東京の都市文化「東京にしかないもの」とは?ファッション 食べ物etc.
米国旅行雑誌『Condé Nast Traveler(コンデナスト・トラベラー)』が発表したREADERS’ CHOICE AWARDS 2024年版「The Best Cities in the World(世界で最も魅力的な都市)」の「Best Big Cities(最も魅力的な大都市)」カテゴリで、東京が1位に選ばれました。
確かに、日本に行きたいと話す海外の方に具体的な場所を聞くと、必ずと言っていいほど「東京」という答えが返ってきます。東京に興味を持つ人は海外の方ばかりではありません。日本国内の方でも「東京に行きたい」「東京に住みたい」「東京で働きたい」「東京なら夢が叶う」と憧れている方は多く、吸い寄せられるように人が集まっていく都市であるように思います。
一体、この都市の何が人々を惹きつけるのでしょうか?東京にしかないもの、東京でしかできない体験について考えることで、東京、そしてそこを首都に構える日本の魅力を再発見してみませんか?
「都市文化」とは?
都市文化とは、都市(大きな町や市)で発展、共有される生活様式や価値観、芸術、トレンド、思想などの文化のことを指します。つまり、都市に住む人々が作り出した、その都市ならではの文化ということです。
では、東京で作り出された東京独自の文化にはどのようなものがあるのでしょうか?主なものを順に見ていきましょう。
東京にしかないもの、東京でしか手に入らないもの
① 新旧の混在、喧騒と静寂の隣接
東京は大都市ですが、超近代的な高層ビルばかりではありません。渋谷のスクランブル交差点から北へ少し足をのばせば明治神宮や代々木公園、北東へ足をのばせば落ち着いた表参道や青山といったように、現代的なエリアと伝統的なエリア、喧騒と静寂が割と近いところに混在しています。
東西南北と大きなエリアとして分かれているのではなく、異なる雰囲気の狭範囲のエリアが点在しているという感じなので、少し移動するだけでまったく別の体験ができるという驚きや楽しみを与えてくれるのです。
人混みや騒々しさに疲れたところにふっと静謐な寺院や緑が現れる。日本の大都市東京ならではの魅力と言えます。
② 比類なきストリートカルチャー ―ファッション、グラフィティ、ヒップホップetc.
ストリートカルチャーとは、都市の若者を中心に自己表現が目的で発展した文化であり、音楽やファッション、アートなどの要素を含んでいます。そのようなストリートカルチャーが生まれた場所が数多くあるのも東京の特徴です。
例えば以下のようなカルチャーが生まれています。
個性派ストリートファッション|原宿・渋谷
1980年代、アメカジやパンク、ヒップホップファッションに影響された若者によって台頭し、裏原を中心に盛り上がりました。
ブランドものや古着、DIYスタイルをミックスしたファッションで、ブランドに頼らず自分のセンスで着ることが重視されました。DIYスタイルとは既製品に頼らず、自分の手で服やアクセサリーを作ったり、カスタムしたりするスタイルのことです。
原宿や裏原ではカワイイ文化、ロリータ、ゴス系も、下北沢や高円寺では古着文化も発祥しました。
スケボー文化|渋谷・代々木公園
1990年代にアメリカのスケボー文化が東京の若者に伝わり、渋谷や代々木公園周辺で広まりました。
代々木公園や渋谷の路上、地下通路などでスケボーの練習をしている若者が見られます。
オタク文化|秋葉原・池袋
1990年代後半、アニメやゲームファンの聖地として秋葉原が知られるようになりました。
メイド喫茶やコスプレカフェでコスプレやアニメの実体験をしたり、同人誌文化の発展によりファン同士のオフ会で情報交換をしたり。海外のアニメファンにも注目されており、サブカルチャーと観光が交差するスポットとなっています。
ストリートアート・グラフィティ|中目黒・代官山・下北沢
海外のヒップホップ文化の影響で、1990年代に東京の倉庫街や高架下などでもタギングや壁画アートが出現。違法ですが、一部の作品は街の一部として溶け込み、アートとして評価されています。
日本人アーティストではナイジェルグラフ、BAKIBAKI、ONEQ等が注目されています。
東京ヒップホップ|渋谷・六本木・下北沢・三軒茶屋
1980年代末から1990年代にアメリカのヒップホップが上陸し、渋谷や六本木のクラブイベント、路上でのフリースタイルバトルが広まりました。
その後、ZEEBRAやRHYMESTER等によって日本語ラップが進化し、独自のスタイルが確立されていきます。
ストリートミュージックでは下北沢のインディーズ音楽や高円寺のパンクミュージックも挙げられ、これらは各地のストリートファッションにも通じるものがあります。また、代々木公園は音楽練習の聖地として知られています。
ストリートダンス(ブレイクダンス・フリースタイル)|渋谷・代々木公園・原宿
1990年代、渋谷や代々木公園、原宿駅前で仲間と練習する若者が増加。ダンスバトルやショーケースがカルチャーとして根付き、現在はK-POPやTikTok文化とも融合しています。
ZINE・自費出版文化|下北沢・高円寺
2000年代初頭、下北沢や中野などのサブカルエリアでメディアに頼らず個人で作る小冊子、ZINEが流行。
作家志望の人や創作に興味のある人が、詩やエッセイ、アートなどを自由に表現したZINEを小さな書店や文学フリマなどで販売し、自己表現を行っています。
地元密着型ローカル文化|中目黒、代官山、吉祥寺、西荻窪、高円寺、下北沢など
地元密着型ローカル文化とは、自分たちが住んでいる街で自分たちのやりたいことをやるというスタンスのカルチャーで、カフェやギャラリー、古着屋、音楽イベントなどが混ざりあってできるコミュニティ型カルチャーです。
ここ10~15年の間に、都市の文化よりも自分の街の文化を大事にする若者が増加し、地元で集まって企画・運営するフェスがあちこちで開催されています。
以上のように、東京各地で生まれたカルチャーが他ジャンルと融合しながら独自の形へと発展し、東京の都市文化の一部となっています。
③ 世界屈指のグルメスポット
東京は、ミシュランガイド2025年版において星付きレストランが170軒、ビブグルマン(星とは異なる評価基準でコストパフォーマンスに優れた飲食店を評価するもの)を含めると全507軒が掲載されているほど世界一星の数が多い都市と言われています。ジャンルも豊富で、東京内だけで世界各地域の本格的な料理を食べることができます。
昔の屋台風居酒屋が密集する恵比寿横丁のような「横丁・路地裏グルメ」、下町風情の残る門前仲町のような「飲み屋街」、神保町カレー激戦区のような「専門グルメめぐり」、戸越銀座商店街でコロッケを食べ歩く「ローカル商店街グルメ」、食と街の雰囲気を一緒に楽しめる桜シーズンの目黒川沿いカフェめぐりのような「カルチャー×グルメスポット」。東京にしかないカフェやレストランを訪れたり、東京にしかない食べ物やスイーツを試したりすることはもちろん、こういった食べるだけではない体験があちこちでできるのも東京をわざわざ訪れたくなる理由でしょう。
高架下の飲食店や、原宿・表参道の裏路地にひっそりと佇む隠れ家カフェを偶然見つける──そんな“自分だけの特別な場所”を楽しむのも、東京散策の醍醐味です。
④ 狭小建築・スモールスペース文化
安藤忠雄や建築家ユニットSANAA(サナア)の建築作品、表参道周辺の建物群、国立競技場、高層ビル群など、東京の建築文化は突出しています。
数坪の土地に驚くほど機能的で美しい住宅やカフェを建てる建築文化も東京ミニマリズムとして注目されています。
東京の都市文化は日本の財産 その魅力がインバウンド需要にも繋がる
このように、東京には最先端の技術やカルチャー、トレンド、エンタメが集まっている一方で、過去へタイムスリップしたような歴史を感じるエリアもあり、1駅移動するだけで異なる雰囲気に心が躍り、できるだけ多くを体験したいと思わせてくれます。現代と過去、あらゆるエリアに誰もが簡単にアクセスすることができるのです。
さらに、人種や国籍、価値観も様々な人々が共存し、常に新しい何かが発信され、変化のスピードも速い。そんな場所だからこそ、一度は行ってみたい、また行きたいという思いに取りつかれてしまうのではないでしょうか。
▼関連記事はこちら
日本への海外の反応&評価 外国人が好きな日本のもの【最新データ】
▼弊社へのご質問などはこちらからお気軽にお問い合わせください