さらに、今日の旅行者にとって贅沢を定義する重要な要素として、「健康」や「ウェルネス」に引き続き重点が置かれていることからは、アウトドア系やスパ、瞑想、ヘルシーフードなどを組み込んだプランは人気がありそうです。温泉や寺院での坐禅・独坐体験、精進料理など、そのトレンドをカバーする日本ならではのものは強みとなるのではないでしょうか。

 

 

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出典:

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/94902d256ee53d5dd3609cabac0de6e5.pdf

https://www.travelagewest.com/Travel/Trending/Top-Luxury-Travel-Experiences-for-High-End-Clients

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