静寂が観光資源!旅行トレンド「サイレントツーリズム」とは

2025-26年 旅行トレンド「賑やかさ」から「静けさ」へ

ここ数年、観光業界では派手さや映えよりも、落ち着いて心を整える「サイレントツーリズム Silent Tourism」が注目を集めています。

コロナ禍を経て、人々が改めて本当に必要なものを見直した結果、自然や静寂の中で過ごすことが大きな価値を持つようになってきたようです。Pinterestによる検索データでは、「quiet places(静かな場所)」への検索が50%増、「calm places(落ち着いた場所)」への検索が42%増しており、静かに過ごすことへの関心が高まってることが分かります。

サイレントツーリズムとは?

サイレントツーリズムとは、都市の喧騒やデジタルの刺激から距離を置き、静けさを味わう旅のスタイルを指します。

たとえば、

森の中を一人で歩くウォーキングツアー

禅寺での座禅や瞑想体験

電子機器をオフにして泊まるリトリート宿泊

星空を眺める「音のない夜の観光プラン」

など、余計な要素をそぎ落とし、五感で「静かさ」を体験することが特徴です。

なぜ今「静寂」が求められているのか?

背景には、いくつかの社会的な流れがあります。

1.デジタル疲れ

24時間オンラインにさらされる現代人は、意識的に「情報のない時間」を欲しています。

2.ウェルネス志向の高まり

健康やメンタルケアを目的とした旅行が増え、瞑想やヨガといった「心を整える体験」に関心が集まっています。

3.サステナブル観光への関心

大規模な消費型観光から、環境や地域に配慮した旅行スタイルへのシフト。静かな旅は地域資源を壊さず楽しめる点で評価されています。

日本における可能性

日本にはサイレントツーリズムに適した資源が豊富にあります。下記にいくつかの例を挙げていきます。

①禅寺や修験道の文化- 精神性の高い文化体験と静寂を組み合わせられる。

②自然豊かな地方エリア- 森林浴や星空観察など、都市にはない「音のない体験」を提供できる。

③伝統的な宿泊体験- 茅葺き古民家や温泉宿での「静かに過ごす滞在」は、海外旅行者にとって強い魅力。

特にインバウンド市場では、「人混みを避けたい」「SNSに縛られない旅をしたい」というニーズが顕著になっており、サイレントツーリズムは差別化の武器になり得ます。

インバウンドビジネスに活かすには?

サイレントツーリズムを商品化する際のポイントは以下の通りです。

・「何もしないこと」を価値にする

プログラムを詰め込むのではなく、滞在そのものを楽しむ体験設計が鍵。

・ストーリー性を打ち出す

「古来より修行僧が歩いた道を静かに歩く」など、背景を語ることで価値が高まります。

・海外市場ごとのアプローチ

欧米では「マインドフルネス」、アジアでは「癒し」や「健康」といった切り口が響きやすい傾向があります。

静けさをビジネスに変える

サイレントツーリズムは、単なる一過性のブームではなく、持続可能な観光の新しい柱となる可能性を秘めています。

観光ビジネスに携わる方にとって、今こそ「静けさを商品化する」視点が求められています。都市型の観光が飽和する中、静寂という付加価値は、これからのインバウンド市場で強力な差別化要素となるでしょう。

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