サマータイム夏時間の仕組みとは?メリット&デメリット
サマータイムは意味が分からない!
海外旅行に行く場合、海外の企業の方とオンラインミーティングする場合、株やFXの取引きをする場合など、サマータイムは日本人にとってややこしいだけで、なんのメリットもないように感じられるかもしれません。
アジアにはサマータイムを実施している国がなく、実施しているのはアメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、ニュージーランドと、赤道から遠く離れた国ばかりです。赤道から遠く離れた場所の特徴として、夏と冬の日照時間の差が非常に大きいということが挙げられます。イギリスを例に挙げると、夏至の日の出は5時前・日没は21時過、反対に冬至の日の出は8時前後・日没は16時頃前後です。夏の北欧の白夜は有名ですが、そのように赤道から遠く離れるほど、夏と冬の日照時間の差は大きくなります。
サマータイムは、赤道から遠く離れた国の人たちが、夏の明るい時間を有効に活用するために考え出したものだったのです。
夏時間、サマータイムとは?
サマータイムとは、日照時間が長くなる夏を中心とした時期に時計を通常よりも進めることで、日が暮れる時刻を遅らせる制度のことです。一般的には、春に時計を1時間進めてサマータイムに移行し、秋に1時間戻して標準時に移行します。
そうすると、サマータイムが始まる日は1日23時間になってしまうのですが、「睡眠不足に気を付けよう」と言いながらも大らかに受け入れる人が多い印象です。反対に標準時に移行する日は1日25時間になるので、少し得したような気持ちにもなります。
イギリスでは夏時間をそのままSummer time(サマータイム)と呼びますが、北米ではdaylight saving time(デーライトセービングタイム、直訳すると日光節約時間)と呼び、「明るい時間を活用する」という本来の意図が分かりやすい名称になっています。
サマータイムの歴史
日時計が発明されたのが紀元前3500年頃だと考えると、サマータイムの歴史は決して長くありません。最初にそれらしいアイディアが提唱されたのは1784年で、アメリカの博学者ベンジャミン・フランクリンによるものでした。フランクリンは、ロウソクを節約するために、起床時間を太陽の出ている時間に合わせるべきだという持論の元、具体的にどの程度の節約になるかまで計算していたようです。
それから約100年経過した1895年のニュージーランド、1907年のイギリスでサマータイムに近いアイディアを提唱する有識者が現れますが、いずれも実施には至りませんでした。
そんな中、最初にサマータイムが導入されたのはイギリスで導入が見送られた1年後に当たる1908年、カナダのオンタリオ州でした。次に実施を決めたのがドイツとハンガリーで、1916年4月30日のことでした。ちょうど第一次世界大戦真っ只中であったため、石炭の消費量を減らすことを目的として、実施に至りました。同じ年の5月21日には、イギリスでもサマータイムが実施されます。その後、他の国でも実施が進み、特に1970年代の石油危機頃に急速に普及したといわれています。
とはいえ、サマータイムを実施しているのは国連加盟国193カ国のうち、57カ国と少数派です。ヨーロッパや北米等の主要国が実施しているため、多数派のように思えますが、実際には日本と同様に実施していない国の方が多いのです。
サマータイムのメリット&デメリット
サマータイムのメリットとして多い意見は、「勤務時間の後でも明るい時間を楽しむことが出来る」です。また、「照明や暖房器具の需要を減らして、省エネになる」という主張もありますが、正確な実験データが存在しないため、効果があるのか疑問視されています。夏場の日中の活動時間が長くなれば冷房の需要が増えるため、結局どちらが省エネになるのかは分からないという意見あります。
したがって、日本のような夏場の気温が高くなる地域では、サマータイムを実施するデメリットの方が大きいのかもしれません。そのため、アジアでは実施している国がないのも頷けます。元々はロウソクや石炭などの燃料節約のために実施された政策であるが故、少し皮肉っぽくも感じられます。
そしてサマータイムに馴染みのない日本人にとっての最大のデメリットは、その仕組みの分かりにくさではないでしょうか。
【サマータイムの仕組み】いつからいつまで?国別まとめ
冒頭でも触れたように、春に時計を1時間進めることでサマータイムに移行し、秋に1時間戻して標準時に移行するが一般的です。平日のスケジュールに混乱を来すことがないよう、大抵の国では週末の深夜に時計の時刻が変更されます。春の変更が行われる際にスマートフォンなどのデジタル時計で現地時間表示を見ていると、23:59から0時を飛ばして1:00切り替わることが分かります。また、秋の変更でも同様にデジタル時計で現地時間表示を見ていると、23:59:から23:00に戻ることが分かります。アナログ時計の場合は、就寝前に変更しておく人が多いようです。
サマータイムが始まる日と終わる日は国や地域によって異なるため、海外の国の間でも混乱が生じがちです。そこで、下記に国ごとの大まかなスケジュールを紹介します。
【サマータイム】イギリス&ヨーロッパ
3月の最終日曜日の午前1時に開始、10月の最終日曜日の午前2時に終了 ※一部の国では実施されていない
【サマータイム】アメリカ&カナダ
3月の第2日曜日の午前2時に開始、11月の第1日曜日の午前2時に終了 ※一部の州や地域では実施されていない
【サマータイム】オーストラリア
10月の第1日曜日の午前2時に開始、4月の第1日曜日の午前3時に終了 ※北部など一部の地域では実施されていない
【サマータイム】ニュージーランド
9月の最終日曜日の午前2時に開始、4月の第1日曜日の午前3時に終了
春や秋のスケジュールに注意
スマートフォンの時計は自動で変更されるので、海外旅行の際はあまり問題ないかもしれませんが、日本にいながら海外とミーティングする場合、時間を間違える人が意外に多い印象です。
春や秋の海外旅行や出張、海外企業とのオンラインミーティング等の予定がある場合は、一度その国のサマータイムを確認しておくと安心かもしれません。